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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第35話 執行


静寂。



『規格外二体』



『排除を開始する』



その声だけが、 境界へ沈んだ。



重い。



ただ。



重い。



存在だけで、 世界が軋んでいた。



裂け目の周囲。



空間が、 静かに崩れている。



観測者達が、 震えていた。



『執行開始』



『最上位危険指定』



『規格外接触』



『退避完了』



笑う者が、 露骨に顔を引き攣らせる。



『いや』



『これ本当に始まるやつ?』



『逃げるラストチャンスじゃない?』



士郎が、 獰猛に笑った。



「うるせぇ」


静かな声。



「逃げるなら勝手に逃げろ」



笑う者が、 数秒固まる。



『……え?』



『いやそれ』



『置いてく宣言では?』



翔は、 静かな目で“それ”を見ていた。



動かない。



焦らない。



ただ。



測っている。



圧。



沈黙。



存在の揺れ。



気配。



ズレ。



界吏とは違う。



“届く”。



だが。



簡単ではない。



翔が、 小さく呟く。



「面倒そうだな」


静かな声。



士郎が笑った。



「珍しいな」



「お前でもそう思うのか」



翔は肩を竦める。



「強い」


静かな声。



「だから面倒だ」


静寂。



その瞬間。



“それ”が動いた。



音はない。



気配もない。



ただ。



いた。



次の瞬間には。



士郎と翔の目前。



笑う者が、 本気で凍る。



『は?』



『速——』



遅い。


轟音。



重力。



士郎の拳が、 真正面から叩き込まれる。



空間ごと砕けた。



境界が割れる。



世界が悲鳴を上げる。



だが。



“それ”は動かない。



避けない。



吹き飛ばない。



ただ。



そこにいた。



士郎の笑みが、 深くなる。



「へぇ」


静かな声。



「耐えるか」


静寂。



“それ”が。



初めて。



士郎を見る。



『重い』


静かな声。



『だが』



『足りない』


静寂。



次の瞬間。



士郎の身体が、 消えた。



違う。



吹き飛んだ。



境界を何層もぶち抜きながら。


轟音。



笑う者が、 本気で絶叫した。



『えぇぇぇぇ!?』



『士郎飛んだぁぁ!?』


静寂。



そして。



翔だけが。



少しだけ。



笑った。



「……いいな」


静かな声。



「やっと強い」

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