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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第34話 二体

静寂。



『あ』



『俺帰っていい?』



笑う者の声が、 少し裏返った。



本気だった。



士郎が、 少し笑う。



「却下」


静かな声。



笑う者の輪郭が、 びくりと震える。



『横暴!!』



『この状況で即答!?』



翔は、 静かな目で前を見ていた。



裂け目。



その向こう。



“それ”。



気配が重い。



違う。



“圧”だった。



存在そのものが、 空間を押し潰している。



界吏とは別格。



殺気もない。



敵意も薄い。



なのに。



危険。



本能で理解できる。



翔の目が、 少しだけ細まった。



「……強いな」


静かな声。



士郎が、 獰猛に笑った。



「いいな」


静かな声。



「やっと遊べそうだ」



笑う者が、 本気で嫌そうな顔をする。



『いや遊ぶ相手じゃないって』



『こいつ』



『上位執行者だぞ』


静寂。



士郎が、 少し眉を動かす。



「界吏の上か?」



笑う者は、 数秒黙る。



それから。



乾いた笑い。



『比較にならん』


静かな声。



『界吏が壁なら』



『こいつは処刑台』



『規格外を』



『本当に消す側』



空気が、 少し重くなる。



観測者達も沈黙していた。



『執行者接続確認』



『危険度更新』



『接触禁止』



『総員退避』



“それ”が、 静かに歩く。



一歩。



境界が沈む。



また一歩。



空間が軋む。



近付いてくる。



ゆっくり。



逃げ場を潰すみたいに。



そして。



止まる。



静かな声。



『観測外』



『退避を推奨する』


静寂。



笑う者が、 全力で頷いた。



『する!!』



『俺する!!』



士郎が吹き出す。



「お前ほんとブレねぇな」



翔が、 少しだけ笑った。



「まともだ」


静かな声。



笑う者が、 少しキレた。



『いや君らが異常なんだって!!』


静寂。



そして。



“それ”の視線が、 再び士郎と翔へ戻る。



『規格外二体』



『排除を開始する』


静寂。



その瞬間。



士郎が。



初めて。



心の底から嬉しそうに笑った。



「来いよ」


静かな声。



「殺してやる」



翔は何も言わない。



ただ。



静かに。



一歩前へ出た。

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