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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第32話 視線

静寂。



『……弱くない』



『次からは』



『本当に』



『死ぬかもしれない』



その言葉だけが、 境界へ沈んだ。



士郎が笑う。



獰猛に。



「ならいい」


静かな声。



「弱ぇのばっかで飽きてた」



笑う者が、 本気で嫌そうな顔をした。



『いやその感想おかしいから』



『普通ビビるんだよ!?』



翔は何も言わない。



静かな目。



ただ、 歩いていた。



気配。



沈黙。



視線。



ズレ。



境界の向こう。



無数。



本当に、 無数。



翔の目が、 僅かに細まる。



笑う者が気付いた。



『……何?』



『また誰かいる?』



翔は少し考える。



静かな声。



「見てる」



少し間。



「多分」



「十じゃ利かねぇ」


静寂。



笑う者が止まった。



『……は?』



『いや待て』



『それ今の段階で分かんの?』



翔は肩を竦める。



「うるせぇ」


静かな声。



「気配が多い」



士郎が、 楽しそうに笑う。



「いいじゃねぇか」



「まとめて来いよ」



その瞬間。



境界が、 僅かに軋んだ。


静寂。



反応した。



士郎に。



観測者達が、 ざわめく。



『危険度上昇』



『災害指定更新』



『接触回避』



『監視継続』



笑う者が、 乾いた笑いを漏らした。



『君さぁ』



『煽るのやめない?』



『向こう普通に来るよ?』



士郎が笑う。



「来させろ」


静かな声。



「壊す」



翔が、 少しだけ口元を歪めた。



「騒がしいな」


静かな声。



そして。



初めて。



立ち止まる。



笑う者も、 空気を読むように足を止めた。



『……何?』



翔は答えない。



静かな目。



ただ、 前を見ていた。



境界の先。



何もない場所。



だが。



“いる”。



確かに。


静寂。



翔が、 小さく呟く。



「近ぇな」


静かな声。



その瞬間。



“何もない場所”が。



ゆっくり。



裂けた。

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