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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第25話 怪物

静寂。



『……ちょっとだけ』



『いや』



『かなり』



笑う者が、 ほんの少し後ろへ下がった。



観測者達が、 沈黙する。



あり得ない。



界吏すら超える何か。



理解不能。



観測外。



その存在が。



怯えていた。



西園寺士郎に。



士郎は笑った。



獰猛に。



楽しそうに。



「そうか」


静かな声。



「なら」


静寂。



黒い重力が、 沈んだ。



違う。



“落ちた”。



暗黒そのものが、 圧し潰され始める。



観測領域。



因果。



空間。



全部。



悲鳴を上げる。



観測者達が絶叫した。



『重力異常』



『災害指定反応増大』



『空間維持不能』



『退避推奨』



笑う者の輪郭が、 初めて明確に揺れた。



『待って』



『それ本当に危な——』



遅い。



士郎が踏み込んだ。


轟音。



重力。



空間ごと。



暗黒ごと。



笑う者を叩き潰す。



何百。



何千。



何万層。



世界の外側を、 ぶち抜きながら沈む。



圧壊。



崩壊。



消滅。



観測者達が、 凍った。



『存在反応急減』



『維持不能』



『観測不能』



士郎が、 見下ろす。



冷たい目。



静かな声。



「まだ喋るか?」


静寂。



数秒。



何もない。



観測者達が、 震える。



『消滅確認』



『排除完了』



『いや』


静かな声。



『それ』



『死んでて言う台詞だろ……』


静寂。



空間が、 ゆっくり裂けた。



そこにいた。



笑う者。



今度は、 誰の目にも明確だった。



ボロボロ。



輪郭は崩れ。



片腕が消え。



笑顔すら、 少し引き攣っている。



『おかしいって』



『なんで初対面で』



『こんな目に遭うの?』



翔が、 初めて少し吹き出す。



「……ダセぇな」


静かな声。



笑う者が、 翔を見る。



『笑うなよ』



『君も十分怖いからな!?』



士郎が、 また前へ出る。



重力が沈む。



笑う者の輪郭が、 びくりと揺れた。



初めて。



本気の恐怖。



『待って待って待って』



『謝る』



『ほんと謝る』



『だから二発目だけはやめよう?』



士郎が、 獰猛に笑う。



「却下だ」


静寂。



そして。



笑う者は、 本気で後悔した。



出てきたことを。

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