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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第12話 禁忌

暗黒。



静寂。



“それ”は、 まだ姿を見せない。



なのに。



空気が違った。



重い。



深い。



今までの観測者達とは、 明らかに違う。



存在しているだけで。



暗黒そのものが、 沈黙している。



観測者達が、 震えていた。



『接続確認』



『上位権限超過』



『禁忌領域干渉』



『観測中止』


静寂。



翔が、 少しだけ目を細める。



煙草は吸わない。



まだ。



その必要がない。



士郎は笑った。



獰猛に。



「なんだ?」



「今度は隠れたままか?」


静寂。



返答はない。



だが。



暗黒の奥。



何かが、 ゆっくり近づいていた。



音もない。



気配もない。



なのに。



“いる”。



その感覚だけが、 世界へ沈んでいく。



観測者達が、 一斉に頭を垂れた。



恐怖。



崇拝。



混ざり合ったみたいな沈黙。



そして。



初めて、 声が響いた。



『異物』


静かな声。



『何故、 外へ出た』



『何故、 存在している』


静寂。



今までの観測者達とは違う。



感情がある。



冷たい。



そして。



僅かに。



怒っている。



士郎は笑った。



「知らねぇよ」



「勝手に出てきた」


静寂。



その瞬間。



士郎の周囲が、 消えた。



重力。



空間。



存在。



全部。



“なかったこと”にされる。



観測者達が揺れる。



『改変成功』



『削除完了』


静寂。



次の瞬間。



黒い重力が、 空間ごと軋んだ。


轟音。



士郎が、 そこに立っている。



笑っていた。



獰猛に。



「おもしれぇな」



「今の、 殺す気だったろ」



暗黒が、 僅かに揺れる。



初めて。



“それ”が沈黙した。



翔が、 静かに口を開く。



「……なるほど」



黒い瞳。



暗黒の奥を見ている。



「テメェか」


静かな声。



「昔、 霧流消そうとしたの」


静寂。



その瞬間。



暗黒が、 初めて震えた。



観測者達が揺れる。



『危険』



『危険』



『霧流反応上昇』



翔は、 ゆっくり煙草を取り出す。



だが。



火は点けない。



まだ。



“本気”ではない。



士郎が笑う。



「知り合いか?」



翔は、 少しだけ口元を歪めた。



「嫌いなタイプだ」


静寂。



その時。



暗黒の奥で。



初めて。



“姿”が、 見え始めた。

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