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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第十一章 『魔王編』
225/464

第225話 最強の殺し屋、異世界で魔王になる

世界の果て。



黒い空。



静かな風。



世界を支配した後の世界は、 驚くほど静かだった。



戦争はない。



争いもない。



誰も逆らわない。



恐怖だけで統一された世界。



だが。



その世界にはもう。



王はいなかった。



魔王城。



玉座。



そこは、 空席になっていた。



世界の王は。



もう、 この世界に興味を失っていた。



その頃。



魔王城の高塔。



セレナは、 黒い空を見上げていた。



紫の瞳。



静かな笑み。



「……行くのね」


小さな声。



その表情に、 驚きはなかった。



まるで。



最初から、 こうなることを知っていたみたいに。



その時。



セレナの脳裏に、 一瞬だけ景色が過る。



存在しないはずの記憶。



黒い世界。



壊れた境界。



そして。



士郎の隣に立つ男。



哀沢翔。



セレナは、 小さく目を細めた。



「……なるほど」


静かな声。



「あなただったのね」



答える者はいない。



それでも。



セレナは理解していた。



西園寺士郎を、 退屈から連れ出せる存在。



あの怪物が唯一、 “対等”として見る男。



それが。



哀沢翔なのだと。



その頃。



世界の最果て。



崩壊した境界領域。



士郎と翔は、 並んで歩いていた。



黒いコート。



煙草の煙。



二人とも、 まるで散歩みたいな顔をしている。



だが。



その足元では、 空間そのものが軋んでいた。



世界が、 この怪物達を拒絶している。



翔が煙草を咥える。



「で?」



「本当に行くのか?」



士郎は、 黒い空の向こうを見る。



その先。



世界の外側。



まだ見ぬ何か。



もっと強い存在。



もっと壊し甲斐のある世界。



そして。



士郎は笑った。



獰猛に。



楽しそうに。



「当たり前だろ」


静かな声。



「まだ、 終わってねぇ」



翔は吹き出す。



「違ぇねぇ」



「お前が、 世界一つで満足するわけねぇか」



風。



その瞬間。



世界の境界に、 巨大な亀裂が走る。


轟音。



黒い空が裂ける。



その向こう。



“外側”。



何かがいる。



何かが見ている。



だが。



士郎は笑った。



恐怖などない。



警戒すらない。



ただ。



強い敵を前にした怪物そのもののように。



翔が、 肩を鳴らす。



「久々に、 暴れられそうだな」



士郎は、 黒い重力を揺らしながら。



心の底から笑った。



「全部、 壊してやるよ」



その瞬間。



二人の怪物が。



世界の外側へ、 足を踏み出す。



その頃。



高塔の上。



セレナは、 裂けた空を見上げていた。



紫の瞳。



そこには、 恐怖も後悔もない。



ただ。



静かな好奇心だけがあった。



「見せて」


小さな声。



「あの怪物が、 どこまで行くのか」



「どこまで壊して」



「最後に、 何を見るのか」



セレナは笑う。



静かに。



狂気みたいに。



「だから私は、 あなたを見てる」



そして。



誰も知らない戦いが、 始まろうとしていた。



『最強の殺し屋、異世界で魔王になる』



第一部 完


第十一章 神殺し編 完

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