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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第十一章 『魔王編』
223/464

第223話 外側

深夜。



魔王城最上階。



崩れた神殿の屋上。



黒い空。



静かな風。



世界は、 完全に沈黙していた。



誰も逆らわない。



誰も戦わない。



西園寺士郎が、 頂点に立っているから。



その屋上で。



士郎と翔は、 並んで座っていた。



酒瓶。



煙草の煙。



まるで。



昔に戻ったみたいな空気。



翔が煙を吐く。



「で?」



「魔王やってみた感想は?」



士郎は鼻で笑う。



「ゴミだった」



翔は吹き出す。



「だろうな」



「お前、 弱ぇ奴に興味ねぇし」


静寂。



風が吹く。



その時。



翔が、 ふと空を見上げた。



黒い空。



神界すら崩壊した世界。



そして。



小さく呟く。



「……変だよな」



士郎が視線を向ける。



翔は続けた。



「神ぶっ殺して」



「原初も踏み潰して」



「世界も取った」



「なのに、 まだ天井がある」


静寂。



士郎の黒い瞳が、 僅かに細まる。



翔は笑った。



獰猛に。



「気付いてんだろ?」



「この世界、 まだ“箱”の中だ」


風。



空気が変わる。



士郎は黙ったまま、 空を見上げる。



黒い空。



その向こう。



何かある。



そんな感覚。



神界のさらに上。



原初のさらに先。



世界の外側。



その時。



ほんの一瞬だけ。



空の向こうで。



“何か”が動いた。


静寂。



次の瞬間には、 もう消えている。



だが。



士郎は笑った。



久しぶりに。



心の底から。



獰猛に。



「……なるほどな」


静かな声。



「やっと、 面白ぇ話になってきた」



翔は煙草を咥えながら笑う。



「だろ?」



「だから来た」



「お前、 絶対退屈してると思ったし」



士郎は立ち上がる。



黒い重力が揺れる。



魔王。



世界の王。



だが。



その目はもう。



世界なんて見ていなかった。



もっと先。



もっと外側。



もっと強い何か。



それだけを見ている。



翔が笑う。



「で?」



「次は何壊す?」


静寂。



士郎は、 黒い空を見上げたまま。



獰猛に笑った。



「全部だ」

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