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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第十一章 『魔王編』
212/464

第212話 屈服

世界。



壊れていた。



黒い重力だけで、 文明が沈んでいく。



都市崩壊。



山脈断裂。



海面暴走。



空そのものが、 士郎という存在に怯えていた。



そして。



世界中の軍勢は、 既に戦うことを諦め始めていた。



人類連合軍。



聖騎士団。



魔導国家。



魔族軍。



誰も近づけない。



ただ存在しているだけで、 全てが押し潰される。



絶対的。



それが、 今の西園寺士郎だった。



その中心。



黒い空に浮かぶ士郎は、 退屈そうに世界を見下ろしている。



黒い瞳。



そこには。


征服の喜びすらない。



ただ。



「終わりか?」


静かな声。



「随分呆気ねぇな」



その瞬間。


世界中の人々が、 震えた。



理解してしまう。



この怪物は。



“世界征服”すら目的ではない。



ただ。



強者を潰すことだけを、 楽しんでいる。



その頃。


王都。



王城では、 各国首脳が膝をついていた。



絶望。



誰も戦おうとしない。



いや。



もう戦えない。



その時。


一人の王が、 震える声で呟く。



「……降伏する」


静寂。



その言葉を皮切りに。



次々と、 各国が頭を垂れた。



世界は。



西園寺士郎へ、 屈服し始めていた。



その頃。


魔界領域。



アルシアは、 静かに玉座の前へ跪いていた。



誰も命じていない。



だが。



本能だった。



白銀の髪が揺れる。



紅い瞳。



その視線の先。



黒い空。



アルシアは、 恍惚すら浮かべながら呟く。



「魔族の時代ですらない」


静かな声。



「あれは、 あの方の時代」



周囲の魔族達も、 次々と膝をつく。



恐怖。



畏怖。



絶対服従。



誰も逆らえない。



その時。


崩れた鐘楼。



セレナだけは、 静かに笑っていた。



「全部、 終わっちゃったわね」


静かな声。



「あなたが、 強すぎるせいで」



だが。



その瞳は、 どこか寂しそうだった。



何故なら。



西園寺士郎は。



世界を手に入れてなお。



どこまでも、 孤独だったから。

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