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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第十一章 『魔王編』
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第210話 世界の王

世界。



沈黙。



誰も逆らえなかった。



空を見上げることすら、 恐怖になっていた。



黒い空。



その中心。



西園寺士郎。



世界を見下ろす魔王。



神を殺した。



原初を踏み潰した。



そして今。



世界そのものが、 その存在へ屈服し始めている。



各国の軍隊。



魔導国家。



聖騎士団。



竜族。



全てが動けない。



戦う前に理解してしまった。



勝てない。



これは。



災害でも。


怪物でも。


神でもない。



もっと別の何かだ。



その時。


世界各地で、 一斉に膝が落ちる。



黒い重力。



士郎が存在しているだけで、 世界そのものが軋んでいた。



その中心。



士郎は退屈そうに、 地上を見下ろしていた。



黒い瞳。



そこには。


支配欲も。


征服欲も。



何もない。



ただ。



「弱ぇな」


静かな声。



「全部」



その言葉だけで。



世界中の空気が、 凍りついた。



その頃。


王都。



王城では、 各国首脳が集められていた。



絶望。



沈黙。



誰も言葉を発せない。



神ですら負けた。



なら。



何をどうすれば、 あの怪物を止められる。



その時。


エレノアが、 静かに口を開く。



赤い瞳。



「無理よ」


静かな声。



「もう、 誰にも止められない」



王達が息を呑む。



エレノアは、 静かに空を見上げた。



そこにいる怪物を。



自分が導いた男を。



そして。


初めて。



ほんの僅かに。



後悔していた。



「……想像以上だったわ」


小さな声。



その頃。


魔界領域。



崩れた魔王城。



無数の魔族達も、 黒い空を見上げていた。



震えている。



歓喜ではない。



恐怖。



誰もが理解していた。



あれは、 自分達の王ではない。



魔族ですら、 踏み潰される側だと。



その中心。



玉座の前で。



アルシアだけは、 静かに空を見上げていた。



白銀の髪。



紅い瞳。



そこにいるのは。



神を殺した怪物。



そして。



自分達が待ち続けた、 “魔王”。



アルシアは小さく笑う。



震えながら。



「……あぁ」


静かな声。



「これが、 本物の魔王なのね」



歓喜。



恐怖。



畏怖。



全部混ざっていた。



何故なら。



彼女だけは理解していた。



あの怪物は。



魔族の味方ですら、 ない。



その頃。


崩れた鐘楼。



セレナは、 静かに笑っていた。



紫の瞳。



その視線の先。



空に浮かぶ魔王。



「ねぇ」


静かな声。



「今、 どんな気分?」



もちろん届かない。



だが。



セレナは分かっていた。



今の士郎には。



世界すら、 退屈にしか見えていない。

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