第187話 天上の最奥
白い天上。
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その奥。
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“何か”が目を開いた。
静寂。
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瞬間。
天上全域が凍りつく。
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神々が沈黙した。
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上位神ですら、 完全停止。
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士郎だけが、 その“視線”を見ていた。
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黒い瞳。
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全身が軋む。
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今までの神々とは違う。
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格が違う。
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存在そのものが、 異質。
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頭の奥で、 原初の声が笑う。
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今までで一番、 嬉しそうに。
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『ああ』
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『いた』
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士郎の黒い瞳が揺れる。
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その瞬間。
天上最奥。
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巨大な白い扉が、 ゆっくり開き始める。
轟音。
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無数の神代文字。
光輪。
世界法則。
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天上そのものが、 その存在を中心に回っていた。
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神々が跪く。
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上位神ですら。
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絶対存在。
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最奥神。
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その時。
最上位神が、 静かに告げる。
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『天上管理者』
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『終焉監視機構』
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『——ゼルヴァ』
静寂。
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その頃。
地上。
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空全体が、 白く染まっていた。
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誰も理由は分からない。
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それでも。
全ての生物が、 本能で理解していた。
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“触れてはいけない何か”が、 目を覚ました。
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兵士たちは震える。
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リゼですら、 呼吸が苦しい。
「……何よ、 これ……」
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エレノアの赤い瞳が揺れる。
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そこには。
初めて。
明確な恐怖があった。
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「……ゼルヴァ」
小さな声。
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「目覚めたの……?」
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その頃。
天上。
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扉の奥から。
“白い人影”が現れた。
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人型。
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だが。
顔がない。
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いや。
顔という概念が存在しない。
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見ているだけで、 認識が崩れる。
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士郎の黒い瞳が細くなる。
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頭の奥。
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原初の声が。
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初めて。
怒りを見せた。
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『——お前か』
轟音。
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黒い重力が暴走する。
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天上全域が揺れた。
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神々が後退する。
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そして。
白い人影——ゼルヴァが。
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初めて。
士郎を見た。
静寂。
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その瞬間。
士郎の脳裏へ、 大量の記憶が流れ込む。
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白い世界。
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黒い怪物。
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そして。
その怪物を。
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白い“何か”が、 世界の外へ叩き落とす光景。
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士郎が頭を押さえる。
「……ッ!!」
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その時。
ゼルヴァが、 静かに口を開いた。
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『また会ったな』
静寂。
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『原初』




