第184話 天上
白。
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どこまでも続く、 無限の白。
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空も。
大地も。
境界すら曖昧。
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世界そのものが、 人間界と違っていた。
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そこへ。
黒。
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西園寺士郎が立っていた。
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黒い重力。
黒い紋様。
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白い世界の中で、 あまりにも異質。
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その瞬間。
天上全域へ、 巨大な警報が鳴り響く。
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『原初侵入確認』
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『最上位危険存在』
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『天上防衛機構、 全領域戦闘態勢へ移行』
轟音。
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次の瞬間。
空が開く。
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無数の巨大な“眼”。
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神々。
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全部が、 士郎を見ていた。
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兵士も。
王も。
英雄もいない。
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ここには。
“神”しかいない。
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その時。
士郎は小さく笑った。
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「へぇ」
静かな声。
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「随分、 偉そうなのが多いな」
轟音。
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次の瞬間。
神威爆発。
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天上そのものが、 士郎を押し潰そうとする。
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世界法則。
神格圧力。
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存在拒絶。
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普通の人間なら、 立った瞬間に消滅する。
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それでも。
士郎は動かない。
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黒い重力が、 神威を押し返していた。
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その時。
巨大な“眼”の一つが開く。
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『原初』
世界へ響く声。
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『なぜ再び現れた』
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『なぜ器へ宿った』
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『なぜ自我を残している』
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士郎は舌打ちした。
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「だから」
黒い瞳。
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「知らねぇって言ってんだろ」
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頭の奥で、 原初の声が笑う。
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『いい』
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『全部壊せ』
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その瞬間。
天上の奥。
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巨大な扉が開く。
轟音。
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白銀の階段。
光輪。
無数の神代文字。
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そして。
そこから。
“人型の神々”が現れた。
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十二翼。
黄金の冠。
白い法衣。
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どれも。
アズラエルより遥かに強い。
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神格が違う。
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その中心。
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最も巨大な神が、 士郎を見下ろしていた。
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顔はない。
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ただ。
巨大な光だけが存在している。
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『原初』
静かな声。
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だが。
今までの神々より、 遥かに重い。
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『お前は、 再び世界を壊す気か』
静寂。
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その瞬間。
士郎の黒い瞳が、 わずかに揺れた。




