第170話 神への拳
“神”の眼前。
◇
そこへ。
西園寺士郎が到達した。
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黒い瞳。
獰猛な笑み。
◇
「神ってのは」
静かな声。
◇
「殴れんだな」
次の瞬間。
拳。
◇
轟音。
◇
黒い重力が収束する。
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そして。
士郎の拳が、“神”の巨大な眼へ叩き込まれた。
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世界が止まる。
◇
次の瞬間。
空が割れた。
轟音。
◇
神威崩壊。
空間断裂。
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“神”の巨大な眼へ、巨大な亀裂が走る。
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兵士たちが絶叫する。
「殴った……!」
「神を……!」
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あり得ない。
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神は。
人が届く存在じゃない。
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なのに。
今。
西園寺士郎は、その常識を真正面から叩き壊した。
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“神”の巨大な翼が揺れる。
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世界そのものが軋む。
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『……痛覚確認』
静寂。
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『危険指定更新』
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『原初認定個体』
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『——神敵認定』
轟音。
◇
その瞬間。
空全体へ、巨大な神代紋章が浮かび上がる。
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兵士たちが膝をつく。
「神敵……」
「神に敵認定された……」
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その時。
頭の奥で、原初の声が笑った。
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『いいぞ』
『それでいい』
『殺せ』
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士郎の黒い紋様が、さらに濃くなる。
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最近。
原初の声を、完全には拒絶できなくなっている。
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それでも。
今はどうでもよかった。
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目の前に。
ようやく。
“壊し甲斐のある敵”がいる。
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士郎は笑った。
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久しぶりに。
心から。
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その瞬間。
“神”の巨大な眼が、強烈な光を放つ。
轟音。
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空間固定。
重力封鎖。
世界停止。
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神の権能。
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周囲の世界が、完全に静止する。
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リゼたちすら動けない。
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それでも。
士郎だけが動いていた。
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黒い靄。
重力歪曲。
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神の法則を、無理矢理ねじ曲げている。
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“神”の巨大な眼が、初めて明確な敵意を向けた。
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『危険』
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『排除優先度、最上位へ変更』
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次の瞬間。
黄金の門の奥。
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さらに複数の“眼”が開いた。




