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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第八章 『魔王覚醒編』
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第138話 黒き歓喜

原初の腕が吹き飛ぶ。



轟音。


黒い破片が空へ散る。



兵士たちが絶句する。


「あ……」


「腕を……」


「原初の魔王を……」



信じられない。


神話。


災厄。


世界崩壊存在。



それを。


西園寺士郎が殴り砕いた。



しかし。


士郎は笑っていた。


歓喜。



「いい」


黒い瞳。


赤が濃い。



拳を握るたび、黒い靄が膨れ上がる。



エレノアの顔が険しくなる。


「まずいわね……」


アルシアも頷く。



士郎は今。


原初と戦うことで、逆に原初へ近づいている。



強敵と戦うほど。


歓喜するほど。


侵食が進む。



その時。


空の“目”が動いた。



兵士たちが凍りつく。


視線。


怒り。


あるいは。


歓喜。



まるで。


原初の魔王そのものが、士郎へ興味を持ち始めていた。



その瞬間。


空間が裂ける。


轟音。



無数の黒い腕。


今度は数十本。



兵士たちが絶望する。


「ふ、増えた……」


「終わりだ……」



ミリアが叫ぶ。


「全軍後退!!」


蒼い魔眼。


完全に焦っていた。



これはもう戦争じゃない。


世界災害。



その時。


ガレスが笑った。


血まみれ。


それでも。


笑っている。



「最高じゃねぇか!!」


リゼが怒鳴る。


「アンタだけテンションおかしいのよ!!」



しかし。


士郎も笑っていた。


完全に。


戦いへ酔っている。



『受け入れろ』


『壊せ』


『もっとだ』


頭の奥の声。


以前より近い。



士郎の黒い瞳が揺れる。


一瞬。


ほんの一瞬だけ。



黒い紋様が、心臓付近まで侵食した。



エレノアが目を見開く。


「……速い」



シグルドも気づく。


青い瞳。


険しい。



このまま戦えば。


士郎は勝つかもしれない。



しかし。


その時には。


“士郎”が消える。



その瞬間。


数十本の黒い腕が、一斉に振り下ろされた。


轟音。



空間崩壊。


大地消滅。


世界震動。



十三英雄たちが迎え撃つ。


シグルドの斬撃。


アッシュの神速槍。


ミリアの超級魔法。


ガレスの巨斧。



それでも。


押し切れない。



兵士たちが吹き飛ぶ。


戦線壊滅。



その時。


士郎が笑った。


歓喜。



「もっと来い」


黒い靄が爆発する。



次の瞬間。


士郎の背後。


巨大な黒い影が、さらに実体化した。



兵士たちが絶叫する。


「ま、魔王……!」



影が。


士郎と同じ動きをする。



拳を振り上げる。


轟音。



巨大な黒い拳が、数十本の原初の腕へ叩き込まれた。

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