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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第八章 『魔王覚醒編』
133/464

第133話 望み

黒い空。


崩壊する戦場。


無数の裂け目。


そして。


その中心。


西園寺士郎。



シグルドの言葉だけが、静かに残っていた。


「お前は、何を望む」


静寂。


兵士たちも。


十三英雄も。


魔族たちも。


全員が士郎を見る。


世界を壊しかけている怪物。


その男が、何を求めているのか。



士郎は少し黙っていた。


黒い瞳。


赤が混ざる。


頭の奥では、まだ声が響いている。


『壊せ』


『喰らえ』


『奪え』


うるさい。


鬱陶しい。


しかし。


シグルドの問いだけは、妙に耳に残った。



士郎は鼻で笑った。


「知らねぇな」


静寂。



「生き残るために殺して」


「強ぇ奴と戦って」


「気づけば、ここにいた」


士郎は黒い空を見る。


「それだけだ」



戦場が静まり返る。


シグルドは黙って聞いていた。


青い瞳。


真っ直ぐに。



その時。


頭の奥の声が強くなる。


『違う』


『お前は魔王だ』


『世界を壊せ』


轟音。


黒い靄が暴れる。


空間歪曲。


兵士たちが吹き飛ぶ。


しかし。


士郎は拳を握った。


抑え込む。


自分で。



シグルドが目を細める。


「……抗っているのか」


士郎は笑った。


苦しそうに。


「気に入らねぇんだよ」


静寂。


「頭ん中でゴチャゴチャ喋られるの」



ガレスが吹き出す。


「理由がシンプルすぎんだろ!!」


リゼも思わず叫ぶ。


「そこ!?」



しかし。


シグルドは笑わなかった。


理解した。


この男。


世界を滅ぼそうとしているんじゃない。


滅びながら戦っている。



その時。


ミリアが顔をしかめる。


蒼い魔眼。


「待って」


静かな声。


「侵食が止まってない」


空気が変わる。


士郎の黒い紋様。


さらに広がっている。


首元まで。



エレノアの顔色が変わる。


「まずいわね……」


いくら士郎が抗っても。


原初の力そのものは、確実に士郎を侵食している。



その時。


空が軋んだ。


轟音。


全員が顔を上げる。



黒い空。


その中心。


巨大な“目”のようなものが、ゆっくり開き始めていた。



兵士たちが絶叫する。


「な、何だアレ……!」


「空に……目が……!」



ミリアの顔から血の気が引く。


「……嘘」


蒼い魔眼。


震えていた。


「あれは……」


静寂。



「原初の魔王の“視線”よ」

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