表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第八章 『魔王覚醒編』
128/464

第128話 原初の紋章

魔王城北部戦線。



黒い空。


崩壊する大地。


そして。


士郎の足元へ浮かび上がる、巨大な黒い紋章。



禍々しい。


古い。


見ているだけで本能が拒絶する。



兵士たちが震える。


「な、何だ……」


「あれは……」


「見てるだけで頭が……!」



ミリアの蒼い魔眼が揺れる。


「……原初級術式」


信じられないものを見る顔。



アッシュが眉をひそめる。


「知っているのか」


ミリアは黒い紋章を睨む。



「神代文明以前」


「世界が一度滅びかけた時代」


静かな声。


それでも。


震えていた。



「“原初の魔王”を象徴する紋章よ」


静寂。



兵士たちの顔色が変わる。


伝承。


神話。


禁忌。



それが。


今、目の前にある。



その時。


士郎が頭を押さえる。


黒い瞳。


赤が濃い。



『壊せ』


『奪え』


『喰らえ』


『お前が魔王だ』


声が止まらない。



士郎の表情が歪む。


苦痛。


苛立ち。


歓喜。


全部混ざっていた。



リゼが叫ぶ。


「士郎!!」


それでも。


士郎は反応しない。



黒い靄がさらに膨れ上がる。


轟音。


空間歪曲。



兵士たちが吹き飛ぶ。


戦線崩壊。


完全に制御不能。



シグルドが踏み込む。


白銀の剣。


神速。



「西園寺士郎!!」


斬撃。


一直線。



しかし。


士郎は片手で止めた。


静寂。



白銀の剣が、黒い靄へ押し潰されていく。



シグルドの青い瞳が揺れる。


重い。


以前より明らかに。



士郎が笑った。


それでも。


その笑みは、少しだけ“違った”。



「……邪魔だ」


低い声。


冷たい。



次の瞬間。


拳。


轟音。



シグルドの身体が吹き飛ぶ。


白銀の鎧が砕ける。


地面激突。


血飛沫。



兵士たちが絶叫する。


「シグルド様ァ!!」



ガレスが笑いながら突っ込む。


「いいぞ化け物!!」


巨大斧。


全力。



士郎は振り向きもしない。


黒い靄が膨れる。



ガレスの斧ごと、周囲空間が圧壊した。


轟音。



ガレスが初めて顔を歪める。


「ッ……!」



止められない。


近づけない。



アッシュが即座に援護へ動く。


神速槍撃。


それでも。


士郎の周囲だけ、空間そのものが狂っていた。



槍が届かない。


距離感が歪む。



ミリアが顔を青ざめさせる。


「存在干渉まで……!?」



エレノアが士郎を見る。


赤い瞳。


険しい。



違う。


これはもう、単なる暴走じゃない。



“覚醒”だ。



その時。


士郎の黒い瞳が、ゆっくりリゼを見る。



リゼの背筋が凍る。


怖い。


今までで一番。



それでも。


その瞳の奥。


ほんの少しだけ。


苦しそうだった。



そして。


士郎が小さく呟く。


「……うるせぇ」


その瞬間。


黒い紋章が、さらに広がり始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ