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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第七章 『十三英雄戦争編』
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第107話 黒き災厄

聖王国。

中央大聖堂。

巨大な会議室。


空気は最悪だった。



円卓を囲むのは。


聖騎士団。

大司教。

王国貴族。

各国代表。


人類側中枢。



全員の表情は青ざめていた。


理由は一つ。


中央水晶へ映し出される映像。



黒い靄。


赤黒い瞳。


そして。


白銀騎士シグルドを叩き潰す男。


西園寺士郎。



静寂。


誰も喋れない。


信じられない。


人類最強格が敗北した。


しかも。


正面から。



老司教が震えた声を漏らす。


「……アレは魔王だ」


別の貴族が怒鳴る。


「違う!!」


「人間だと報告が——」


「人間であんなものが存在してたまるか!!」


会議室が荒れる。


恐怖。


焦燥。


怒号。


完全に混乱していた。



その時。


扉が開く。


静寂。


全員が振り向く。



白銀の鎧。


純白の外套。


そして。


静かな青い瞳。


シグルド・アークライン。



空気が変わる。


英雄が戻った。


しかし。


その姿を見た瞬間。


全員が理解した。


勝てなかった。



シグルドは黙って席へ座る。


血痕。


砕けた剣。


それだけで十分だった。



老司教が震えながら聞く。


「……本当に敗れたのか」


静寂。


シグルドは少し黙る。


そして。


静かに答えた。


「あれは危険です」


重い声。


会議室が静まり返る。



「既存の魔王とは違う」


青い瞳。


真っ直ぐ前を見る。


「目的が読めない」


「支配欲もない」


「思想すら曖昧だ」


静寂。



「ですが」


シグルドの声が低くなる。


「あれは確実に、世界を壊す」


空気が凍る。



人類最強格。


その英雄が。


断言した。


“災厄”だと。



大司教が顔を歪める。


「討伐するしかあるまい……!」


別の貴族も叫ぶ。


「全国家へ通達しろ!!」


「魔族と結託した裏切り者だ!!」


「存在を許すな!!」



その時。


会議室奥。


一人の老神官が静かに呟いた。


「……黒き災厄」


静寂。


全員の視線が向く。



老神官は、水晶の士郎を見る。


黒い靄。


赤黒い瞳。


完全に人外の存在感。



「神話に記されている」


震える声。


「世界を破滅へ導く“黒の魔王”」


「まさか……本当に存在したとは……」


空気がさらに重くなる。



シグルドは黙っていた。


青い瞳。


脳裏へ浮かぶのは。


戦場で笑っていた男。



恐怖はない。


けれど。


理解していた。


放置すれば終わる。


世界そのものが。



その頃。


魔王城。


最上階。


士郎は夜空を見ていた。


黒い靄。


赤黒い瞳。


静かな空気。



リゼが後ろから近づく。


「……何してるの?」


士郎は空を見る。


「別に」


いつもの声。


ただ。


以前より少し低い。



リゼは少し黙る。


そして。


小さく聞いた。


「怖くないの?」


静寂。



「世界中から殺されようとしてるんだよ?」


普通なら壊れる。


逃げる。


怯える。


けれど。


士郎は笑った。


獰猛に。


「最高じゃねぇか」


リゼは呆れる。


「やっぱり化け物……」



ただ。


その時だけ。


士郎の笑みが、少しだけ寂しそうに見えた。

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