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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第六章 『魔族領侵攻編』
105/464

第105話 魔王会議

魔王城。


最上階。


巨大な円卓の間。


重苦しい空気が漂っていた。



並んでいるのは。


魔族領を支配する上位魔族たち。


竜人族。


鬼族。


吸血種。


魔導貴族。


どいつも、人類側なら国家級災害。



だが今。


その全員が、黙っていた。


理由は一つ。


円卓最奥。


そこへ座る男。



西園寺士郎。


黒い靄。


赤黒い瞳。


片肘をつきながら、退屈そうに座っている。



リゼが小声で呟く。


「なんで普通に座ってるのこの人……」


グランも顔をしかめる。


「似合いすぎて怖ぇんだよ」



アルシアは士郎の隣に立っている。


白銀の髪。


紅い瞳。


完全に補佐役みたいな立ち位置だった。



その時。


鬼族の大男が低い声を出す。


『本当に、この男を王として認めるのか』


空気が張り詰める。



別の魔族も続けた。


『強い』


『それは認める』


『だが、人間だ』


『我ら魔族の王になる資格があるのか?』



リゼが顔をしかめる。


「また始まった……」


グランもため息を吐いた。


「まぁ当然だろ」



アルシアは静かだった。


紅い瞳。


士郎を見る。


試している。


そんな視線。



だが。


士郎本人は興味なさそうだった。


「別に認めなくていい」


静寂。


魔族たちの空気が止まる。



士郎は頬杖をついたまま続ける。


「俺は王になるつもりもない」


「支配にも興味ない」


リゼが呆れる。


「じゃあ何でここいるのよ……」


士郎は即答した。


「強い奴が集まるからだ」


グランが頭を抱える。


「ブレねぇなコイツ……」



その時。


円卓の一角。


黒衣の魔族が立ち上がる。


細身。


長髪。


黄金の瞳。


そして。


異常な殺気。



『なら試させてもらおう』


空気が沈む。


上位魔族たちがざわついた。


「まさか……」


「ヴェルドか」



魔剣侯ヴェルド。


魔王軍最高幹部クラス。


アルシア派ですら警戒する、純粋戦闘特化の怪物。



ヴェルドは士郎を見る。


黄金の瞳。


獰猛な笑み。


『弱ければ殺す』


『強ければ従う』


『それだけだ』



士郎は笑った。


歓喜。


「いいな」


リゼが即座にツッコむ。


「よくないから!!」



その瞬間。


ヴェルドが消える。


超高速。


黒い斬撃。


空間を裂く魔剣。



だが。


士郎は座ったまま。


黒い靄が揺れる。


斬撃が、触れる前に砕け散った。


轟音。


円卓の床が割れる。



静寂。


ヴェルドの黄金の瞳が揺れる。


初めて。


驚愕。



士郎は頬杖をついたまま笑った。


「終わりか?」


空気が凍る。



ヴェルドの背中へ、冷や汗が流れる。


理解した。


格が違う。


目の前の男は。


もう“生物”として別次元。



次の瞬間。


ヴェルドが膝をついた。


『……失礼した』


魔族たちが息を呑む。


魔剣侯ヴェルド。


その怪物が。


完全敗北を認めた。



アルシアは静かに笑う。


「決まりね」


紅い瞳が細くなる。


「異論ある者は?」


誰も答えない。


答えられない。



その時。


士郎が退屈そうに立ち上がる。


「終わったなら飯にしろ」


リゼが吹き出す。


「緊張感返して!!」



だが。


魔族たちはもう理解していた。


西園寺士郎。


この男は。


歴代魔王とも違う。


支配者ですらない。



もっと危険な何かだ、と。

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