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一頁の物語  作者: Keiたま
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『ねぇ、どうして?』


頭の中でリフレインする彼女の声。


「…はぁ…うっとーしーなぁ…」

高さがあるために設けられた、安全確保のための柵。その間から足だけを下界に覗かせブラブラと揺らす。耳には下界の喧騒をシャットアウトするための音楽機器を付けている。しかし頭に響くは今流行りの歌ではなく――


『ねぇ、どうしたの?』

―どうしたの、じゃねぇし!

『あたし何かした?だったら言って?』

―だぁぁっ、イラつくっ!自分で気づけよバカオンナ!


『っ、本当に、あたし…どうしたら…っ!』

―泣くなウゼェ!…泣いたって、どうにも…ならないし。


冷静になるべく場所を求めてやって来たのにこれでは意味がない。

いつもいつもこんな嫌な気持ちになるのは自分で。そんな度量の狭さに自己嫌悪に落ちるのも毎回で。なのに、なのに…!


「なんっっであのバカオンナばっかり!世の中不公平だぁーー!」


あまりの鬱憤に叫んでしまう。ここが人目のつかない廃ビルな屋上で良かった…

「…あ、母さん」

いつでもどこでも連絡のとれる四角の物体がズボンのポケットで揺れ、確認してみれば母上様からの夕飯のお知らせ。


「帰るか…」

一応少しだけ鬱憤がとれたので、母さんと母さんの夕飯と、アイツが居る家に大人しく足を向かわせた。





「もぅ…あんたお姉ちゃんの気持ちも察してあげなさいよ」「お姉ちゃんっても双子に意味無いよ。それに察してるよ!何よりも大事な片割れなんだから!」

そう、例え勘違いで自分を恨んでいると分かっていても、あの子を守れるのはあたしだけ。

さぁ帰ってくるあの子を迎える準備をしなくては。


「…あんた逹どっちもどっちね…」

母の的確な呟きは聞かれることもなく消えた

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