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天鬼 ~幸せな華~

幸せな華


私は生まれた時から幸せものだった、住む家があり食事がある学校に通うことだってできた

ただ名前のせいでよく男子からいじめられる事があった。だが、クラスの女子はいつも友達でいてくれた。

亡き父が付けた私の名前は



『凶華』




私が生まれてすぐ父は亡くなった

父が残したものと言えば多額の借金と凶華という名前だ


母はいつも私に謝ってばかりだった

「ごめんね、凶ちゃん家族の時間を作れなくて」

気にしていない、私は感謝している、こんなにも幸せなのだから


そうはいっても私は小学生、子供だ、寂しさを紛らわせるためにいつも公園にいた

そんな時だった、

「あなた、お名前は?」

見たことがあった、この子は確か、いつも家族でこの公園に遊びに来ている子だ

「私は凶華っていう名前だよ、あなたは?」

すると笑いながら彼女が言う

「私はね、椿っていうの」

良い名前だと思った。親の愛を感じた。

「椿っていうんだ、親は?どうしたの?」

すると、突然泣き出し

「家出したの、お母さんが、椿は悪い子だからもう要らないんだって」

私は目線を合わせてゆっくり伝わるように言った

「椿ちゃん、よく聞いてね、きっと今頃お母さん椿ちゃんがいなくなって心配してると思うんだ、だから家に帰ろう。

きっと待ってるから、そしてごめんなさいしよう、一人が怖いなら私も付いていくから」

すると泣きながら

「うん、わかった」

と答えてくれた



「もう、椿ったらどこにいってたの!!私、心配したんだから」

椿ちゃんはいまだに泣き止まず

「ごめんなさい」

と小声で言っていた

だが、母親には伝わっていたようで

「私も少し言いすぎちゃった、ごめんね、そうだ!今日は椿ちゃんの好きなハンバーグにしましょう!」

すると椿ちゃんはすぐに泣き止み

「やったー」

と喜んでいた

すると椿ちゃんの母親が私の方を見て言った

「もしかして、あなたが椿を言い聞かせてくれたの?」

私は答える

「親を大事にして欲しかったので。いつも公園の端で見てました、仲良さそうにしているあなた達家族を

だから、きっと心配しているだろうなって」

そして椿ちゃんの母親が言う

「本当にありがとうございます、出来ればこれからも私の娘と仲良くしてやってください」


このようなことがあり私と椿ちゃん一家は仲良くなった。

私は公園だけでなく椿ちゃんの家にも遊びにいくようになった。


それから2年後、私は小学6年生になった


クラスの中で私のことをいじめる奴はいなくなった。私は独学で剣術を学び対抗できるようになったからだ

母親は最近、帰って来なくなった。食べるものが無くなり私が公園で一人いたところを椿ちゃん一家に助けられた

今は椿ちゃんの家で暮らしている。幸せだった。ただ、そんな日常も永遠には続かない。

私は椿ちゃんの母親と父親から呼び出された



私が人間でいた最後の日だ



「ごめんね、これは凶ちゃんにしか頼めないことなの、今から色々な事を話すけど

落ち着いて聞いて欲しい。あと、この事は椿ちゃんには言わないで欲しいの、お願いできる?」

私はこの家族に助けてもらっている、いわば命の恩人だ、断れるはずがない

「はい」


椿ちゃんの母親と父親は一度交通事故で死にかけていた

死の間際、空が赤く染まり次に目覚めたときには交通事故が起こる前に戻っていた

しかし、その時は交通事故が起こったという記憶はなくまたしても事故は起こってしまった

だが、死ぬことはなくなぜか生きていた。そしてすべての記憶がよみがえった

椿ちゃんの母親と父親は不老不死と過去に戻る能力を手に入れていた、見知らぬ世界で、、、

そんな能力にも欠点があり一番大切なものを失ってしまうこと

椿ちゃんの母親と父親が一番大切にしているものは娘である椿ちゃんだ

椿ちゃんを生かすためにはこの能力を誰かに引き渡さなければいけない

そこで私にこの力を継承しようという話だった


「分かりました、それでどうやって受けとればいいんですか」

すると泣きそうな、つらそうな、弱々しい声で答えた

「私たちを殺すことで継承する事ができるの」

、、、え?

「そ、そんな、そんなことって、もし死んだら椿ちゃんの成長見ることだって出来なくなるんですよ」

すると、微笑んで答えた

「私たちは娘が何より大事なの、椿が生きていればそれでいい、それに本当ならあの時死んでたから、

小学生になれたのを見守れただけで私は十分だから」



椿を幸せにして

凶華ちゃんも幸せに生きて

周りを助けてあげて



これが私たちの最後のお願い



こうして私は椿ちゃんの母親と父親から力を授かった

椿ちゃんの記憶には両親は不慮の交通事故で死んだと刻まれた



しかし大切なものを失う呪いは死んでもなお継続した

残された椿ちゃんが私にとって一番大切なものだったから


高校生になってすぐ椿ちゃんは交通事故で死んだ


私は力を与え彼女はよみがえった。しかし生き返ると同時に死んだ両親の真実を知ってしまった。

彼女は後悔した。そして彼女はやり直した、真実を知る前の1日を永遠と



凶華は十分幸せに生きた、あとは椿が幸せになれば約束が守れるね、これからは私が椿として生きていくよ


さよなら、私


(完)

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