切り札
作戦をたて 考えられる最高の準備をする。それは 戦闘の切り札になる。
切り札
「こっちだよぉ〜♪ イーサンくん♪ ガンバって♪ ニィニィに 追いつけたら、今夜 一緒に、お風呂に入って ニィニィは、イーサンくんと、お泊りしちゃおうかな〜?♪」ボクは、軽〜く イーサンくんを煽りながら、運動場を 走りまわっている。
昨日は、ヤバかった 雲梯でも、5歳児の スゴさを、イーサンくんに みせつけている。
「ニィニィっ! はあっハぁ… はあっハァっ… ニィニィっ! うわぁ〜ん え〜ん!ぎゃぁ~ッス!」遂に イーサンは、ゴロゴロ暴れながら 泣き喚きはじめた。
オロオロ ハラハラする、執事長セバスチャンさんはじめ 大人の皆さん! 約束ですからね?ボクが イーサンくんを泣かしても、ボクが イーサンくんに マウント…ゲホゲホ…指導する 立場を 築くまでは、手出し無用ですよ?介入してきたら ボクは、2度と イーサンくんに、かかわりませんからね?
「イーサンくん ニィニィは、ソバにいるだろ?そんなに ゴロゴロ暴れてたら、イーサンくんを 抱っこしたり、いい子イイ子デキないし 楽しく遊べないから、ニィニィ もう帰っちゃおうかな〜?」イーサンくんは、大声で 泣き喚いているけど、絶対に ボクの声を、ちゃんと 拾えているハズだ。
「あ〜あ、泣いてばかりで ツマンナイから、帰っちゃお〜。あ〜あ、お話にも なんなくて、ツマンナイから もう、遊びになんか 来ない。じゃあね〜 バイバイ?」ボクは、踵を かえした。
ピタッ! イーサンくんは、泣き止むと 突進ではなく、静かに 話しかけてきた。
「ニィニィ! イーイー いいちょいいちょちゆ〜っ!いいちょいいちょちゆ〜っ!」ぺチぺチと モミジみたいナ、ちっちゃな両手で 音をたてて、ボクを 振り向かせようとしているよね?
おいおい 正面に見える、大人さん達 涙ぐむんじゃない!!
ペチペチ「ニィニィっ!」ペチペチ「ニィニィっ!」フフフっ! 勝負あったな……ボクは、満面の笑みで 振り返る。
「おおっ!イーサンくん おりこうな いい子に、なりましたね?」ボクは、自分から イーサンくんに駆け寄り、思いっきり 抱きしめて、髪を くしゃくしゃに、両手で ナデまわした。
何なら「いい子の イーサンくんなら、ニィニィは 大好きです。毎日遊びたいくらい ニィニィは、イーサンくんが大好きです!」チュッ! サービスで ほっぺに、ちゅうを してみましたが、コレは やり過ぎだったみたいで、イーサンくんだけでなく マワリの大人さん達も、パタパタ 倒れてしまいました。(反省!)
「イーサンくん 疲れちゃった?ニィニィが おんぶしてあげようね?おとなしくて 聞き分けの良い、イーサンくんは おんぶもデキルからね?」もう、イーサンくんも 孤児院の、ワルガキじゃない おチビちゃん達と同じ、お兄ちゃんには 逆らえませんよ?モードに なってしまいました。
大怪獣よろしく 突撃していた、何分か前のイーサンくんは とてとてとて…、ぴとっ!と ボクの背中に、可愛らしく くっつきました。フフフっ!
「ニィニィが、お昼ごはんの所に おんぶして行こうね!?お腹すいたね?お昼ごはんのあと お昼寝して、ずーっとおりこうさんだったら 今日は、オヤツのあとも 遊んであげるよ?」と やさしく、おんぶした イーサンくんの、かわいいお尻を ペンペンしてあげると、イーサンくんは、「あいっ! イーイーいいちょいいちょちう!」右手を あげてるな?フフフっ!調教じゃなくて 教育的指導、第一段階 クリアだな!
イーサンくんは、ナント ボクのマネをして、メイドさんに 給仕してもらいながら、子ども用の フォークとスプーンで、食事することが出来た。途中で 疲れて熟睡、お腹いっぱいじゃないから オヤツの時間は、お昼寝 1時間後と、昨日より 早くなる。計画通りだ!
1日7回 一回に5人前は、普通の 3歳児では、カローラの取り過ぎだ。カロリーを 沢山摂るから、エネルギーがありあまり 大怪獣みたく、大暴れする!大暴れするから また多量に食べてと、悪循環になり 躾もへったくれもあったもんじゃない状態だった。言ってもわからない子どもには、愛あるビンタだって 必要なときもある!!他人が 叩けば、虐待だけど ソレでも、必要なコトもある!
あのまま、悪循環を 繰り返していたら、イーサンくんは 心が、壊れていたかも知れない。可愛がるだけでは 我儘で、非常識な考えの 歪な心の、犯罪者しか 育たない場合が多いのだ。
ヒトリっ子で、我慢ができない 打たれ弱い子どもは、おかしな権力を欲しがったりするものだ。
ボクは、マズ お兄ちゃんとして、イーサンくんに 尊敬され、イーサンくんが ボクを認め、ボクの言うことに 耳を傾けることが、デキルように 仕向けなければならなかった。
ツマリ、ボクは イーサンくんより、速く走り イーサンくんより、上手に遊ばなければならなかった。
準備をした。速く走れる靴 身軽になる服、体力を回復し続けるスキル。
スカーレットbookで、自分のステータスを 再確認した。ボクは ゼロ歳から、5歳まで スキルポイントを、全く使っていなかった。本当に 生まれた時のまま、レベルアップボーナスも 全く手つかず!夕べ ボクは、自分に必要なスキルを取得し そのレベルを上げた。
スカーレットbookは ボクが生き残るタメの、道標だと 心から確信した。
必要な作戦を考え 作戦に必要な準備ができた。今 イーサンくんが、良い子で ボクになついてくれたのは スカーレットbookのおかげだ!




