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バタフライエフェクト

 バタフライエフェクト チョウの小さな 羽の余波が、思いがけなく大きな 出来事へと、どんどん影響していく…


  バタフライエフェクト


 「辺境都市ビフレスト警備隊隊長 ロバート・シャトナーだ。長ったらしいからな、ボブでいい 敬語もいらんし、面倒くさいことは 全部抜きだ!ヨロシクな?おチビさん!」ボブは 握手しようと、右手を 差し出す動きを初めた。

 握手は ヤバい行為だ。無防備に 素肌同士を、他人と 密着させれば、スキル次第では 自分の情報を、全部抜かれるかもしれない。何なら スキル自体を、奪われかねない。握手はなしだ。しかし、失礼に なっては困る。


 「初めまして、こんにちは。ルークです。」ボクは 深くお辞儀をした。ボブの 右腕は、まだ 差し出されてはいない。セーフ!

 「ほーん、ヒカル お前、握手は嫌いか?」ボブさん?ボクは ルークですが?

 「アハハハハ!キャップったら フラれましたね?ププっ!」ボブの隣りに 立っていた、若い執事?さんが、楽しそうに 笑った。

 「コレは 失礼。ワタクシは マネージャーのフィンです。ヒカルさんと ボブが言ったのは、コードネームを ヒカルと決めたのでしょう。警備隊では、ルークくんではなく ヒカルと呼びます。最初は 色々と、面食らうだろうけど なれましょう。」フィンさんも 何か、言ってること おかしくないですか?思わず 首をかしげた。



 「まあ…座って話そう。」ボブは、ソファに ボクを座らせた。警備隊隊長室は、まるで校長室のようだった。警備隊のシンボルマークの前に、重厚感のある ピカピカの大きな執務机は、全く何も載っていない。大きな黒い革張りのソファは、程よい硬さで 座ると、落ち着ける。

 フィンさんが、いつの間にか 隣りのへやから、お茶の準備をしてきてくれた。

 「コーヒー?紅茶?果実水もあるよ?」美味しそうなクッキーの お皿を、3人の席に 並べながら、慣れた調子で 尋ねるられた。やったぁ!クッキー 大好きです。個別に お皿に出されたから、遠慮なく食べられる。真ん中に大皿にだされたら 手は出しにくいからね?

 「果実水を お願いします。いただきます!」本当に美味しそうな クッキー!5種3枚ずつ!大盤振る舞いだ!マズは、プレーンな丸いヤツ!

 「どうだ?ウマいか?」ボブ、まだ 食べてないよ。少し 待って……

 「キャップ、ヒカルは まだ、手にとった だけですよ。ゆっくり食べさせてあげましょう。今日は。」アレっ?今日は?何か引っかかる言い方だけど、クッキーが先だね。うん サクサクで、バターの良い香り 甘すぎず、いくらでも食べられそうな プレーンな味。サクサク サクサク。

果実水は よく冷えた、アップル味?ゴクゴク…ふいーっ…ウンウン、最高!次は、チョコチップの 星型のクッキー。ポリポリ!ポリポリ ポリポリ。少し固めの ポリポリ食感、むうっ まじか…止まらない、ポリポリ ポリポリ、ゴクゴク。ボクは 夢中で、5種のクッキーを堪能した。

 「ヒカル かわいいなっ!」ボブが 破顔。ソレをみて、フィンは 嬉しそうに、頷く。

 「果実水を、足すよ?」フィンが 大き目の、コップに 果実水を足すと、今まで 薄いクリーム色だったのに、みるみる赤くなった!びっくりした!ビクッと して、パチクリしてしまう。

 「アハハハハ!マジか?見ているだけで おもしろぞ!フィン お前、やっぱりデキルヤツだな!」本当に よく笑う人だな、ボブ!

 「ツカミは オッケー!!!ですね。ふふふ」フィンさんも とても満足そう。色が変化した 果実水は、ちょっと酸味がした。レモンかな?

 「ちょっと スッパくなってて、とてもおいしいです!クッキーも どれも美味しくて、最高です!」ボクも 破顔した!

 「ヒカルをみただけで、味はわかったぞ。本当に うまそうに食ったからな。よし ヒカルの観察は終わりだ。オレ達も 食おう!」ボブは コーヒーカップを、ソーサーに戻すと 大きな指で、クッキーをつまみ ポイッと口に入れた。

 「フィンの 手作りなんだぜ?パティシエのスキル持ちなんだと。だから お茶は、いつも 楽しみなんだ。」ポリポリ サクサク、ゴクゴク。

 3人とも、暫く クッキーの攻略に、勤しんだ。おなかが くちくなった。


 「さて、腹を落ち着かせながら ヒカルのアルバイト内容を、説明するか。フィン頼む。」ボブは、二杯目のコーヒーも 美味しそうに飲んでいる。フィンさんは、紅茶を一口飲んで ボクを、真っ直ぐにみた。

 「ヒカルには、エージェントに なってもらう。コレは コードネームを、付けられた時点で 決定事項。イイね?」いやいやいや フィンさん、言ってること 意味わかりませんて、ボブ!3回も 頷くな!

  「ヒカルは、エージェント スパイの違いが 解りますか?どちらも 同じようですが、エージェントは まあ、権力の後ろだてがあって、何でもヤレる 諜報員ですね。」うん、ソコはわかる。でも、何で ボクなんだろう!?また 首を傾げてしまった。

 「孤児院で、アルバイトの求人票をみただろ?アレは、各ギルドにも 同じのが、貼ってあった。そして、その文字は 伝説の勇者様の母国語 日本語で、書いてあったのさ。ソレが読める者 人族でも、獣人でも エルフでもいい、言語翻訳スキルを 持っていて、求人票に反応出来たら エージェントにしろという、伝説の勇者様の 命令が、先祖代々 辺境警備隊本部の、最優先命令として 受け継がれているのさ。あの求人票は、オレ達には サッパリ読めん!外国語とか そんな認識だな。ヒカルは 当たりナンだぜ!?」ボブさん、意味わかんないです……マジで 不安だよ。不安しかないよ。

 「落ち込まない 落ち込まない!しかし、5歳の子どもが 面接に来るとは、意外でしたよね?キャップ。マニュアルは 育成10年計画に、なっていますが 5歳児なら、15年計画ですか?楽しみですねー フッ!」っ!キャぁっ…フィンさんの フッ!コワイです……冷や汗タラタラ……

 「まぁ、表むきは 幼児の使い走りのアルバイト、しかしして その正体はってか?アハハハハ いいなぁ!オレは 今超おもしろがってるし、ヒカルで めちゃくちゃ遊びたい!」アウトぉー!ボブさん 発言アウトですからね? 

 パクパクしていて 考察が、纏まらないボクを 置き去りにして、ボブと フィンさんの、希望的観測感満載の 悪巧み計画が、進んで行く。 エージェント!?それは 5歳幼児の、アルバイトでは ありませんて!伝説の勇者様 何してくれちゃってるの?むーん…落ち着こう!アレっ?新しいお菓子が 目の前にあるぞ?いつの間にか 置いてあるブツ!三角形の層になった側面は、柔かそうなスポンジと 生クリームの層にに、かいま見える あかい苺!そして 三角形の真ん中に デデンと鎮座している、ドデカ苺!ピカピカ輝く まっかっかな苺……そのブツの 苺ショートケーキの、全容を 見せつけられたボクは、一瞬 意識が、飛びそうになったが ブツを項し、味を堪能するまでは 意識を集中しなくては!そう この世界に、ケーキ等 王様でも、食べられないだろう?考察は 後だ、マズは食べよう!

 「いただきますっ!」パンパンっと ナゼか、二拍手して 苺ショートケーキを、拝んてしまった。ボブとフィンの 視線を感じたけど、苺ショートケーキから 目線ははずさない。あ〜っ!苺はいつ食べる?最初か?最後か?  キラキラと誘惑してくる苺をみつめながら、ボクは ふわりと、三角形のトンガリを フォークですくって食べる。生クリームと 舌ざわりのいいスポンジ、カット苺のかおり 脳内しあわせフェスティバル!三角形を 半分攻略した時、ボクは キラキラ煌く、ドデカ苺を 口いっぱいほおばる。うふぅぉ〜ん……甘酸っぱい ドデカ苺の100%攻撃!ボクは ノックアウトされた。フィンさんの 餌ずけは、大成功し 色々と、問題はあるけど 何なら、問題と不安しかないけど 毎日、午後1時 13時に、アルバイト出勤するように 説明されて、残った3人分のクッキーを お土産の袋に入れてもらい、何だか 幸せな気分?で、ボクは 退室した。門番の 気さくな隊員さんに、「気を付けて帰れよ!」と 肩を叩かれて、「ハイ、ありがとうございました。」と、ペコリとお辞儀して 歩き出した。ワクワクしてる?困惑してる?帰ってから 考えよう。いつの間にか 日が傾いている、あの古本屋に スカーレットbookが、まだちゃんとあるか 確かめに行かないと!夕食には まだ、充分間に合うはずだ。



 スカーレットの 煌き(きらめき)は、ちゃんとボクの 目の前にある。明日 エージェントの任命式を受けたら 給金が貰える。ボクは、スカーレットbookに 1つ頷くと、孤児院にむけて 走りだした。その手には クッキーの心地よい存在感があり、ボクは 多分笑いながら走っているだろう。





 

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