年寄りの執事
哄笑する悪魔は、楽しくて仕方がない。粉々になったティカップや 花瓶！引き裂かれたカーテンや 美しいドレス。光金貨５枚の価値など 悪魔にとつて、端金なのだ。誰かの大切なモノを ぶっ壊す！ カ イ カ ン！
side サラ（アスモデウス）
「光金貨 ５枚で買うわ！！」傲慢にサラは 光金貨５枚を、テーブルに放り投げた。
「この法廷書類３枚に 貴女様の、サインと拇印で 手続きは完了致します。今 直ぐにでも、引っ越し可能になっております。」恭しく お辞儀をし、光金貨５枚を アイテムBOXにしまった、年寄りの執事。コイツは、あのゴードンの 本妻の 腰巾着だ。あの 忌々しい本妻の、輿入れの時 おまけとして、厄介払いされてきた ヨボヨボの執事。コイツが 話があると、朝から訪ねて来た。たまたま ゴードンが、早朝に出かける用事があると 早起きしたので、そう たまたま、話を聞いてみた。コイツがいうには、ゴードンがついに 本妻と離縁して、何と屋敷諸共 本妻と娘達に、くれてやったそうだ。法廷書類も キチンと、揃っており 間違いない。その上 あの 忌々しい目の上のタンコブ達が、３人揃って このパカラシティーを出て行くと云うのだ！
ハッ！屋敷には カザイ一式、ドレス等衣装も全て 置いて行くと云う！誰かに 売りたいが、一番最初に 自分を訪ねて来たそうだ。ヨボヨボの年寄り執事らしい 判断だろう。
サラは パカラシティーの娼館の、総元締めをして 数百年、アスモデウスという 悪魔なのだ。キラキラ輝く宝石が好きで 色事にまみれた、この街で 娼館に巣食っていた。どんな時代でも、目立たなく それ也に、楽しんで来たのだ。また 街の最有力者を、完全にモノにし 家庭をぶっ壊してやったのだ！光金貨 ５枚など、端金だ！コレから、あの 忌々しい目ざわりだった、本妻達の全てを蹂躪してやろう！
「ふははははははっ！」サラは 哄笑する！
ゴードンは、今日 ダンジョンに潜ると言っていた。３日ほどは、帰らないだろう！あの本妻の ドレスを切り刻み 紅茶のカップや皿！花瓶も 粉々に投げ割ってやろう！！サラの 哄笑は、暫く止むことはなかった。
年寄りの執事は、こちらも ほくそ笑んでいた。コレほど すんなり、屋敷が売れるとは、考えていなかったのだ。しかし、上手くいくに こしたことはないのだ。なんの 憂いもなく、パカラシティーから 去ることが出来る。
「奥様、光金貨５枚で ございます。お屋敷一式 処分致しました。」書類と 光金貨を渡す。
「ご苦労様でした。コレで パカラシティーを 直ぐに去れます。光金貨５枚あれば、娘達の学費と それ也の、一般家庭の生活が出来ます。新しい普通の服を 新調して、そう エプロンも買わなくてはね？うふふ、ワタクシ、これでも お料理のスキルもちでさのよ？メイドは 雇えないから、ワタクシが 手料理を、致しましょう！うふふふ」年寄りの執事も 破顔した。
「「 お母様！とても 楽しみです！」」娘２人も とても、嬉しそうだ。
もとゴードンの屋敷を、昼前に出立した 貸し切りの馬車には、新しい生活に 胸を躍らせる暖かい、家族と それを見守る、年寄りの執事が乗っていた。
ゴードンと盗賊団のカシラ、宝石商のマネージャーの ３人は、待ち合わせの ダンジョン前に、午後１時より三十分も遅れて 現れた。
ゴードンの命令で、２５人の 警備隊員と、盗賊団の３０人は冒険者に化けて、ダンジョン前で 午後１時には、揃って待っていた。
馬車から降りて来たゴードン達は、悪びれることもなく カモネギ達を見て苦笑してみせた。
「ちょっとぉ、マシューおじいちゃん！失笑されちゃいましたよ？このカッコ（服装）、やっぱり おかしいのですわ？」メイド長マリラさん ミニスカートの、○○探検隊服が お気にめさないみたいだ。
「ダンジョンの探索なのじゃ、○○探検隊の この服装は、物理攻撃武庫 魔法攻撃無効、呪いまで無効にしてくれる、優れモノじゃぞ！！」マシューおじいちゃんは コソコソと、マリラさんを 諭す。
「オレも、普通にバトルスーツの方が 良かったな、」
「まあまあ…イイテハナイデスカ。シバラクノシンボウデスシ…。」フィンは 棒読みで笑う。
「お客様、出発の準備は よろしいでございますか？出発いたしましょう！」抜け抜けと 遅れたことを、謝罪しないで話すマネージャー。
「出発だ！！」ゴードンが 一言叫んだ
お客様扱いの ４人を 真ん中に、ダンジョン探索隊が 出発した。
同じ頃、サラは 哄笑しながら、買取った屋敷を蹂躪しまくっていた。
パカラシティーから どんどん遠ざかる馬車の中では、手作りのクッキーで 紅茶がふるまわれ、暖かく見つめあう家族がいた。
お互いの 思惑は、すれ違いまくっている。
