ゴードンの気まぐれ
光金貨1枚 一億円。アイテムBOXの中に 50枚はくだらないザラザラ音がした。100枚あるかも知れない!!
ゴードンは、もう 光金貨を手に入れた想像しか、浮かばなかった。脳内 ギンギラギンだ!
悪巧み
「明日 ダンジョンの、採掘現場に さそいこみましたでごまざいますよ!あの 田舎者成金達を、ぶっ殺してくださいでございます!」手揉みしながら チョビ髭の痩せたスーツの男が言う。
「そいつら 光金貨を見せびらかすなんて、なんてマヌケなんでやしょうね?カシラぁ!カモネギどもは、皆殺しでボロ儲けでやすよぉ!」チンピラその1が、ニタニタ笑う。
「うーん…、ゴードンが 宝石店にいたんだな!?ゴードンも 光金貨を見たのか?」カシラらしい 大柄のハゲ頭は、渋い顔だ。
「そうなんでございますよ、新しいコレに 安物んの指輪を買いに来てたんでございました。」小指を立てて ブスくれるチョビ髭。
「光金貨達は、宝石の買い付けに来たといったんだな?そして 光金貨を ザラザラ見せびらかした。アイテムBOXに入ってた 光金貨は、家来でも出せたんだな?」何回も確かめるカシラ。
「そうでございますよ!カウンターの上に アイテムBOXの鞄を載せて、両手でザラザラ光金貨を すくいあげたのは、イカツイ家来でございました。」揉み手は止まらない。
「光金貨に驚くお前達に、ゴードンが ダンジョンの採掘現場の案内を、提案してきたんだな?警備隊も護衛につけるから、安全に見学できると。まあ ゴードンにしちゃあ、気が効いてる。ただ、ゴードン抜きだったら 丸儲けだったけどな?まあ 山分けでも、光金貨なら 大儲け出来る!!手下を集めろっ!明日から ダンジョンに潜るぞ!!」カシラは 瓶から、ウイスキーをあおった。
ゴードンが 屋敷に戻ると、年寄りの執事が 慌てて言い訳を始めた。
「お帰りなさいませ、ご主人様。本日は お早いお帰り、何か 問題がございましたでしょうか?奥様と お嬢様方は、今日 お屋敷を出られます。」その 奥様の実家から、着いてきた この年寄り執事は、面倒なヤツだった。
「あ〜、今日が 出戻る日だったか?フン、俺様は 応接間に飾っておいた、お〜、コレだコレだ いつ見ても、惚れ惚れする魔剣だな?そうだろう?べらぼうに 高価だったからな?フン!」ゴードンは、ゴテゴテ宝石がついた 長剣を、飾り棚から 自分の腰に移した。
「あ〜、何だ、カレンと イザベルは、一応俺様の子どもだ。母親の実家では、肩身の狭いおもいもするだろう…。そうだ!執事、書類を揃えろ!この屋敷は 娘達にやろう!俺様は 今日とても、機嫌がいい!俺様は、コノ魔剣だけ持ち出せば、あとは 全部娘達にやる!俺様は、何ていい父親なんだ!」年寄りの執事は 鋭敏だった。サッと動いて、五分もかからず 3枚の書類を揃えてきた。
「あ〜、お前 早かったな?ココに サインと 拇印でいいのか?おおっ!光ったな?フフン!俺様のは サインでも光る!」女と酒で、法廷書類の仕様まで 忘れたクズを、それでも 年寄りの執事は、持ち上げてみせた。
「ハイ、これで つつがなくお嬢様は、お育ちになられます。このワインは 祝盃でございます!」年寄り執事は、なみなみと ワインをグラスに注ぐ。
「イヤ、外の馬車に 女を待たせている。もう この屋敷に用はない。」ゴードンは、ソソクサと立ち上がると 全く振り返ることなく、屋敷を出て 馬車に乗った。纏わりつく若い女を 抱きしめて、口づける。
「フンっ!あの年寄りめ、カンに触る!まあ、明日 光金貨が、ザラザラ手に入る。あんな屋敷くれてやっても もっと立派な屋敷を、幾つでも 造れるからな!」ゴードンは 機嫌がいい。
「奥様!あのゴードンが 法廷書類にサインしました!拇印も 捨て印も、押させました!このお屋敷は、奥様と お嬢様の名義でございます。」年寄りの執事は、心底安堵していた。奥様の実家に出戻るのは 可能ではあるが、2人のお嬢様には、過酷な身の上になるに 違いなかったのだから。
「そうですか、奇跡の様な出来事ですね?でも、ワタクシ達は 予定通り、王都へ 出立しましょう。この屋敷は まるごと売って、娘達の 王都での、貴族学園の 学費と生活費に当てましょう。お前と ワタクシは、小さな家を買い 慎ましく暮らせる位は、お金は残るハズです。」
「奥様、早速手配いたします。出立は、明日 お昼前 ゴードンには、知られぬよう手続き致します。」年寄りの執事は 往年の敏腕ぶりを発揮していた。
「「 お母様!」」2人の 娘達が震えている。3人に 罪はないのだ。ゴードンに いつも、泣かされていた 一番の被害者だった。
「この屋敷と パカラシティーに、全く未練もありません!ワタクシ達は 生まれかわりましょう。王都では、ちゃんとお勉強できますね?」
「「 ハイ!お母様! 」」3人は 抱き合い 微笑みあった。
翌日、カシラとゴードンは 朝から、酒をのみながら 悪巧みをしている。
「ゴードン、警備隊員は 後腐れないのを、選んだろうな?後で 毒殺して、ダンジョンに捨ててくる手はずだからな?」カシラは ゴードンに、敬称もつけずに言う。
「当たり前だ。金に転ぶ ワイロが大好きなヤツらを選んださ。フン。」景気付けの 酒を瓶ごとあおる、ゴードン。
「光金貨は、50枚はあるらしいな?山分けだぞ?お前は、1人じめ出来るが オレは、盗賊団で分けるんだ、多めに欲しい位だぜ。」カシラは毒づく。
「お前も、子分を毒殺すりゃぁ1人じめだろうが?バカ言うんじゃねぇよ!」せせら笑うゴードン、危険は 上々なのだ。
「子分は 見捨てねぇ!あいつらは お前の警備隊と違って、カシラを オレをうらぎらねぇ!チョロまかしもしねぇ!」
「警備隊員より 仁義かよ、まあ好きにするさ!明日の 今頃は、大金持ちだからな?ダンジョンの2階層で一泊して、3階層で あいつらを皆殺しにしてヤルぜ!フン!」鼻息荒く ゴードンは、言い切った。




