side ジークフリート
勇者のタマゴの1人、ジークフリートは、レディジャスティスの援護射撃で 魔法空間、秘密基地 箱舟を、発見できた。両親は 残念だったけれど、3人兄妹は 仲良く、楽しく 飢えることもなく、清潔な環境で 健康的にスクスクと 4年間、順調に成長した。
レディ ジャスティス
パカラシティー近郊のダンジョンの特徴は 宝石が採掘されることだ。魔物は 現在攻略されている、11層で A級のグリフォンが、確認されている。宝石の 採掘現場は、6層で 魔物は、B級ワイバーンや、ブラッディウルフ デビルアント等。冒険者B級以上の パーティなら、稼ぎのいい おいしいダンジョンだ。
そして ダンジョンのお約束どおり、1階は 初心者向の、平原スライムや 噛みつきうさぎ等F級魔物しか出ない。
ジークフリート達、箱舟チルドレンは 1階、噛みつきうさぎ専門家であり 狩った獲物は、ほぼほぼ自分達で 消費していた。武器防具がなく 棒きれで、殴り倒す狩り 効率的ではない。箱舟の 孤児達は、肉は 時々少量しか、食べられないが ソレでも、仲良く 健康的には、生活出来ていた。子どもだけの 集団生活、普通の街では 考えにくい。しかし…パカラシティーは、大人達も 歪んだ法律で、生活しており 孤児の集団の事など、かまう余裕はなかった。
20年程前、ゴードン男爵が パカラシティーの、代官になった時から 盗賊団が、街に入りこんできた。孤児院の大人達を 皆殺しにし、拠点にしてしまう。孤児達は 全員、奴隷として 他の街に、売り捌かれた。そして ソレは、驚くことにおおむね シティー民達から、受け入れられた。自分達の 生活以外に、孤児達を 養うことを、損だと考える シティー民は、少なくなかったのだ。しかし、孤児達を 売っぱらっても、結果的に 無罪だった盗賊団は、勿論増長し シティーに巣食う、マフィアとなり 孤児院を拠点に、ジワジワと パカラシティーを、むしばんでいった。孤児院の子ども達を 見捨てた、シティー民達は 次は、自分の家族が狙われる不安で 卑屈なネジ曲がった性格になり、家庭も不和で シティーは、崩壊の危機になっている。
ゴードン男爵は 政治は、全くの素人で 煩悩で生きている、ただの クズだ。パカラシティーが 宝石や宝飾品の街として、永く繁栄してきた名残で かろうじて街として、機能しており 実際、商業ギルドや 冒険者ギルドでさえ、自分達さえ 毎日生活出来ればいいという考え方をしていた。代官ゴードン男爵の マフィアとの癒着も、見てみぬふりだった。
孤児は、毎年 何十人か出る。冒険者の子どもは、いつ孤児になっても おかしくないのだし、上手くいけば 大儲けできるダンジョンは、冒険者達を 夏場の夜 火の明るさに飛び込む、虫と同じように集める。冒険者達は毎年 死んでもまた直ぐに、パカラシティーに集って大勢来た。
全く 胸くそ悪い話しだ。
レディジャスティスは、空の高みから パカラシティーを観察し、イライラと 不機嫌に、暫くは 過ごしていた。そして、ある日 彼女は見つけ出した。パカラシティーの 自浄作用を、マトモにすることが出来る 実力を持つかもしれない、勇者のタマゴ ジークフリート。まだ 非力な子どもだけれど、少しだけ 手伝えば、パカラシティーの 腐った大人達を、マトモに 出来るかもしれない…。レディジャスティスは 動いた。
ジークフリートは、冒険者の両親と 妹2人の、5人家族で パカラシティーに引っ越してきた。他の B級ダンジョン都市が、拠点だったのだが 所属パーティが、クエストの失敗で 解散してしまった。パーティの蓄えが アルデあったので、奴隷落ちは免れたものの クエスト失敗は、信用を失うことと同義であり 拠点の都市では、冒険者として やっていけなくなった。それで 上手くいけば 大儲けできるダンジョンがある、パカラシティーに やってきたのだった。ジークフリートの両親は、A級冒険者に近い B級冒険者であり、前衛バスタードソードで ガンガン攻める父親と、後衛 回復魔法も使える、弓使いの母親は、相性と 連携抜群の、腕利きだった。両親は、街中に 小さな家を借り、1歳と 3歳の姉妹は、日中 子守を雇い、ジークフリートは 5歳ながら、冒険者ギルドに 登録仮をしてもらい、薬草探しや 剣の訓練、魔物についての座学等 遊びながら、冒険者の真似事をして 毎日楽しく過ごしていた。
そんなある日、ジークフリートは パカラシティーの、ゴミ拾いのアルバイトをしていた。普段は、歩いたコトの内路地に 迷い込んでしまい、何か 呼ばれたように、覗いた壁の間に 入ってしまう。穴?を 抜けると、花壇に 花が咲き乱れている、庭に出た。3階建ての ログハウスがあり、誰もおらず 空き家のようでもあり、しかし ログハウス中、とてもキレイに掃除されていた。ジークフリートは、初めて 水洗トイレを使い驚く!そして 広い台所、温泉掛け流しの大きな お風呂……。暫く 探検して、ジークフリートは、もと来た穴から 路地に戻った。何故か 冒険者ギルドの、直ぐ近くに戻った。
初めて 穴に入ってから、何回か ログハウスの点検をした。ログハウスにいるときは 何でも、覚えているのに ログハウスの事を、両親に知らせ 快適なログハウスに、連れて来ようと 考えるのだけど、穴から出てしまうと ログハウスの事は、忘れてしまう。おかしいと考えるけど、好奇心から やっぱり、時々 路地をウロウロして、ログハウスに遊びに来てしまう。試しに 3歳の妹と、手を繋いで穴を探したら ちゃんと、ログハウスに来れた。何ヶ月か ログハウスに、遊びに来るうち 秘密、箱舟と ログハウスを命名した。探検で 地下空間の、野菜畑 果物畑を 発見したときは、ちょっと スゴく興奮した。そんな風に、ジークフリートは 平穏に暮らしていたのだけど、ある日突然 両親は、帰って来なかった。両親は、ジークフリートに もし自分達が、帰って来なかった時は 朝を待たず、直ぐに 孤児院に避難するよう、教えていた。1歳の妹を おんぶして、3歳の妹と 手を繋ぎ、孤児院に連れて行くようにと、何回か 孤児院の、門の前まで 道を覚えさせられていた。両親が クエストに失敗して、借金が出来たら その子どもは、奴隷に売られてしまう場合がある。孤児院に逃げれば 奴隷になるのは、免れらのだ。帝国の法律が、護ってくれる。
ジークフリートは、子守を 夕方返すと、夜遅く 1歳の妹をおんぶして、3歳の妹の手を繋いで そっと家を出た。目指したのは、ログハウス。孤児院ではない。いつもの穴は 直ぐに見つけ出せた。妹2人を連れていたので 近くで穴が見つけ出せて、本当にに ホッとした。その夜 は、神経が興奮していたのに 泣く間もなく、直ぐに 妹達と眠ってしまった。ジークフリートは、泣くヒマはない。妹達の 世話を、しなければならないから。泣くヒマも なかったけど、酷く辛くもなかった。妹達は 2人とも、よく笑うのだ。朝 果物畑で、採れたての果物を 囓り、美味しいと笑い 野菜で、キュウリやトマトを 囓り笑う!じゃがいもを 泥だらけで掘り、大きいとか 小さいとかで笑うのだ。その笑顔で ジークフリートは癒やされていた。2人の妹達は ログハウスの アイテム、1つひとつが 物珍しそく、水洗トイレや 温泉掛け流しの大きいお風呂、ふかふかで 大きな、大人用ベットに、白いキレイなお皿や カップに夢中になるし、ログハウスの 大きな引き出しの 沢山ついたタンスから、贅沢ではないが 清潔で動きやすいデザインの、生成りの綿の 洋服達から、自分用のサイズを 見つけ出すのが、楽しくてたまらない様子だった。
図書室の絵本で、読み書きを 3人で勉強した。
ログハウスから、パカラシティーに出ていくことなく、4年が 過ぎた。あっと言う間だった。
ジークフリートは、10歳に 妹達は、7歳と 5歳になった。
パカラシティーでは、ジークフリート達は 忘れられた存在になっていた。両親は ダンジョンで魔物に襲われ死亡、クエスト失敗では無かったタメ 借金は、残っていなかった為 子ども3人は、知人が 育てているのだろう……位の、認識だった。ほぼ その日暮らしだったため、資産は 鍋釜と 少しばかりの日用品のみ。話題性も無かったのだ。
ジークフリートは、地下空間の川や 池で、魚や カニやエビをとり、タンパク質も 充分とれていて、年相応の 健康な身体に育っていた。
冒険者としてのレベルも、勇者のタマゴ補正 経験値2倍取得が効いており、B級冒険者並みの 戦闘力をみにつけていた。7歳のアリアは、家事が得意な やさしい女のコに、5歳のルナは、お転婆娘の 魔法っ子に育っていた。
春先の 子ども会議で、3人は パカラシティーへの、探検作戦を話合った。
知らない悪者に 騙されたり、捕まえられらと 命にかかわる。でも このまま、ログハウスの魔法空間に 隠れ続けていては、成長が望めない。危険でも 外に出なければならない。初めは 情報収集から!危険をさけ 時間をかけても、安全に 情報収集するのだ。
3人兄妹は、何日も 会議を行う。会議自体が、ワクワクドキドキ とても楽しかったから。




