どういうコト?
王都までの 乗り合い馬車の中は、和気あいあい アットホームな雰囲気なのだ。
何で こうなった?
どういうコト!?
「イーサン様 コチラのクッキーも、美味しゅうございますよ? 果実水の お代わりは?まだよろしいので?」
「あい! ニィニィ?どうちたの?」赤ちゃん言葉が 幼児言葉に、めざましい変化中の イーサンくんと、メンドリのごとく 甲斐甲斐しく、お世話に 余念がない、執事長セバスチャンさん?どしたの?何故 乗り合い馬車の乗客にいるの?
「ヒカル様も ご遠慮なさらずに、美味しゅうございますよ?」
「フォッフォッフォ! うまいの!儂は 紅茶、ミルクおおめでお願いしますじゃ!」いやいやいや 古本屋のじいちゃん、遠慮ないね?
「チナミに、コレらの クッキーを焼いたのは、ワタクシですよね?まあ 沢山ありますから?ソレは いいんですが。」フィン ソコは、もっと突っ込んで!じゃなくてね?
「どういうコト?」ニギニギしい 王都までの、乗り合い馬車は ココ最近の知り合いばかり、和気あいあいとなごんでいた。
「お昼ごはんは、辺境伯家のコック長が 腕によりをかけたお弁当です!皆様 楽しみにしてて下さいませ!」執事長セバスチャンは 改心の笑みである。乗り合い馬車には 辺境伯家の、豪奢で品のいい馬車が 並走している!辺境都市から 王都までは、馬車なら ゆうに2台は らくらく並走できる、石畳の外道が通り 所々には、魔物が立ち入れない セーフティーゾーンも、完備されている。ボクは、オヤツの クッキーを、ソレでも おいしくいただいている。
執事長セバスチャンは、あの日 辺境伯家のミーティングで、ヒカル様 【ヒカル様 逃してはなるものか作戦】を、捻り出していた。
せっかく やっと、軌道に乗り出した イーサン様の、貴族専用躾は ヒカル様なしでは、やはり困難!ヒカル様が 王都でお暮しになることを理由に、関わりを断られるのなら コチラ側が、王都まで 追いかけていけば、ふふっ 問題ないのです!と。幸い 王都には、辺境伯家自慢の 要塞型のお屋敷も 在りますからね?
辺境伯家では、この作戦を 最高のバックアップ!執事長セバスチャン メイド長マリラ、コック長スコットの 3人衆を、イーサンくんと 送り出した。
イーサンくんは、王都貴族学院 幼稚舎に、通学予定。休日には 時々にはなるが、ヒカル様との 交流も、継続させてみせる!!決死隊作戦なのだ!!ヒカル様 逃しませんよ?アツい視線が 痛いです……コワイです……
「ワタクシは、王都の警備隊に 剣術の講師として 招かれたのですが、実家は 王都なので、全く問題ありませんからね?あなたは 王都に、何用なのですか?」フィンは、遠慮なく 古本屋のおじいちゃんに、突っ込んだ質問をした。直球だね?いつも通りだ。
「フォッフォッフォッ!拠点が 実は王都でした!という者は 以外と多いものじゃよ?儂は 王都錬金術魔術師ギルド 名誉会長マシューじや。勿論 娘やひ孫まで、王都在住じゃよ。辺境都市には 古本屋キットを持ち込んで、スカーレットbook 中をみてみたい作戦を、実験しておっての?わらしには 王都でゆっくりじっくり、スカーレットbookについて 聞かせてもらう所存じゃ!!わらし 王都錬金術魔術師ギルドは、おぬしに ロック・オンしとるからの?!フォッフォッフォ!フォッフォっフォッフォ!」マシューおじいちゃん 何気に、めっちゃ肩書きスゴ過ぎなんじゃ!?
「おやおやまあまあ…!マシュー様 ウチのイーサンお坊ちゃまも、よろしくお願いします!コレはよい ツテが出来ましたね?王都錬金術魔術師ギルドの トップ様と、親しくさせて頂きましたら 魔道具の心配など、チョロいですよね?セバスチャン様!」何かあやしい表現というか 本心ダダもれ発言してますよ?メイド長マリラさん!この人は イーサン命を、まるで隠さない。
「コレコレ マリラさんや!今回のミッションは 悪巧み的要素盛り沢山ですぞ!!言動には 細心の注意を 怠ってはなりませぬ!」もう 突っ込むのは ヤメよう。ここはもう スルーしかない。
「ヒカルくんの 後見人筆頭は、このワタクシ!辺境都市警備隊本部所属ジェネラルマネージャー フィンです。ヒカルくんとの 様々な面倒事は、必ず ワタクシに アポをとって下さいね?皆々様!」フィンは そうだよね…ボク エージェントだし…うん。
そんなコンナの コントみたいな、賑やかで 何となく暖かい、アットホームな雰囲気の 馬車の旅は、数日 何のテンプレイベントなく過ぎていた。いたのだか 遂にテンプレ盗賊団登場! 盗賊団は、セーフティーゾーンで マシューおじいちゃんの、なんちゃって温泉宿魔道具キットにて 深夜2時、皆が 寝静まっていた時襲って来た!
「辺境伯家の 嫡男、3歳の幼児を 誘拐して、白金貨100枚身代金ゲットだぜ!作戦開始!!馬車は 全部焼き払うぞ!!」盗賊団の 頭目が ギラギラ光る曲刀を、頭上に掲げた!
ヒュルー ヒュンヒュンヒュン!何十本もの 火矢が 馬車に向けて射られた!
「ふふん!楽勝だな?おい!」頭目は、子分に悪い笑みを浮かべて言いながら 酒精の強烈な酒を、ショットグラスであおった。ガソリンは入った!火矢の 着弾を合図に、騎乗して 一気に幼児以外、抹殺するのだ。
「ゴキブリ共が 現われましたね…面倒な!」
「辺境伯家の 戦闘力を、侮るなど 笑止!正に ゴキブリ並みの 情報収集能力ですね?」
「儂らの 魔道具に、タダの火矢とは 芸がないのう!子ども達は 寝かしとこうぞ!!」
「辺境伯家の皆さん?ゴキブリ退治は ワタクシの一人でも、オーバーキルです。ワタクシの剣術を お楽しみください」フィンは 言い放つ。
「フィンさんや やっておしまいなさい。」執事長セバスチャン のったね?
「フォッフォッフォ!」
ポトっ…ポトポト…ポポポ…何かねぇ、シマリのない 火矢が、馬車にかけられた マジックシールドに当たり、次々に火が消え 落ちて行く。
「結構 沢山飛んできましたね?盗賊団殲滅後 回収しましょう!火矢は 再利用可能な資源です!皆さん フィン様を 応援しますよ?静かに。」執事長セバスチャンは もう、戦闘後の采配までしている。
「何だ?何故火の手が あがらない?」盗賊団が 掲げた、其々の得物(武器)を 振り回す刹那、旋風が巻き起こる。
頭目の首が 一番に飛んだ!ボトッ…
「頭?」不審な音に、頭目を見た子分は 手綱を握り、疾走している 頭だった身体が、血柱をみた。絶句して 馬から転げ落ちるが、地面に 落馬した その子分の頭も、その首には無かった。
数分後、辺境伯家の者達は 再利用出来そうな、武器島を キチンと集め、盗賊団は 纏めて、魔法で開けた大穴に 放り込み火葬した。
ガタガタ震えている ただ人残した、盗賊団には 拠点まで、案内してもらう。
馬足で、15分の程近くにあった拠点を 逆襲した、フィン達面々は ホクホク顔で、馬車に戻った。盗賊団等野盗は、必ず殺す!そして その拠点に溜めこまれたお宝は、退治した者の 報酬となるのだ。盗賊団等 捕虜にするのは、全く意味もない。他人の命を奪う者達は 生かして置く価値もない。
今回の 再利用資源は、武器防具類 金貨等の貨幣、金銀財宝(延棒 宝石類 美術品)等 結構な金額、それは それぞれ王都で、売り捌かれ 3分割(辺境伯家 フィン マシュー)山分けにされる。マリラ等 王都でのお小遣い稼ぎが出来たと、喜ぶ始末。
「あと何回か 盗賊団に襲われませんかね?ボーナスが増えるし 商隊や、旅人達の 安全にも、貢献できますし 不詳薙刀使い 袈裟がけのマリラの、技もお披露目したいですわ!」喜色満面の笑顔である。
朝起きると、大人さん達は 全員、ニコニコ機嫌が良かった。
どういうコト? デジャヴ? あとで スカーレットbookに 確認しよう。




