1.国連環境対策室
国連の一室では、新たな環境問題への対策を検討するため、環境対策会議が開かれていた。会議には各国の政治家や産業界の代表を招集していた。多分に漏れず、各界の利害関係が絡むこの手の会議では話が一向に進まないことが多いため、議長のゲルハルト=アウスバッハは成果をあまり期待しないまま、開催を宣言した。
「皆さん、本日はお忙しい所は集まって頂いてありがとうございました。今日はスタンフォード大学のブライアン=スチュワート教授が指摘したMOP問題という新たな環境問題について、まずは皆さんにこれを認知していただくことを目的としています。MOP問題は地球全体の生態系に大きな影響を及しますので、これを充分に理解し、今後各国政府で連携して対策に当たる必要があると思っています。それでは早速ですが、スチュワート先生説明をお願いします。」
スチュワート教授は立ち上がり、手で髪型を直しながら話し始めた。
「ただいまご紹介に与りましたましたスタンフォード大学のブライアン=スチュワートです。非常に重要な問題ですので、これまでの経緯から説明していきます。」
スチュワート教授は細かい数字の入った資料を立体スクリーンに表示しながら続けた。
「皆さんもご存じのように、西暦2100年ごろからこの50年間、宇宙の産業利用は大きく発展してきました。これは、2095年に最初の軌道エレベータが実用化され、軌道上に宇宙港ができたことにより、宇宙に行くためのコストが劇的に下がったからです。また、軌道エレベータ自体が安定した収入源になることから、赤道上に位置する数少ない国がこぞってこれを建設し、今や大小合わせると全世界で100基近くが運用されています。このことでさらに宇宙港の使用料が下がり、このグラフに示すように、産業用や観光用の外惑星への年別の宇宙船総数は大きく増えていっています。またそれぞれの宇宙船は大型化が進んでいますので、宇宙船の総重量でグラフを作ると、このように指数的な伸びとなっています。」
「歴史講釈はいいから、何が問題となっているのかを手短に説明してもらえんかね。」
ボスニア代表から不満の声が上がったため、スチュワート教授はそれに応え、単刀直入に言った。
「将来、月が地球に落ちてきます。MOP問題はMoon Orbit Proximity (月軌道の接近)の略です。」
会場内にざわめきの波が広がったが、構わず教授はつづけた。
「外惑星行きの宇宙船は、月を使ってスイングバイを行っています。これは宇宙船の速度を上げる最も効率の良い方法であるため、はるか昔に人類が初めて外惑星探査機であるボイジャーを送り出した時にも利用した方法なのです。スイングバイについて簡単に説明すると、宇宙船の速度を月の公転速度からもらって加速するものです。宇宙船に比べて月はとてつもなく大きいため、ボイジャーに速度を移したところで月の速度はほとんど変わらないのですが、今のように多数の大質量宇宙船が月から速度を奪っていった場合、月の公転速度の低下は無視できなくなります。公転速度が低下した場合、月の遠心力は弱まり、地球に近づいてきます。」
スチュワート教授は別のグラフを表示しながら続けた。
「次のグラフは地球からレーザー測距した月の距離の変化を示したものです。公転のぶれによりプラスマイナスの変動はありますが、傾向としては年々短くなる方向であり、ここ50年間ですでに数メートル月は近づいてきています。月が近づいてくると、まず潮位が変化し高潮が頻発します。また、月の引力が地球を変形させることから火山活動が活発化することとなります。さらに、一日の長さが長くなります。これらが、地球規模で大きな環境変動を及ぼすこと容易に想像できると思いますが、それにとどまらず、このままですと月がロッシュの限界を超えて地球に接近し、月が粉々に破壊されて地球全体に月の破片が降り注いできます。」
しいんとなった会場から質問がなされた。
「月が破壊するのいつになるんだ。」
「このままのペースでスイングバイの利用が増えた場合、計算上100年後ぐらいたと予想されます。」
スチュワート教授の答えに会場から安堵の息が漏れた。
「なんだ、まだそんな先の話か。」
という声が口々に上がり、会場がざわめいた。スチュワート教授はざわめきを遮って声を荒げた。
「月が落ちてくるずっと前から、地球は高潮と火山活動で壊滅的被害を受けることになります。」
これに対し、ラトビア代表から異論が出された。
「月までは38万キロあるんだ。それが数メートル変化したところで大きな影響はない。放置できる問題でないが、喫緊の問題というわけでもあるまい。」
この問題を自分の仕事にしたくない政治家たちや、軌道エレベータで貴重な外貨を獲得している南米やアフリカ諸国の代表たちは、この意見に飛びつき、会場のあちこちで声が上がった。
「宇宙利用を制限するのは経済の影響が大きいですからな。」
「まあ、そのうち技術の発展により解決策はできるでしょう。」
「我々が関与する問題ではありませんな。」
「なんと人騒がせな。」
肩を落とすスチュワート教授を見ながら、アウスバッハ議長はつぶやいていた。「なっ、やっぱりこうなっただろ。」
今の国連は国際連邦の略称である。旧国際連合においては常任理事国5カ国が強い力を持ち、そのうち一カ国でも反対する国があると国連としては否決になるという拒否権が存在した。このため常任理事国に関連した国際紛争に対処するにあたっては、一カ国の拒否権発動により国連としては何も行動ができず、そもそも国際紛争の多くはどれかの常任理事国の利害が絡んでいたことから、国連は機能不全に陥っていた。早くからこの拒否権の存在は国連の課題とされていたが、常任理事国がこの既得権益を手放すことはなかった。
この状況にしびれをきらし、2054年にドイツと北欧諸国が国連脱退を宣言して、新たに国際連邦を設立した。これに他の国が追随して、ついに国際連合には常任理事国のみが残ることとなった。さすがにこの事態に及んでは国際連合に意味がなく、2057年には常任理事国5カ国が国際連邦に参加し、国際連合は消滅した。国際連邦はドイツが主導したこともあって、EUのように世界を1つの国にしようとしたものであり、人口や国力に関係なく各国を対等に扱うものとなった。しかし、国際紛争は結局は国家間の利害が絡むものであり、新たな国連も有効に機能しているとは言い難いものとなっていた。今回の会議の結果も、国連会議としてはごく一般的な結論に落ち着いただけであった。
会議を終えて廊下をとぼとぼ歩くスチュワート教授に、後ろから声をかける人物があった。
「スチュワート教授」
振り返るスチュワートの目の前に、金髪の若い女性が立っていた。
「きみは?」
「初めまして、フランスのパスツール大学社会歴史学科博士課程1年のセリーヌ=ベルナールです。先月の電子版ネイチャーに先生が寄稿した論文を読んで、MOP問題について興味を持ち、今日の会議にオブザーバー参加しました。あの論文は大きな話題になると思っていたのですが。」
「政治家連中はネイチャーなんか読まないからね。ただ、ネイチャーの査読委員の一人が国連の科学部会を兼任しており、その人がこの問題の重要性に気づいたから、国連での議題に取り上げてくれたんだ。でも結果はこの通り、国連としてはすぐに対処しないことが正式に決まっただけだがね。」
首をすくめるスチュワート教授に、セリーヌは真剣な眼差しで答えた。
「私のような学生が高名な先生のお時間を頂くのはおこがましいのですが、先程の件についてお話しいただくことはできないでしょうか。このあと少しお時間をいただけませんか。」
「ああ、将来を担う学生さんのお役に立てるなら、よろこんでお相手させていただくよ。」
スチュワートは気さくにそう答えると、二人は国連の喫茶コーナーに向かった。
喫茶コーナーは個々のテーブルがパーティションに囲まれ、ある程度プライバシーが保たれるようになっている。これはもちろん国連に参加したメンバーが国家間のちょっとした打ち合わせをできるよう配慮されたものである。そのテーブルの一つでスチュワートとセリーヌは向かい合っていた。
「改めまして、私は環境問題の歴史を研究しています。セリーヌとお呼びください。」
名刺を出しながら挨拶するセリーヌに、スチュワートもあわてて名刺を懐から出しながら答えた。
「それでは私のこともブライアンと呼んでください。」
名刺は今ではバーコードを見せるだけとなっている。お互いの携帯端末でそれを読み取り、情報が自身の端末に記憶され、表示される。ブライアンの名刺には、スタンフォード大学天文物理学教室の教授であることが示されていた。もちろんこのシステムでは電子的な真正保障技術が用いられており、詐称はできない仕組みになっている。
セリーヌは切り出した。
「さっそくですが、ブライアンさんのMOP問題は、非常に些細なことの積み重ねにより、将来破局的な結果を招く環境問題、と位置づけることができます。」
「うむ、そういうことになるね。」
セリーヌはブライアンのうなずきに勢いを得て続けた。
「先ほどご説明したように、私は環境問題の歴史を研究しているのですが、過去の歴史では似たような事例が多いのです。それらの本質的な共通項を明確にすることが私の研究テーマなのです。」
「ほう、それは興味深い。例えばどういう事例があったのかね。」
「昔の話でもう忘れられかけていますが、西暦1970年代にフロンガスによるオゾン層破壊問題がありました。この時は代替品が比較的容易に見つかりましたので、比較的早く収束させることができました。」
「ふむ、200年近く前にそういうことがあったのか。」
ブライアンは興味深そうにセリーヌの話に耳を傾けた。
「その後、西暦2000年前後から地球温暖化が問題となってきました。これは学校の歴史の授業でも学ぶので、ご存知かと思います。」
「そうだね。たしか、当時使っていた化石燃料の影響などにより、主に二酸化炭素やメタンなどの温暖化ガスが地球全体の気温を上昇させたことがあったんだよね。」
ブライアンの言葉にセリーヌはうなずき、説明を続けた。
「おっしゃるとおりです。これはかなり対策が声高に叫ばれながらも21世紀中盤まで続き、最終的には地球の平均気温は7度くらい上がることとなりました。」
「そういえば、その頃は地球脱出計画がなされるようになり、火星のテラフォーミングで火星に移住することまで議論されたことがあったそうだね。」
「はい。でもいくら気温が7度高いといっても、平均気温がマイナス55度で大気も極端に薄い火星を地球並みに改造するぐらいなら、地球の気温を7度下げるほうがはるかに低コストなので、非現実的な議論でしかなかったのです。」
「ははは、そりゃそうだな。」
セリーヌはブライアンとの会話が和やかに進むことに安堵しながら続けた。
「結局は、今のカーボンクリスタル社が大気中の二酸化炭素を除去する技術を開発し、2053年に商業化するまで温暖化は止まりませんでした。」
「たしか、二酸化炭素を結晶化して固体として再利用するビジネスだね。カーボンクリスタル社は特殊な触媒を開発して実用化したんだったかな。」
「さすがによくご存知ですね。同社はその技術で二酸化炭素の排出取引を一手に引き受け、今では巨大企業に成長しました。」
セリーヌは続けた。
「このような事例は他にもあります。二酸化炭素排出問題の前後から、プラスチックによる海洋汚染問題もありました。これは海に投棄されたプラスチックが細分化されてマイクロプラスチックとなり、海の生態系に甚大な影響を与えたものです。」
ブライアンはこれを聞きながら少し意外そうな顔をし、セリーヌに尋ねた。
「えっ、プラスチックは海では腐って分解されるのではないのかね。」
セリーヌはこれににこやかな表情で答えた。
「当時はまだプラスチックは腐らなかったのです。つまり、地球上にはプラスチックを分解するバクテリアはいなかったのです。このため、マイクロプラスチックは増え続け、海中食物連鎖の特定の層に壊滅的打撃を与え、それが海流にも影響して気候の大変動を引き起こす可能性があったのです。これを避けるために、プラスチック投棄に対してさまざまな対策が採られましたが、個人による投棄は減りませんでした。結局、海中に住む特定のバクテリアを遺伝子操作して、人工的にプラスチックを分解する能力を持たせ、今では海中ではプラスチックが腐るようになり、マイクロプラスチック問題は解決したのです。」
ここでセリーヌは一旦コーヒーに口をつけ、真剣な顔になって切り出した。
「ただ私が注目しているのは、これらの地球規模の課題は根本策がなされることで解決できたものであって、個々への排出制限では解決できなかったという点なのです。例えば、1960年代に話題になった公害という現象では、公害の排出者が特定の工場に限定されていたため、排出を制限する責任対象を明確にでき、排出自体を抑えることができました。一方、オゾンや温暖化ガス、プラスチックの場合には排出者が不特定多数であるため、それらに対していろいろな対策が呼びかけられても効果は限定的であり、『自分だけは』『ちょっとぐらいなら』という考えの行動が積算し、排出を抑えることはできませんでした。つまり、結局は根本策がなければ解決できるものではないのです。」
これを聞いていたブライアンは真剣な目になり、おもむろに答えた。
「なるほど。歴史に学ぶとすると、MOP問題も根本策をとらない限りは、スイングバイの利用制限では解決できないということか。」
「はい」
「月の公転速度を維持する技術的対策が見つからない限り、100年後には月が落ちてくるということになるわけだな。」
「はい」
「ふむ、人類の未来はその対策が見つかるかどうかの博打に委ねられるわけだ。」
二人の間に重苦しい空気が流れた。しばらくして沈黙に耐え切れなくなったセリーヌが口を開いた。
「あの・・ブライアンさん、突飛な話かもしれませんが、われわれ人類は何か試されているのでしょうか。」
「えっ、どういうことかね。」
「例えば、もし代替フロンができなければ、もし二酸化炭素の結晶化技術ができなければ、もしプラスチック分解バクテリアができなければ人類はすでに絶滅していた可能性があるわけですよね。そしてまた、今度はMOP問題です。これって、文明が発達するに従って絶滅につながる障害が順次立ちはだかるようできているということなのでしょうか。もしこのような障害が今後も続くならば、どこかで必ず人類は滅びるというしくみになっているということなのでしようか。」
「ふむ、興味深い考え方だね。」
ブライアンはしばらく考え、セリーヌに言った。
「これは環境問題だけではなく、より大きな視点で見る必要があるように思うな。私はそれに役立つ面白い研究をしている人に心当たりがある。日本にいる情報統合学の千草須美博士だ。彼女は各種社会問題を歴史、科学、医学、宗教などの多角的視点から分析しているので、きっと君の参考になるだろう。以前天文の国際学会で名刺交換をしたことがあるので、彼女に君を紹介しておこう。彼女から君に連絡するよう伝えておくよ。」
「ありがとうございます。千草須美博士ですね。実はずっと以前から日本には一度行ってみたいと思っており、念願適って来週旅行に行くことにしていたのです。うまく調整すると、そのときにお会いできるかもしれません。」
「そういうことでしたら、急いで連絡を取りましょう。お会いできるといいですね。」
「いろいろとお気遣いありがとうございます。」
セリーヌが礼を言うと、ブライアンは少し、はにかみながら答えた。
「いや私こそ君にはいい示唆をもらえたよ。私はこれからMOP問題を解決する技術手段を探すことも視野に入れて活動するよ。人類の未来のためにね。」
二人は握手を交わし、それぞれがなすべきことをなすために帰路に着いた。
国連のあるフランクフルトからセリーヌの寮があるフランス東部のストラスブールまでは鉄道で1時間ほどである。寮に戻り、今日の打ち合わせ内容をまとめ終え、ベッドに潜り込もうとした直前に千草からのメールが届いた。『ブライアンは真剣に対応してくれてるんだわ』とセリーヌは彼の素早い対応に感謝した。すぐに千草にアポをとり、自身が懸念している問題の概要と打ち合わせの依頼、来週から日本を訪れることをメールした。翌日には千草から連絡があり、セリーヌの日本滞在二日目に打ち合わせることとなった。
今は遠隔会議が当たり前となっているが、直接会うことにはまだ大きなメリットがある。実際、国連の会場に行かなければ、飛込みでスチュワート教授と話すことは困難であった。今も昔もコネや紹介がないと、新規に人と会うことは結構難しいものである。また、直接会うことは遠隔会議と比べて本能的に親近感をもたらしてくれるもののようであり、その後の人間関係に大きな差が生まれてくる。これは、会議が終われば接続を切って終わりの遠隔会議に比べ、会議が終わった後に一緒にお茶をのんだり食事をしたりしながらプライベートを含めた雑談をする方が、より深く人間関係を構築できるという自明の理からである。セリーヌは本件については直接打ち合わせを行う必要性を感じており、千草もセリーヌの熱意を感じたためか快諾してくれた。
元々セリーヌは来週には日本に行く予定であった。セリーヌは多くのフランス人同様日本のアニメファンであり、日本に強い憧れを持っていた。時間に余裕がある博士課程1年生のうちに日本を訪れようと以前から決めており、綿密に計画を立て、二週間かけて秋葉原や聖地巡礼を行うつもりであった。千草との打ち合わせで一部聖地巡礼をあきらめざるを得なくなったが、千草との打ち合わせにはその価値があると感じていた。それに千草のいる産業総合研究所の近くにもいくつか推しアニメの聖地はあるのだ。出発日までセリーヌは嬉々として予定の練り直しをすることになった。
以下蛇足の注釈:
本作品には、作者の妄想による架空の制度や技術がいろいろと含まれています。フィクションなのですから、当たり前のことなのですが、公共のインターネットにあまりデマをばら撒くのも良くないので、あとがきを利用して、ウソ/ホントを追記していきます。
●軌道エレベータ <ホント>
実際にはまだありませんが、コンセプトは古くからあり、まじめに検討されています。詳しくはググってもらえばいいのですが、ググるのも面倒な人のためにごく簡単に説明します。地球の赤道上に、ながいヒモの先に重りをつけて、重りを静止軌道以上の遠くに置くと、地球の公転の遠心力でヒモはぴんと張ります(でんでん太鼓をぐるぐる回した時のひもの状態です)。これにエレベータをつけると、ロケットなしに低コストで宇宙に行けるのです。厳密には赤道上でなくてもいいのですが、現実的には赤道が都合がいいのです。
●スイングバイ <ホント>
実際にボイジャーが行っています。ただ、たぶん実際には宇宙から帰った船も減速スイングバイをするので、その場合は月は逆に加速します。実際には資源を積んだ帰りの宇宙船の方が重くなるので、月が加速する方が大きくなると思います。その場合、月は地球から離れるため、火山活動は減り、潮の干満も少なくなり、災害は減ります。ただ、温泉が出なくなるとか、海水がよどんで生態系がくずれるなどの影響がでてきます。などという説明がややこしいので、作中のストーリにさせていただきました。
●MOP問題 <ウソ>
さすがにボイジャーごときでは月の公転速度に影響していません。将来は分かりませんが。
あと、作中で「月の公転速度が低下する」という表現を使っていますが、結果的には公転速度は逆に早くなります。これは、スイングバイにより月が遅くなるのは事実なのですが、その後のプロセスとして以下のようになります。月の速度が低下する→月の遠心力が低下して地球に近づく→位置エネルギーにより月は加速する→加速後の遠心力と引力がつりあう軌道で安定する。この安定した軌道は元の軌道より低いため、そこでの公転速度は元の速度よりも速くなっています。つまり、スイングバイは月のホテンシャルエネルギーを奪うものということになります。ただ、本編中でこんな説明をしてもややこしいため、月の公転速度が低下するという表現になってしまいました。違和感を持った人、ごめんなさい。
●国際連邦 <ウソ>
筆者の妄想です。でも常任理事国の問題からら、こうなったらいいなと思っています。
●二酸化炭素固形化 <ウソ>
こんなことができて、地球温暖化が解決するといいですね。
●プラスチック分解バクテリア <ウソ>
プラスチックを分解する酵素を持ったバクテリアは実在しますが、ごく少量の分解しかできません。また、マイクロプラスチックの密度が高い海では、この酵素が多くなるよう進化しているという論文も出ています。しかし、過去の石炭紀に、木を分解するバクテリアが存在しなかったため、枯れた木が積もって石炭層ができたのです。つまり、バクテリアが木を分解するよう進化するためには、それだけの時間がかかったわけです。自然にプラスチックを分解するバクテリアを待っているだけでは、海は大変なことになるわけです。