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インプランタシリーズ

ほっぺつんつん悪役令嬢

作者: リィズ・ブランディシュカ



 悪役令嬢は、皆に嫌われる存在である。


 そういう認識がある。


 乙女ゲームの中で、主人公と敵対する貴族の女。


 高飛車で、高慢ちきな女。


 主人公をいじめて、いたぶって、高笑いをあげる。


 そんな存在は、嫌われて当然だろう。


 むしろ下手に改心せず、最後までやらかしたまま断罪された方が、スカッとして気持ちよく終われる。


 私は、やられたらやりかえせ派だし。


 それなのに私の目の前では、すべての条件を満たしているにもかかわらず、周囲の人間からちやほやされている悪役令嬢がいた。


「ふんっ、これだからしょみんは。まったくこんなこともできないなんて、とんだごみくじゅね。くーならかんたんにできるわっ」

「やだーっ、かわいーっ。背伸びして、ツンケンしてるクーちゃん、ちょーかわいー」


 多くの人にもまれて、もみくちゃにされて、愛でられてる。


 現実がおかしいっ!


 何?

 どういう事?


 どんな天変地異!?


 私が転生した乙女ゲームの悪役令嬢って、お金持ち中のお金持ちとして有名な悪役令嬢って、十代半ばで私と同じ年のはずでしょっ?


 それなのに、何でライバル役の少女が、ちんちくりんのおチビちゃんなの!


 その少女が、しょみんの一人、私を指さしていびってきた。


 傲岸不遜!

 まさに悪役令嬢!


「ごみくじゅ? しょみんのおまえは、とくべつにくーのけらいにしてやるわ! ありがたくあがめたてまつりなしゃい」


 でも、迫力はない。

 むしろ愛嬌がある。


 周囲の者達が、盛大に喜び愛でた。


「やーん。かわいい。ぷにぷにほっぺ、つんつん私を家来にしてーっ」

「ふにゃっ! さわるなぐぶつめがっ。くーのほっぺは、つんつんされるためにあるものではないっ」


 私は、ぷにぷにほっぺをつんつんされてる女の子を見つめながら脱力。


 庶民である私はこれから、自分の身分を気にしながら、貴族が通うお金持ち学校の中で三年間過ごす事になる。


 けれど、そこにこのクーという悪役令嬢が登場して、いじわるしてくる予定だった。


 攻略対象と団結しながら、悪役令嬢のいじめを乗り越えていく未来が待っているはずだったのに。


 これでは私の、華麗なる乙女ゲームライフが台無しに!


 私は「ほっぺつんつん待ち」の列に行儀よく並んでいる女子生徒に話しかけた。


「あの、クー様って、どうしてあんなに小さいんですか。話ではもっと、こう。私達と同じ年ごろのはずでは?」

「ああ、クー様は呪われちゃったのよ。数日前に学校の屋上に謎の光が落ちてきたでしょ? その騒ぎで、肝試しとか逢引きに興じてたご令嬢達がパニックを起こしちゃって、近くの美術館に逃げ込んだらしいわ」


 それで、美術品に触ったご令嬢が呪われて、哀れ悪役令嬢クー様は幼児化してしまったらしい。


 心も体も少女に戻ってしまったクー様が、高慢ちきに高笑いしても可愛らしいだけだ。

 いじめてきても、かまってほしいように見えるだけ。


 数日前に光の球と化してこの世界に降り立った私は、頭をかかえた。


「神様、異世界転移させるなら、原作改変起こさない場所にして」




ここまで読んでくださってありがとうございます。

楽しんでいただけたら幸いです。


「生まれたばかりの弟がラスボスだったので、フラグを折って折って…折りまくります!」や「悪役令嬢に転生したお嬢様は、攻略対象に嫌がらせする事にした」などの作品を連載しています。

気になった人は一読してみてください。


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