冒険者ギルド
クアルカの街は思っていたより大きそうだ。
十数メートルはあるだろう城壁に囲まれ、門から見える通りは人がひしめき合っている。
「でっけぇ…」
「だろ?ここがクアルカだ。」
何故か自慢げなダグラスをよそに2人はきょろきょろと周りを見回しお上りさん全開である。
護衛対象の商人とも別れる。
「護衛の報酬は山分けでいいよな?」
「あ、あぁ…良いのか?」
「良いのさ、良いのさ。お前らがいなけりゃ危なかったからな。命に比べれば安いもんさ。」
そうして一行は冒険者ギルドへと向かう。
「ここが冒険者ギルドだ。」
門からすぐの場所にあったそれはかなり他の建物に比べて大きいように思える。
中に入れば昼間だと言うのに冒険者らしき風貌の人達が酒を飲み賑わっていた。
その間をズカズカと進みダグラスは受付で手続きを済ませる。
その後空いてる席に座る。
「これが報酬の銀貨2枚だ。」
「あぁ、ありがとう。」
銀貨の価値がどれほどか分からないがこの世界で初めて手に入れたお金。少しだけ心が躍る。
「お前らこれからどうするんだ?」
「うーん。街に出たは良いけど何も考えてなかったな。」
「なら、冒険者はどうだ?命賭けの職業だが実入りはいいし、何より伝手なんかいらないからな。」
身寄りや伝手のない2人とって魅力的な提案だった。
「そうだな。どうする?クロ。」
「良いのではないか?他にすぐなれそうな職業もないしな。」
「じゃあ、決まりだな。ダグラス。俺ら冒険者やってみるよ。」
「そうこなくちゃな!待ってろ、話を通してきてやる。」
そう言ってダグラスは受付に向かう。
しばらくしてダグラスは体躯の良い妙齢の男性を連れてきた。
「俺はニコラスだ。このギルドのサブギルドマスターをしている。この仕事は死と隣合わせだ。その覚悟はあるのか?」
「あぁ、今までも似たようなもんだった。」
「うむ。良い顔だ。なら、付いて来い。」
おもむろに立ち上がったニコラスに付いて行くと少し開けた空間に出る。
「お前らの実力がみたい。武器はそこからとれ。」
示された木箱から2人は訓練用に刃引きされた剣をとる。
空はいつも通り盾と剣をクロはレイピアを2本携える。
「2人同時で良い。かかって来い。」