小鬼との遭遇
空と黒猫はしばらく歩いた。
どうやら森はかなり広いらしい。
まだ日は高いが森が終わる気配がない。
しかし、幸いなことに小動物はいるらしい。
ちなみに、「ステータスオープン!」などと空はありあわせの色々な異世界知識で色々試したがうんともすんとも言わずただの赤っ恥である。
「なぁ、どうするよこれ。」
「主は辛抱というものを知らぬのか。まったく、忙しない。」
「そうは言ってもお前これ…飲まず食わずじゃとは言ったけど飲み物も食べ物も見つけられてねぇじゃんか。」
「食べ物ならさっきいたであろう?」
「え、あの兎のこと?いやいや、無理だろあんな変なの。」
先刻2人は角の生えた兎に遭遇している。
兎はこちらを見つけると直ぐに逃げてしまったが。
「それに捕まえようがないだろ。」
「ヒトというのは道具がなければ何もできぬのか。不便なものだな。」
「うるせぇよ。ヒトには道具を使える脳みそがあんだよ。」
「我と主。今我らの脳にどれだけの差があるというのだ。」
言葉を理解し、話し、果てには二足歩行を始めた猫とヒト。
どちらが優れているかなど火を見るより明らかであった。
そんな時、傍の草木が揺れた。
1人と1匹が揺らしたものではない。
そこに現れたのは革の鎧を身に纏い、拙くはあるが砕いた石を枝にくくりつけた槍のような物を持った小鬼であった。
小鬼は明らかな殺意の眼差しを向ける。
「おいおい、急なファンタジー要素やめろよ。」
小鬼はまず空に狙いを定め槍を突き出した。
空は後ろに下がろうとして木の根に躓き尻餅をついたおかげで初撃を躱す。
空は直ぐに小鬼に背を向け駆け出す。
追撃をしようと腰を落とし駆け出そうとしたその時
黒猫が横から飛びつき小鬼の喉笛を食いちぎった。
肩には小鬼が暴れぬよう爪がしっかりと食い込んでいた。
黒猫はしばらく小鬼を押さえ付け、動かなくなるのを確認するとゆっくりとおきあがった。
「おぉ。すげ…」
必死だった空の感想は実に簡素であった。