廃村から脱出しよう
廃村の見える範囲にある家はおよそ20軒程だったが回っていると明らかに廃屋になってから年数が経っているのと経っていないのがあることに気付いた。
一方にはまだ朽ちていないものがいくつかあるが一方は最早壁や屋根も満足に無い、そんな印象を受ける。
オラ東京さ行くだを実行した家だったりするのだろうか、ファンタジーでも世知辛いのじゃ〜。
ボロい方の家にはお世辞にもまともなものは残っていない、ていうか鉄製のものくらいは流石に残るだろうから持っていったのか残る村民に譲ったのだろう。
一方ちょいボロの家にはある程度の物が残っている。
お、これまだ使えるじゃんと思う物が少しくらいはあるしここらでボロ布を背中の袋(背嚢というらしい)に詰め込み綺麗そうな物はかたっぱしから集めた。
そして見つけた。
暫定村長ハウスである。
村長ハウスは他と比べて大きいということもなかったがとにかく書類が多かった。
村の取り決め、それらの結果を書いたいわゆる裁判の様子を書いたものや水についての約束事、これからの村の行動方針についてが紙束として本棚にまとめられていた。
というか他の家も見るに書類、紙束のようなものはあまり使われないのだろうか。
もうちょっとその辺の技術は発展してる世界観のはずだったんだけどな…
まあいいや、どうやらここから伸びていたらしい道がありそこを進むと街道に着くとのことだ。
えーと、なになに…ここから…どう考えても3、4日で着く距離じゃねえぞ?これ詰んだんじゃねえか?
朝確認した食べ物はどうやっても1日分、節約しても2日が限界だろう。
「旅、終わったじゃん」
これどうすんの、廃村に食い物なんて無いし…
「もう考えてる時間も惜しい、向かってしまおう」
街へ行く為の道にさえ出てしまえば商隊、もしくは通行人の1人でもいるだろう。
物々交換に使えそうな物は無いので最悪野盗と化すことも視野に入れる所存だ。
地図によるとイーナさん家の右っ側をずっとまっすぐ歩いてたら街道にぶち当たるらしいので行ってみる。
イーナさん家は何故か壁にロープの残骸がたくさんかかってるので目印にちょうどいい。
さあ、オレの輝かしい冒険の始まりだ!
テクテク…ポテッ。著しい空腹ダメージに倒れたのはそれから1時間ほど経ってからだった。