状況を把握しよう
「知らない天井だ…」
寝ていた身体を起こして辺りを見回すと360度廃墟だった。
寝かされてるのは申し訳程度に引いたボロ布と掛け布団と化したマント、傍らには剣が壁に立て掛けられている。
青い空も白い雲もないが勇気を持って踏み出す必要はある、そんな感じだ。
「と、いうことは…なんかもう別人の人生に割り込むような形でスタートするワケね…」
tips…1人でいた時間が長いやつの独り言はデカイぞ。
廃墟っぽい内装の建物に土足で就寝できるのは本来の持ち主じゃないか重度の廃墟マニアの2択だ。
もちろん少しばかり調べたから分かる、オレは冒険者としてこの世界にいる。ということはオレは今日この瞬間までなんらかの冒険をしながら寝泊まりしていたってことだ。
まずは外に出て現状確認だな
「…廃村か何かか?」
マジでボロッボロ、一体なんだってんだこれは…
野盗が巣食うにはおあつらえ向きの程よいボロさなのでビクビクしながら辺りを探索していく…
…調べたところマジモンの廃村らしい
「ランダムで決まるとはいえ大抵は人のいる町になるはずなんだがなあ、流石の《由来》ってわけか」
ステータスから改めて選択した由来を確認する。
「【孤独な人生】、まさかステータス以外にこんなところまで影響するとはなあ」
オレが取った由来、【孤独な人生】は1人で行う行為にプラス判定が出るが他人と協力したり他人への対応にマイナス判定がかかるというぼっち推奨の由来だ。
おかげでシステムメッセージから注意が出たがまあ最後までのんびり1人でするつもりだったし構わないさ。
ここがどこなのかはさっぱり分からないがとりあえずチュートリアルくらいあってもいいんじゃないだろうか。
言っても仕方ないので出来ることから始める。
まずは装備の確認、最低限の防御に使える籠手をあしらった皮鎧と西洋剣。
「次は持ちものだな」
パンがギュッと固まったような丸い塊と水袋、油といくつかの布のきれっぱし。以上だ!
思ったより食料の調達が急務だな、金もないしなんならオレが野盗になる寸前だったんじゃないか?
まあ野盗プレイも悪くないが今回は遠慮しておく、まさか初期配置から詰むような事はないと思うので街で文化的な冒険者ライフを満喫する可能性は諦めない。
敵もいないことが分かったので今日は情報収集に努めよう、残ってる書類や本から得られるだけ情報を得て出発するものとする。