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異世界はOKAMAの夢をみるのか  作者: ぶんさん
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古えの守護者

仁も発言はしないが考えてはいた。考えてはいたが、巡り巡った思考は最後には自己犠牲の方向に行ってしまう。


そうじゃない…そっちに行っちゃダメなのよ…。あたしは死にたいわけじゃない。生きて、もっと、ずっと、せんせーの傍に居たいのよ…。何度も何度も軌道修正をしているのに、そこに辿り着いてしまう自分の思考にイラつきを感じる仁。

気持ちを切り替えようと、お茶の支度をする為に立ち上がる。気が付いたじいさんが「自分が…」と言うが、首を振る。しかし仁の余裕の無くなった表情を見て、じいさんも一緒に付いて行く。


「おじいちゃんほど美味しく淹れられませんけど、あたし一人で大丈夫ですよ?」


「では、一緒に美味しく淹れましょう」


皺の多い顔をクシャリとさせて微笑むと、仁に指導しつつ手順を踏むじいさん。ほんの少し温度の違うお湯で同じ茶葉を淹れたり、使う茶葉によって蒸らす時間を変えるとか、ちょっとしたコツで全く味が変わる事を 実際に試飲させながら教えている。仁は目を輝かせて実に楽しそうだ。

じいさんに合格を貰った仁は、断りを入れると 嬉しそうに自分のマジックバッグからクッキーを出して三枚ずつ受け皿の上に乗せる。様々な形のアイシングされたクッキーは可愛らしく、じいさんの興味を引いたのでアイシングクリームの材料と作り方を教えた。


そんな様子を横目で見ていたネイサンとサマエルはホッと胸を撫で下ろしていた。一人で考え込み、次第に悶々と行き詰った顔になっていく仁をどうしたものかと思っていたからだ。


お茶が来て、しばしの休憩。

二位と灰色が色とりどりのクッキーを手に、嬉しそうな顔をしている。仁からすれば何の変哲も無いジンジャーブレッドマンや馬や猫、ハートや星などの形なのだが、彼らにしてみれば「これはなんだろう?」「あれじゃないか?」と推理して楽しめるようだ。答えを聞かれる度に、近いものを正解にしていく仁。ちょっとしたお茶会のようになった休憩時間であった。


そんな和やかな空間から少し離れた所でボソボソと小声で話を続ける男二人。


「…あんたがソケネをどうにかして、二位と四将は土地とヒトの浄化をするってのは大前提なんだよな?」


お茶を飲みつつネイサンがサマエルに聞く。サマエルは頷いた。


「現状では、それが一番確実だと思うんでな…」


「だが、問題がある。だろう?」


サマエルは薄く笑って、少し困ったように肩を竦めてみせた。


「念話を使っても良いか?」


「ああ」


承諾を得たサマエルは念話に切り替える。


『正直なぁ、契約の枷を誤魔化す術が未だに見つからん。穴がないんだ』


サマエルたちの契約は、最後の魔王から付されたものではない。恐らくは”魔王”を守る為に締結されたものだが、前魔王の在任中は平和で必要とされなかった為に気が付かなかったのだ。


『…原初の呪いってのを知っているか?』


ネイサンの問いに、暫く考えてから首を振るサマエル。


『…古の守護者を思いのままに操る為の呪いらしい…』


『ほう…?』


『あんた、魔族ではないよな…』


それは疑問形ではない、確認だった。

少し躊躇はしたが、サマエルはネイサンを信じる事にした。


『…良く気が付いたな…。そうだ。オレと二位は…古代種だ…』


既に滅びたと言われている、原始の力と言われる この世界を護る力を享受し思い通りに操る種族。

ネイサンは驚かない。既に確信していたからだ。


『他の奴らは違うのか』


『四将は違う。行く所が無くて魔族と共に生活してきた竜人の末裔だ。…オレらは幼い頃に拾われて魔族に育てられたと言われて来た。それが真実か否かはわからんがな。この事は誰にも…ジンにも言うなよ。オレが魔族ではないのに契約によって縛られていると知ったら、ソケネ相手に暴走するかもしれん』


『は。会ったばかりで、随分な自信だな』


『だが、そういう奴だろう?』


『否定は出来ないがな…』


ネイサンは口の端で笑うと、最後の一口を飲み干して皆の輪の中に戻って行く。


『おい、待てよ。原初の呪いってのは、なんなんだ?解く術はあるのか?』


『すまんが、俺では知識不足だ。俺の師匠に詳しく聞いてくる。今からジンとセルゼのハーディンに行ってくる…誰にも言わないと誓うから、そう心配するな』


『…わかった…任せよう。ああ、ジンに従魔を出してやれと伝えてくれ。いつまでも待機では寂しかろうよ』


ネイサンは仁がユキの事を話す程にサマエルを信用しているのに驚きつつ、軽く手を振って答えた。


「ジン、すまんがちょっと師匠に聞きたい事が出来た。今すぐハーディンに連れて行ってくれ」


「はい」


ネイサンの言葉に何の疑問も持たずに答える仁。ネイサンの腕を取ると、瞬時に飛ぶのだった。


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