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異世界はOKAMAの夢をみるのか  作者: ぶんさん
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三人の帰還

評価ありがとうございます。

仁たちがセファに来てから二日経った。ルアフは昨日、仲間の精霊が連れ帰ってしまった。一応、ネイサンがとりなしたのだが「最大限見逃した。これ以上は、決まりだから無理」の一点張りだったようだ。


アメカーヤからの新たな侵略もなく、国境沿いの軍隊も緊迫した雰囲気が和らいでしまっている。


「…そうですか…」


コーレシュがため息がちに答えた。

ネイサンが今日でセルゼに戻ると伝えてきたので、シェロモ、コーレシュと共に話し合いをしていたのだ。


「とりあえずの脅威は去ったといえるからな。後は軍の仕事だ」


「それに、わしらが居るとあいつらの気が抜け放題だろ」


顎をくいっと外に向けるビイナ。シェロモが気まずい顔をする。


「申し訳ない…」


「…せめて、ジンだけでも残りませんか?」


「あたしは、せんせーの側から離れませんよ?」


ニッコリ、即答。


たったの二日であるが、仁のネイサンに対する甲斐甲斐しさと敬愛ぶりは 誰から見ても明らかだったので反論すら出来ない。


ガックリと項垂れるシェロモとコーレシュであるが、今のネイサンたちの雇い主は強いて言えば国であって軍ではないので引き留める権限も無い。

更に言ってしまえば皇帝の許可を貰って、勝手に動いているのであるが。


「…まあ、そういう事だ。昼前には出るから、何かあるならそれまでに頼む」


ネイサンが会話を打ち切って外に出た。ビイナと仁、ユキも続く。

外で聞き耳を立てていた兵士たちが慌てて姿勢を正して警備していた振りをするのを見て、仁はクスリと笑った。何故か赤くなる兵士たち。


「なあ、ジン。お前さん…なんか色っぽくなるような事があったのか?」

兵士の様子に気が付いたビイナが仁をからかった。


「えぇ?残念ですけれど、何にもないですよ?テントだって三人一緒だったじゃないですか…」


本気で残念そうに、ため息交じりに答える仁。逆に慌てるビイナ。


「…おい、ネイサン。まさかとは思うがな…」


話を振られても返しようがないので聞かぬ振りをするネイサン。

三人で使っていたテントに着き、手早く荷物を纏めると出発前に軽く腹ごしらえをする事にした。向こうに着いてからだと国王に会ったり何だりとバタバタして、なかなか時間が取れない可能性があるとビイナが言ったからだ。


「これで、マジックバッグに入れて置いたお食事はおしまいです。間に合って良かったです」


ニコニコと配膳する仁。

今回の遠征はネイサンの危機を感じてからの突然のものだったので、新たな準備は何も出来なかった。ビイナのペアバッグに入っていた惣菜も使ってしまった。それでも最後に出たのは具沢山のホワイトシチューに柔らかなパンと簡単なサラダが付いていて十分すぎる物だった。このパンも小麦っぽいものを粗挽きから少しずつ細かい粉にして振るって、を頑張って何度も繰り返してようやく白っぽくて柔らかいパンに出来たのだ。結構、手間が凄いので魔法でどうにかしたいと模索中の仁である。


「あー。ジンと旅に出るとラクに美味しいものが食べられていいなあ…」


ビイナがしみじみと言う。


「ふふ…ありがとうございます。でも、ビイナさんがミナクルに不在の時に作った物はいつも同じものをペアバッグに入れてますよ?」


「…うん。そうなんだがなぁ…すぐに無くなるからな…」


嬉しそうな顔をするビイナに、今度からもう少し量を増やして甘い物も入れてあげようと思う仁。


「二人共、好き嫌い無く食べてくれるので作り甲斐があるんですよねえ」


「…学舎の生徒たちは、ジンの飯が食べられなくて泣いているんじゃないか?」


ネイサンが笑いながら仁に言う。


「ええ…?そこまで美味しい物でもないですよぉ?」


「鉄貨6枚で、あれだけのボリュームとこの美味さだ。あいつらにとっては最高の馳走だと思うがな」


「鉄貨6枚?」


「ああ。元々、こいつが宿だと食べたい物が食べられないから学舎の厨房を貸してくれと言って来たのが始まりでな。場所代だと言って俺の分まで作るのを見て、生徒たちがジンに直談判したんだ。で、毎回材料費をくれるなら賄いを作るとなったんだよな?」


「はい。毎回キッチリと計算していたんですけれど…皆の方が小銭の用意が面倒になったみたいで。話し合って決めたから、多くても少なくても鉄貨6枚にして欲しいって言われたんです」


「へえ。実際に賄えていたのか?」


「はい。学舎自体には保存できる所がなかったから、ベーコンや塩漬け肉、砂糖漬けの果物なんかの保存食を多く使ってましたし…街で買い物している内に仲良くなった店主さんたちが売れ残りは安くするよって。前の日の売れ残りのガチガチのパンなんて、タダで貰っちゃう事もあって助かりました」


仁は嬉しそうに思い出しながら話す。


「固いパンも細く切って油でカラッとさせて、お砂糖まぶすと美味しくなるんですよねー。あと甘い卵液につけて焼いても美味しいし…。たまに、簡単なお菓子でお返ししたりして…楽しいですよ」


ビイナとネイサンも笑顔で聞きながら、しかし同じ事を考えていた。「やっぱりヒトたらしだ」と。


「わしは家事が苦手だから凄いと思うよ。店でもやったらどうだ?」


「ありがとうございます。でも、あたしはあたしの大切な人の為だけに作りたいから…お店は無理ですねぇ」


ビイナの言葉に恥ずかしそうに笑う仁。

そんなこんなで食事も終わりテントを後にしたネイサン一行。シェロモに声を掛けて人気のない場所に向かう。


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