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異世界はOKAMAの夢をみるのか  作者: ぶんさん
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セファに飛ぶ

「ジン」


「はい」


ネイサンの呼びかけに答える仁。ビイナも側に寄って来た。


「今、イーチェが書簡を渡しに行っている。戻り次第…いや、返答次第でセファに行く事になる。まあ…十中八九、行く事になるだろうが…」


「わかりました」


「…なあ、ジン」


ビイナの真剣な声に首を傾げる仁。


「お前さん、行った事の無い場所に移動するのが怖くないのか?」


言われて考えるが…良く分からない。


「今までも知らない所に、せんせーやビイナさんを目印に移動していたし…今回も大丈夫だと思いますよ?」


「いや、そういう事じゃなくて…。いや、良い。聞いたわしがバカだった…」


仁もネイサン並みに、一度信じた者は疑わないのを忘れていた…。ビイナは早々に諦めた。


「…今回は戦場近くに移動するだろう?万が一、そこが戦闘真っ只中とか、魔法が放たれた直後だったり、妙な場所だったりしたらどうするんだって師匠は言いたいんだよ。お前が目標とするモノは、そこまで信用出来るのか?ってことだ」


「あー…ええと、大丈夫です。そんな所には出ないと思いますよ?」


なるほど…と思う仁。…でも…寧ろ、何もなくなった所に出る可能性の方が高い気がするわ…。仁は今までの移動も知らない所だったし、それが普通の感覚になってしまっていたので あまり危機感がなかった。


仁が能天気に答えたので、ビイナは顔をしかめる。


「ジンが目標にするのは、何なんだ?」


「うふ…」とりあえず、笑って誤魔化そうとする仁。

ビイナが更に切り込もうとした時、冒険者たちの騒めきが聞こえ一様に膝を付くのが見えた。


「サイラス…なにやってんだよ、あいつは…」思わず呼び捨ててしまうビイナ。

サイラスは軽く手を振りながら、他には目もくれずにネイサンたちの方に進んでくる。

何故か三人とも礼をしようとしていない。皇帝は、そういう人なのだ。


「ビイナ殿、ネイサン、ジン。書簡を読んで直接話した方が早いと参上した」


「…皇帝自ら、恐れ入ります…」


ビイナが嫌そうに言うとサイラスは笑った。


「そう怒るな。どこか話せる場所は無いか?」


周りを見るが、テントくらいしかない。


「テントに消音の魔道具を置けば…あん?」


仁がこっそりと出来るかしら?と結界で部屋を作ってみると出来たので、ビイナの肩をつつく。「どうした?」と振り返って、思わず仁の頭を叩く。


「お前さんは!もうちょっと自重しないか!」


「いったあい…久しぶりで効いたわあ…」頭を抱える仁。

さっきまでもっと痛い目に合っていたと思うのだが、別物のようだ。


「ジン、これは…?」


ネイサンが聞いてきた。

目の前にあるのはコンクリートの箱をイメージして作った四畳ほどの四角い灰色の結界で、外からは中が見えないが中からは見える仕様になっている。

使い終わったら消せばいい。


「結界を見えるようにしただけです。この中なら、外からは音も姿もわからないけれど中からは外が見えるから安全ですよぉ」


「…待て。まずはわしが入って確認する」


鼻息荒くビイナが入ろうとするので、出入口を作って入れてから閉じる。

少ししてから、また出入口を作るとビイナが妙にスッキリした顔で出て来た。


「問題ない!」


珍しく断言してくれたので、ホッとする仁。

四人とユキは中に入り、ビイナが土魔法で作った簡単な椅子に腰かける。


「いやはや…ジン、君は本当に凄いな…」


サイラスが手放しで仁を誉めたが、仁は笑って頭を下げるだけに留めた。


「それで…話というのは…?」


ネイサンが促した。


「うむ…。まずは筆頭魔術師の件、面倒をかけて申し訳なかった。倒せなかったのは残念だが、礼を言う」


三人は頷くだけで何も言わなかった。サイラスも気にする事無く続ける。


「…ネイサンの書簡にもあったがセファの現状は実に微妙でな…


少し前にあった軍からの知らせによれば、まるでアンデッドの相手をしているようで切っても突いてもそのまま進んでくるから…埒が明かないという事だ。更に言えばアンデッドではないから浄化魔法は効かないそうだ。


気持ちの良い話では無いが、動けないように四肢を根本から切り落とすか、焼くかの選択肢しかないらしい。セファ軍は心身共に疲弊が激しくて段々と戦意喪失していっているようだ。

これはセルゼ軍も同じ事であり、更に援軍を送るのも考え物である。


それと…直前の情報だ。アメカーヤに巨大な魔力が出現したらしい。まだ詳細は掴めていないが、偵察に行っていた斥候からの直接情報だから確かだと思う」


四人は押し黙って外を眺めていた。外では冒険者たちが帰還の準備をしている。


「巨大な魔力…ソケネが怒って何かしたのかしら…」


とっくにセルゼを落としているはずが、まだセファで小競り合いをしていたのだ。ソケネの性格なら、面倒になって全て自分で…となるかもしれない。そこまで考えて「あ、そうか。もしかしたらサマエルかもしれないのね…」と思い直す。

サマエルはアメカーヤは全滅すべきだと言っていた。そして恐らく、そうするだろう。けれど…何となく違う気がする。たぶん、まだセファに居るはずよね?なら、まだ魔族がいる…?


「新たな魔族かもしれん…」


仁の思考に答えるようにビイナが言った。


「…まあ、行ってみれば分かるだろう」


ネイサンが立ち上がった。

ビイナも「そうだな。ここで考えても仕方がないだろう」と答えて立ち上がる。

結界が消され外に出た四人は、サイラスを魔法陣まで送ってから行動を始める。

余談ではあるが、サイラスもイーチェが気に入ったらしく相好を崩していた


「さて…どこに出るやらなぁ…」不安気なビイナ。


「ジン、師匠も俺もセファには行き慣れているからな。気負わずに行っていいぞ」


「はい、せんせー」


やっぱり、せんせーは優しい…目がハートになる仁。


「…少し集中します。待っていて下さい」


言って、サマエルの魔力を探す。ネイサンやビイナと違って、ずっと一緒にいたわけではない。ましてや今回も結構な遠距離だ。


たった一度だけ触れた魔力がそう簡単に見つかるものなのか…。

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