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異世界はOKAMAの夢をみるのか  作者: ぶんさん
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エノクとネイサン

「…導師様!」気が付いた者が駆け寄る。


「一体、どうしたというのです?とっくにセファ内部に入っているはずでは?」


「それが…思いのほか早く援軍が入ってきまして…」


「何を言っているんですか。アメカーヤの軍はその程度なんですか?ミシュマルもツォルもおまけ程度のはずですよ?」


「申し訳ございません」


「面倒な…良いからセファを落とす事だけ考えなさい。阻むものは消すのです。それだけで良いのですよ」


「…はい…導師様…」


笑い顔を張り付けた兵は戸惑った返事を返す。

ソケネは眉をしかめ、そして開いた手を上にあげた。空中に巨大な魔法陣が浮かび上がり、混戦する最中に火炎を落とす。


「全く…無駄に魔力を使いたくないのですがねえ…。まあ、もうじき魔将たちも来るでしょうし…」


突然の火の雨に阿鼻叫喚と化す戦場--敵も味方もお構いなしだ。


そして負傷しようが体の一部を失くそうが、アメカーヤ軍はヘラリとした笑いを浮かべて進軍する。


この様子を見たセファ軍は恐慌に陥ってしまう。

ソケネはフン、と鼻で笑うと先ほどの部屋に戻る。そこにはミシュマルとツォルの幹部が拘束されていた。


「…おやおや…これは一体…?」


二人の幹部は、ソケネを前にただただ「無理だ」「申し訳ない」「勘弁してくれ」と繰り返すばかりで何の情報も入ってこない。


「何があったのです?我々は同盟を結び協力し合う約束では?」


二人はただ頭を振るだけだ。言いたくても言えない、そんな状態。


「ふむ…。契約させられた?」


コクコクと頷く。そして謝罪し続ける。


「…何とお粗末な結果…せっかくの大祭でしたのに…」


我が主を歓迎する為の、魂と血の祭典。そのはずだったのに。


「…もういいでしょう。お遊びには飽きました…。たかがヒトの為に、何故こんなにも面倒な目に合わなくてはならないのか…」


ソケネの手が空を切ると同時に、二人は命を刈り取られた。

部屋にいる者は返り血を浴びても動かない。


「ですが…そう…全てを壊すのは、あの方を迎えてからです」


ソケネはライラたちが倒れている場所まで戻り、蹴り飛ばした。


「いつまで寝ているんですか。エノク、先ほどの反抗は許してあげます。今すぐにフウツに行きなさい」


「…なにを…」


「行って、ライラが捕らわれたから助けてくれと懇願してきなさい。ライラの記

憶を見る限り、ネイサンは随分なお人好しの様ですからね…さすがに無碍にはされないのでは?」


「…無理だ…」


エノクは両手をついて呆然とソケネを見る。


ソケネは「フン」と鼻を鳴らすと、そのままエノクを飛ばす。今度はライラが居ないので干渉する事も出来ずに消えるエノク。その顔は絶望に覆われていた。


「少しは役に立ちなさい。さて、ライラ。貴女はネイサンの餌になりますかねえ…」


ライラは立ち上がり、ソケネの後ろに控える。

その目は、何も映さない。ただ、ソケネの道具として在るのみだ。



フウツでは、冒険者たちがひたすら時が経つのを待っていた。後続のモンスターも出て来ないので少々手持ち無沙汰になっていたのだ。


「…まだ夕刻か…明日の昼まで長いなあ…」


「そう言うな。あの操られていたヤツ以外は誰一人、欠けていないし大怪我もしていないんだぞ?」


「確かにな。スタンピードで普通に飯が食えて寝れるなんてのは聞いた事が無い」


「今回のは無理やり起こしたモンらしいしなぁ…。それにしても、暇だ」


「あり得ないよな」「全くだ」ぼやきながらも周囲への警戒は怠っていない彼らが、一斉に同じ場所に意識を向けた。


ドサッ 


男が空間から吐き出された。騒然とする冒険者。


「なんだ、こいつ…」

「気を失ってるのか?」

「おい、誰か知ってるか?」


騒めきの中〝森の守護者〟の三人が嫌そうな顔をした。


「こいつ…エノク、だよな…?」


倒れたまま動かないので近くにいた冒険者が魔法で拘束し、更にもう一人が縄でも縛り上げた。

気付いたエノクは周りを見渡し、自分が拘束されているのに気が付くと安堵の息を付く。


「おいおい、何ほっとしてんだよ」アロンが尋ねた。


「…アロン…?懐かしいな…」エノクは答え、改めて周りを見渡す。少し離れた所から剣呑な顔で見ているネイサンを見つける。


「ネイサン!言えた義理では無いのは承知の上で伝えたい事がある!」


みなの目がネイサンに向けられるが、ネイサンは答えない。

念話を使おうにも拒絶されては伝えられない。

「…だよなあ…」エノクも分かっていたが、それでもネイサンから目を離さなかった。その目には焦りと焦燥が見て取れた。


「…ネイサン…幼い獣人は無事か…?」


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