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異世界はOKAMAの夢をみるのか  作者: ぶんさん
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リベッカの推薦

その頃、高ランク冒険者十六名が集まるギルドの会議室ではリベッカの発言にどよめきが起こっていた。

それは今回のスタンピードでは時間が無く、いつもの高ランクパーティーが集まらなかった為に何人かの中ランク上位を連れて行こうかと審議された時に起こった。


「確かにランクは低いけど、どの道、試練ダンジョンに行く予定だったんだし。聞いた話だとギルマス的にも一気に高ランク狙いだったんだろ?ならいいじゃん」


そう。リベッカが推したのは仁だったのだ。最近、低の下から飛んで中の下になったばかりの仁の名前が出た事に周りがどよめいたのだ。


「あー、でも、アリっちゃアリだよ。俺もあの子の噂を聞いて美食に見学に行ったんだけどさ、もう、最下層しか行かないんだよな。ミノタウロスとロック鳥とキラービーだけ狙っていってたしね。しかも、ほぼ瞬殺」


「あーそうだよね。一回、丁度ジンが入る所に居合わせてさ。付いて行ったんだけど他の冒険者の邪魔にならない経路を瞬時に把握してさ、凄い速さで人のいない最下層の奥まで行くんだよ。付いて行くの大変だった。で、下に着くまでに出くわしたモンスターは ほぼ全部避けてんの。あの従魔も同じ行動してるから相当相性いいんじゃないか?」


「…確かに、あの空間把握能力は凄いものがあったな…」


頷き合う冒険者たち。


「…というか、皆さんジンを見に行っていたんですね…」


エルの言葉に騒めきが大きくなる。


「いや、だってネイサンの弟子だぜ?なのに美食以外行かないしよー」


「そうだよ。普通に討伐に出してりゃ、わざわざ…なあ?」


「そうだそうだ」と同意する面々。元々の経緯を知っているエルとしては苦笑いするしかない。


「でも、連れて行くなら中の上。そこそこの働きを見せている者、でしょう?ジンは討伐経験が無いから反対よ」


「チェイコは誰を押すんだい?」


「そうね…最近よく聞くのは〝いばらの蔓〟だけれど、実際に見ていないのよね…」


「〝いばら〟は結構、幼いぞ。止めても止まらずに猛進して玉砕するタイプだ」


「確かにそういう感じだったな。もう少し修行が必要だな」


「最近、エスターたちが連れてる子は?」


「マオ?あの子はまだまだだね。今は魔法修行に出してるよ」


話し合いは真剣に行われ、第二報が届いたとギルドマスターとネイサンが知らせに来るまで続けられた。


そして。


「は?ジンだと?」


共に連れて行くと決めた冒険者を聞いたネイサンが呆れた声を出した。


「ジンは、ほぼ満場一致で決定。〝水の槍〟は過半数が承認しました」


ネイサンは額を押さえてギルドマスターを見た。ギルドマスターは首を振るだけで何も言おうとしない。


「…ちょっと待て。ジンは最近、中の下になったばかりだし美食に行くか薬草採取に行くかで討伐依頼を受けた事も無い。なんで推されたのか理解出来ん」


「みんな、先生の弟子に興味があって美食に見学に行っていたみたいなんですよ。…俺らもなんですけどね」


笑って答えたのはドビーだった。


「エル坊からも話を聞いたんだが、一人でファング・ボアやダンジョンボスのオークキングを倒したんだろ?面白いじゃないか」


「おいおい…アロン、あんたまで何言ってんだよ。遊びじゃないんだぞ?」


「お前が出し惜しみするから悪いんだ」


「…なに言ってんだよ、本当に…」


疲れた顔でため息をつくネイサン。改めてギルドマスターを見て「どうすんだよ、これ」と目で訴える。ギルドマスターは平然としているが、内心穏やかではない。仁を連れて行くのは願ったり叶ったりな部分が大きいが、経験が少なすぎるのも確かなのだ。これからが楽しみなだけに潰れるような要素は避けたいところでもある。


ネイサンがギルドマスターを見ているので、自然と皆の視線も集まる。

ここで自分がどう言うかで今後のジンの扱いが決まる。高ランク冒険者は認証済み、自分が知る限り力量もある。ただ、ネイサンの目が怖い…。


「…〝水の槍〟とジンに通達する」


「おいおいおい…」


「いいじゃないかネイサン。やらせてみろよ」


「ちょっと待ってくれ。あいつが面倒見ている子供がいるんだ。師匠も留守で一人になる。それはダメだ」


冒険者たちのブーイングが飛んでくるが、ネイサンは気にしない。自宅にいる以上、面倒をみるのは致し方ない事だ。


「…ジンと〝水の槍〟には通達する。出発は明日早朝、みんな頼んだぞ。あとは…ネイサン宜しく」


ギルドマスターは無理やりネイサンに丸投げして部屋を出て行く。追いかけるネイサン。


「おい、どういうつもりだよ。ジンはランクが足りないし経験も無い。死なせる気か?」


「…ネイサン、あいつらの目は確かだと思うし俺の目も曇っていないつもりだ。それに、ここで出さないとお前…弟子可愛さに外に出したがらないと思われるぞ…」


「…いくらなんでも無理がないか…?」


「世間なんてそんなモンだろ?」


盛大なため息を吐いたネイサンは部屋に戻る。冒険者たちは静かに待っていた。


「…ジンの出陣は、子供の預け先があったらだ。見つからなかったら諦めろ」


途端に沸く冒険者たち。ネイサンは許可しないと思っていたようだ。


「明日、日が昇る前にギルド前に集合。今回は緊急という事で王宮に向かい、そこから移動魔法でフウツに行く手筈になっている。今の所、先陣として参加するのはミナクル含め五十名ほどだ。ハーディン、ストレイン、ハルックとネラスの一部の奴らは既に現地に向かっている。以上、解散」


ネイサンの号令に席を立つ面々。ネイサン自身も浮かない顔のまま帰路に着くのだった…。


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