保護者登録
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「保護者登録?」
遅めの朝食を終え、四人でお茶を飲みながらビイナはイーチェに保護者登録をするという話をしていた。
「ああ。ジンも君の保護者になりたいようだが、何の信用もないから難しい。だが、わしなら今日にも登録が可能だろう」
「登録さえしてしまえば、誰かがお前を連れて行こうとしても正当な書類が無い限り審議すらされない…あぁ…つまり、いろいろと面倒な手続きが必要になるから余程の理由が無い限りはお前は師匠の家族として扱われる」
イーチェが理解していないのに気が付いて言い方を変えるネイサン。
「ねえね…」
イーチェは仁を見る。家族になるなら、ねえねがいいと目で訴えている。
「ごめんねえ、いっちゃん…。あたしじゃ、ダメなのよ…」
悲しそうに下を向くイーチェ。
「でもねえ、いっちゃん。もし、あたしとここを出て生活したとするでしょ?そこで何かあったら…その時あたしがどんなに頑張っても いっちゃんを助ける資格は無いって言われちゃうのよ。けど…ビイナさんとその保護者登録をすれば、ビイナさんがいっちゃんを守ってくれるの。それにね、いっちゃんはずーっとあたしと繋がっていられるの」
「…なんで?」
「ビイナさんは、あたしといっちゃんの先生で せんせーの師匠だからよ!」
満面の笑みでイーチェを説得している…つもりの仁。仁にとって全てはネイサンありきだ。
グダグダな説得に脱力しているネイサンとビイナ。
というか…二人共、仁はちゃんと「先生」と発音できたのか…と変な事に気が付いて「じゃあ、何で”せんせー”なんだ?」と疑問を増やしていた。
「…まあ…ジンの近くに居たいなら、答えは一つだ」
気抜けしたビイナに言われて、仁を見て、ネイサンを見る。皆がイーチェの安全を考えてくれているのは分かる。わかるけれど…
「ビイナ様、あの、本当にねえねといられる?」
「…ずっとではないがな。何事もなければ、君がもう少し大きくなるまではここに居よう」
イーチェは下を向き、膝に乗せた手をギュウッと握りしめた。
「…はい…お願いします…」
仁がイーチェを抱きしめる。イーチェは仁の首にしがみついた。
「よし。このまま申請しに行くぞ」
ビイナはさっさと出て行き、仁はイーチェを抱っこして慌てて追いかける。
「せんせー、行ってきます!」
「おう」
ネイサンは答えて、自身も遠出の準備を始めた。ビイナの感じた予感が気になったので、偵察の戻りを待たず独自に情報収集に行く事にしたのだ。
その夜、イーチェは無事にビイナの身内となった事を祝われたが そこにネイサンの姿は無く何の知らせも無かった仁は落ち込むのだった…。




