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異世界はOKAMAの夢をみるのか  作者: ぶんさん
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ミナクルに到着

ミナクル到着



無事にミナクルの町の通行門に着いた仁たち一行。


仁は途中にあった村に連れ込まれて、身ぐるみ剥がされていた。

今は、代わりに渡された白いシャツとブラウンのズボンを着て皮の靴を履きナップザックのような袋を背負っている。


どうみても今の自分は男にしか見えない…。

可愛いさの欠片もない服にしょんぼりしている仁。パジャマとお揃いだったルームシューズまで持っていかれたのもショックだった。


けれど、冒険者たち曰く慎ましく暮らせば当分は賄えるお金を貰えた。

小金貨七枚分。それを使い易いようにと小金貨、大銀貨、小銀貨、銅貨、鉄貨に分けて計算し小袋に入れてから渡すアイザックにイシュアが「さすが、気にする所が違う!」と感じ入っていた。


門には長い行列が出来ており、長く待つのが苦手な仁は落ち着かない様子でキョロキョロと周りを見ている。周りに居るのは、同じ様な商人の隊列や旅人、一目で冒険者と分かる装備をしているグループなど様々だ。


一時間も過ぎた頃にようやく順番が来る。アイザックと冒険者たちは顔見知りらしい門番に軽く挨拶してカードを見せて許可を得る。


仁の番になるが、緊張のあまり言葉が出ない。訝しげな門番にエルが言う。


「こいつは、途中で一緒になったんだ。悪い奴じゃないぜ」と笑いながら仁に通行料を促す


握りしめていた拳を開いて、エルに確認してもらう仁。


「そう、それを渡すんだよ」


恥ずかしそうに小銀貨二枚を門番に渡す仁。最も、門番も仁の様子と〝切り取る者〟が共に居る事で必要以上の警戒はしていないようだ。


「知り合ったのが彼らで良かったですね!とても優秀な冒険者なんですよ!」


「この通行証を持っていてね。なにかあった時にちゃんと通行証持っていないと厄介だからね。ギルドに登録するなら、登録してからギルドに渡してくれれば良いよ」


「じゃ、ミナクルを楽しんでね」


親切に声を掛けてくれる門番たちに手を振って一行は門を通る。


中に入ると、活気のある風景が飛び込んで来た。大通りに小さな屋台が所狭しと並び、人がざわめき馬車も通る。仁にはパッと見、映画で見た中世ヨーロッパを彷彿とさせる風景だった。


「すごい…」


仁がボーッと立っている横で、エルたちはアイザックに依頼完了の書類を貰っていた。


「では、皆さん。ありがとうございました。ジンさんも良い品物をありがとうございました。困った事があったら、いつでも店に来て下さい。何かアドバイス出来るかもしれませんから」


「こちらこそ、本当にありがとうございました」


ジンは感謝を込めて頭を下げた。アイザックはにこりと笑って馬車を出した。


「さて。ジン、オレたちはこれから冒険者ギルドに行く。お前も一緒に来い。ついでに、安くて良い宿も教えてやるから」


「おう、行こうぜぇ」


ガインが仁の肩に手を回して、凭れるようにする。


「ギルドまで行くなら、一緒にご飯食べようよー。安くて美味しい所、教えて上げるー」


…イヤだと言っても、多分このままガインに連れて行かれるのだろうと思った仁は大人しく頷く。


さて、ギルドに到着した仁たち。


ギルドの建物は、一言で言うと町並みにそぐわない灰色がかった四角い箱だった。元の世界で言うと、三階建ての銀行。横にはオープンカフェのようなものもあり、冒険者が待ち合わせや打ち上げに利用している。中に入ると長いカウンターがあり、いくつかのブースに別れて受付がある。


中まで銀行みたい…と思いつつ見るもの全てが初めての仁は、やはり落ち着きなく視線をさまよわせていた。まずは、エルたちの依頼完了の報告だという事で奥にある上級依頼用の受付に行く。ついでに仁の話を通してくれる。


改めて新人受付に案内された仁。渡された登録用紙を見て固まる。


当たり前だけど、読めないし、書けない。


仁、またまた涙目でエルたちを見る。


不思議そうに仁を見返した四人だったが、イズルが気が付いて仁からペンを取った。


「書く所はね、名前と特技だけで良いんだよー」


「あの…」


「大丈夫。私が代わりに書いたげるから」


口の端に笑みを浮かべるイズル。


「私もねー、ミナクルに来た頃は読み書き出来なくて大変だったんだー。頑張って勉強したよー。ちゃんと読めないと騙されたりもするからねー」


エルたち三人は微笑ましい様子で二人を見守っている。パーティーの最年少が、新人に教える様に成長を感じて目を細めていた。


「特技、どうする?何かある?」


「…ない…。お裁縫やお料理は得意だけど…」


「んー。無くても問題無いから大丈夫!でも、家事が得意なんて良いなあ。私、お掃除とか大キライでさー」


話しながら、受付の女性に書類を渡す。名前しか書かれていないのに、本当に大丈夫なのかとドキドキするが杞憂に終わる。


「ジンさんね。私はルツ。よろしくね。ここに手を乗せて魔力を流してね。これは魔道具で、魔力を通す事で本人以外には使えないカードになります。ちなみに、ギルドの職員以外の他人が持つと 魔力の質が違うから例外なく灰色になっちゃうの。だから触らせないでね。再発行になるから…」


指紋認証システムみたいなものらしい。

ステンレスのように鈍い銀色をした、電子計りみたいな器具が置かれる。端には〝低/下〟とこちらの文字でランクが刻印された白いカードが差し込まれている。


…説明は分かったけど、魔力ってナニよ?あたしにそんなモノあると思う?ありえないわよ!


「…ジン?顔、怖いよ?」


心の葛藤が顔に出ていたらしい。イシュアが腕をつついてきた。仁は目線を上に上げて眉を八の字に下げてから、えいや!と手を乗せた。


パンッ!


大きな破裂音がして、周りの目が集中した。

仁の手が置かれた魔道具から、煙が出ている。


「え?なに?」


ルツが驚いた顔で仁と魔道具を交互に見る。


「あの、あたしナニかしちゃったの…?」


仁は怖々とルツに聞く。ルツは魔道具を手に取り、白かったはずのカードが煤けたように黒くなっているのを確かめると席を立った。


「ごめんなさい。少し待っててね」


さっと奥に去っていくルツ。仁は困った顔で四人を見るのだった。



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