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五話 大森林から溢れる獣の群れ

物語の主人公の再登場です。

女性かと()まごう美形の少年が、自分自身よりも遥かに巨大な(けもの)を斬り伏せながら、移動している。

格好は鎧武者、日本刀と思われる(つるぎ)で、興奮して襲い掛かる(けもの)を、まるで自分に舞い落ちて来る落ち葉かの様に、難無く叩き斬る。


これだけ圧倒的な強さだ、襲い掛かるのは一部の(けもの)で、多くはその場から一目散に逃げ出している。


馬の様な生き物に乗って、巨大な集団の気配に向かっての二日目、かなり移動した。


大森林(ジャングル)が終わる場所まで、そう遠く無い所まで来ている。


(けもの)を斬りながら異動していると、耳慣れない音が聴こえてきた。


ズダダダッ!

パンッ!

ズダダダッズダダダダダダッ!

パンッ!

パンッ!


更に移動すると、その耳慣れない音と共に、阿鼻叫喚の叫び声が聞こえる。


パンッ!

「うわぁーーーっ!」

ズダダダダダダッ!

「たっ助けてくれ!」

パンッ!

ズダダダダダダダダダダダダッ!

「ギャアァァァーーーーッ!」

「助けてぇーーーっ!」

パンッ!


その音や声の方に向かって行くと、黒っぽい道を中心に、緑色や迷彩の服を着た一団が、銃を使って巨大な(けもの)の集団と戦っている。

そこには碇矢達の姿も見える。

大森林(ジャングル)を監視していた自衛隊だ。


美形の少年に恐れて、逃げ出した巨大な(けもの)の集団が、大森林(ジャングル)から溢れ出したのだ。


流れ弾が美形の少年に向かって飛んで来る。


それを難無く(かわ)す少年。


そして、馬の様な生き物から降りて、前へ進む。


「(何なのだろう?私によく似た者達だな)」


大森林(ジャングル)の際に転がっていた死体を見て、不思議に思う少年。

これまで自分に似た生き物は大森林(ジャングル)の中には少なかったからだ。

ここには沢山居る様だ。


「(青い服の者達も居るな)」


現地の警察官の内村や井本達だ。

拳銃では戦いにならず、多くは(うずくま)っている。

死んだ自衛隊員の銃を使って戦っているのは、内村と井本と手越だけだ。

出川は

「やばいよ やばいよ やばいよ マジだよこれ!リアルにやばいって!」

と、叫んでいる。


それを見て、

「出川さん 怯えてないで戦いに加わって下さいよ」

と、井本が言う。


「ちょっ!内村さん!これっマジでやばいですって!これ 絶対 死ぬヤツやん」

と弱気な男性警察官。


「弱音を吐くなっ!警察官だろっ!宮川っ!」

と、弱気な宮川と言う警察官に、激を飛ばす内村。


このままでは、警察官の全滅は避けられそうに無い。





「おいっ!お前!何やってる!逃げろ!」

碇矢が少年を見付けて叫んだ。


「おいっ!民間人が居たぞ!誰か救助に向かえ!」

周りに指示を出す碇矢。


しかし、その命令に従うだけの余裕の有る者は、そこには誰も居ない。

自分の身を守るのに精一杯の状態だ。


「うわぁーお!おおぅ?うわぁーお!うわぁーお!」

と、妙な声で怯えながら戦っているのは志村だ。


「ちょっ!やめっ!志村 助けろ!」

と、あたふたしながら戦う加藤。


「無理だって 無理だって」

と、ヘルメットを抱えてしゃがみ、怯えて泣いている高木。


「あっ!荒井さん!これ!なん!です!かっ!」

と、体操選手の様に、軽快に巨大な(けもの)の攻撃を(かわ)しながら、隣の隊員に確認する仲本。


「俺が知るか!何だバカ野郎・・・」

と、ぶつぶつ言いながら、銃を乱射して巨大な(けもの)を狩る荒井。


碇矢の隊に、少年を救いに行ける余裕のある者はいない。


「(自分が向かうしかないかっ!?)」

そう碇矢が思った時、事態は急変した。


その少年が碇矢に向かって歩いて来る。


しかも・・・


巨大な小さくても数メートルはある(けもの)を、日本刀の様な物で、叩き斬りながら。


少年は、何事も無いかの様に、優雅に舞でも舞うかの如く、巨大な(けもの)の死骸を、何十と作りながら、碇矢に向かって歩いて来た。



「きっ!貴様は何者だ!」

青ざめた顔で、少年の名を聞く碇矢。


「わしか?わしは桃太郎じゃ」

自衛隊でさえ戦いにならない巨大な(けもの)、つまり魔物を相手に、無双をする少年は桃太郎でした。

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