第7話「あまのはら」
第7話「あまのはら」
五月の初夏の日差しは少し眩しかった。例の家庭科被服室にも窓からさんさんと光が飛び込んできていた。あれから優は入部することになり、先輩から百首の決まり字を覚えてこいと言われ必死になっているところだ。そこで、単語帳に決まり字を書いて頭に叩き込んでいるのだ。優は先輩たちが練習試合をしている時は「ありあけ」と呼ばれる読み上げ機(ボタンを押すと読み上げてくれる。競技かるたの世界では一般的なもの)を操作しながら、余裕があれば単語帳とにらめっこしていた。
ところで、優は一つ疑問に思っていた事があった。この前の入部から一週間たったのだが、まだこの二人以外の部員を見ていないのだった。生徒手帳に書かれている部活動規定には確か、同好会から部に昇格するには五人が必要だったはずだ。つまり他に三人いるはず。それなのに未だに優は顔をみるどころか、名前すら聞いていない。そう考えていると、軽いアルミの扉がガラッと開けられた。
噂をすればなんとやらで、そこには部員と思わしき男子がたっていた。
「久しぶりにきたで!」
「「読み上げられたら、静かにしろって!しばくぞ!」」
先輩と美雪さんは口を揃えて叫んだ。
つづく
今回は短かったかなと反省してます( ´,_ゝ`)