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第七十一幕・「過ぎ去りし時代」

【――ビ郡・ロザン城――】



 冷え込む季節になった。アガロは渡り廊下を歩みながら空をふと眺める。

 どんよりと重い雲が空を覆い、青空は見えない。

 冷たい床を歩きながら、ようやく大広間へ辿り着くと、やがて中へ通される。


「大殿。此度はアイチャ家との和睦が纏まり、誠に重畳至極です」


「ほう、わっぱ。既に聞き及んでおったのか?」


「はっ」


 天暦(ティンダグユン)一一九九年・亥の月。

 東西より挟み撃ちを受けていたナンミ軍は、西のアイチャ家と和睦を結んだ。アイチャとしても、マンジ家を背後に構えている現状では、戦を長引かせたくなかったのだろう。

 リフはこの和睦を快諾。しかしその際、条件を一つ向こうに飲んで貰った。


「実は此度、クリャカとも和睦致す」


「誠ですか?」


「うむ。アイチャ家に仲裁役を頼み、和議を取り結んで貰う事となった」


「それは誠に重畳。無益な戦が無くなれば、民も喜びます」


「うむ。所で、オウセン家は如何なっておる?」


 東西の憂いは無くなった今、残るはギ郡のオウセン家だけである。

 ハッダ城は一先ず、ヤイコクとテンコに任せ、自分は軍監として同行したリフの側近ソホウと、キョウサク、レラ、そして兵数十騎を率いて、ロザン城へ参上したのだ。


「実は大殿に、お願いしたき儀があります……」


「ほう。お前がわしに何か願い出るは珍しいのう?」


「此度、アイノ様をオウセン嫡男モウル・オウセンに輿入れさせ、オウセン家との和議を執り行おうと思っています」


「…………」


「さすれば、オウセン家は再び、ナンミ家に従うでしょう」


「……………………」


「……大殿?」


 息が詰まり、窒息するのではと思う程、空気が一気に重くなった。

 アガロはリフを見上げた。ナンミの大殿は黙り、口を開こうとしない。只ジッと、此方を見返しているだけである。

 やがて、この老獪な男が口を開く。


「わっぱ。お前、若しやオウセン家を調略致したか?」


「はっ。如何にも。現当主ロウガ・オウセンの弟ゴシュウ・オウセンを通じ、向こうと和睦の儀を執り行いました」


「誰が何時、オウセンと和睦せよと申した?」


「恐れながら申し上げます。現当主ロウガは隠居させ、サイソウ城下町へ蟄居。代わりにモウル・オウセンを当主とし、アイノ姫様と縁組させる。さすれば、オウセン家は俺等の縁戚筋になります。力で屈服させるよりも、内部にて派閥を作り、味方に付けた方が上策です」


「黙れっ!!!」


 怒鳴り声が響く。


「何時からお前はわしの命に逆らう程、偉くなったっ!?」


 常人ならば、此処で気圧され何も言えなくなるだろう。

 しかしアガロは、今回ばかりは退かず、勇気を振り絞った。


「恐れながら大殿。此度は確かに俺は御命令に背きました。されど、敵を滅ぼすだけが戦ではありません!」


「小癪な! わしに戦を説くか!?」


「戦とは百戦百勝が最良ではなく、戦わずして勝つ事こそが、最善だと兵書にもあります! 孫のアイノ様をオウセン家に輿入れさせ、家中を取り仕切れば、これ程心強い味方はありません!!」


「誰を味方とし、敵と見なすかは、わしの勝手じゃ!」


「大殿! 此処でオウセン家を滅ぼせば、ギ豪族の人望を失います! ナンミ家の行く末を案じるならば、罪を許し、これを取り込む事こそが肝要です!!」


 柄にも無く熱弁している。そう自分でも思った。しかし此処で退いてしまっては、今迄の努力が無駄になる。

 オウセン家と争うは無益と思っているし、何しろその所為で真っ先に傷付くのはユクシャ軍である。


 退いてはいけない。退くな! そう言い聞かせた。


「恐れながら、ギ豪族は大殿に対し、余り良い印象を持っておりません。此処は名族衆である、オウセン家からの支持を得れば、自ずと人望も集ります!」


「東西の憂いが無くなったのじゃ。オウセン家等、道端の石ころにすぎん」


「大殿! それでは足元を掬われます! 東西の憂いが無くなった今こそ、周辺の懐柔を行うが上策です! 俺はナンミ一門として、御家の行く末を案じ、南西のチョウエン家への備えとするべく、懐柔した次第!」


 瞬間。激昂していたかと思えば、突如冷静な表情に変わるリフ。何時もと違うアガロの態度に、ナンミの大大名は怪訝な目を向けた。

 ユクシャ当主もそれは承知で続ける。

 元々猜疑心の強いこの老人ならば、如何しようと疑られるからだ。結局疑られるのならば、全身全霊を尽くす。


「恐れながら申し上げます。ギ人の懐柔なればお任せ下さい! ナンミ家の為にこの身を捧げる所存です! ギ郡の事はジャベ様だけでは無く、俺にも相談して頂ければ、必ずや力になります!」


 リフは黙った。アガロはたらりと冷や汗を流し、重圧に耐える。

 すると、突如『くくく…』という含みのある笑い声が微かに聞こえた。謀将リフ・ナンミが可笑しそうに笑っていたのだ。

 今度はアガロが眉をひそめる。何故、義父が笑っているのか、理解出来ないでいた。

 やがて笑いを堪え、苦笑交じりで、リフは少年に返答した。


「物に相談して如何する……?」


「なっ……」


 思わず言葉を失った。唖然とし、開いた口が塞がらなかった。


「アガロ・ユクシャ。此度の件に付いては追って沙汰致す。暫し、自分の館で謹慎致せ」


「は……」


 ユクシャの若き当主は広間から去った。と、入れ替わりに家臣のソホウが姿を見せる。


「大殿。お元気そうで何よりに御座りまする」


「ソホウ。此度は役目大儀であった」


「いいえ。何の此れしきの事。それよりも、叱り飛ばされているあの小僧の姿を想像し、少し溜飲が下がりました……」


「どうやら難儀したようだのう?」


「あの小僧……。誠、相手にするのに骨が折れ申した」


 少しげっそりした表情を浮かべる家臣を見て、可笑しそうに口角を上げるリフ。


「聞けば此度。あのわっぱ。調略を使ったそうじゃな?」


「はっ! 聞く所によると、ミリュア当主の講じた策により、ハカ・コセイを討ち取り、オウセン家の重臣ゴシュウ・オウセンを此方に引き込んだとの事……」


「わっぱ自身の策では無いか……。さて、如何してくれようか……?」


「手打ちに致しまするか?」


 リフは腕組をし、顎鬚を弄りながら暫し考え込む。


「以前のようにがむしゃらに戦するだけではなくなった。これは使いようによっては、戦力にもなるわい……」


「大殿は些か、能力ある逸材に甘い所が御座りまする。あの小僧を許しては、いよいよ付け上がり、終いには手が付けられなくなるかと……」


「故に此度は、わざと叱り飛ばし、謹慎に処した。確りと飼い慣らしておかねばならんからのう……」


 ナンミの大殿は思案する。今此処で、アガロを手打ちにするは容易い。しかし、それでは勿体無い気になった。有能な家臣を上手く使ってこそ国は発展し、一族は繁栄するのだ。

 未だあの小僧には使い道がある、と老人は新たな可能性を模索し始めた。


「―――……アイノをオウセン家に輿入れさせる事、許してやろう」


「オウセン家は潰さないので?」


「潰してもよい。が、臨機応変が肝要じゃ。よいか。物事は計画通りに進まぬ事の方が多い。寧ろ、その時にこそ将としての器が試される。一つの事のみを見詰めていては、視野が狭まる。広く対局を見極め、緻密な謀を巡らせるが大事じゃ。オウセン家を潰す策は、また次に立てれば良い……」


 落ち着いた物腰で語りながら、老人は手元の扇子をパチパチと開閉する。


「が、今は暫し時間がある。その間に、一つ策を打とう」


「如何なさるお積りで?」


「ソホウ。間者をファギ郡へ放ち、アシジロ家の内部事情を具に調べ上げよ」


「アシジロを?」


「行け」


「はっ!」


 大広間に残ったリフは、火鉢で暖を取りながら微動だにしなくなる。


(ユクシャの小倅……。すりこ木の如くすり減らし、使い捨ててくれる……)



【――ヒジハ城――】



 オウセンの居城にて、一族の者だけが集まり、密談が開かれている。

 中央に着座するのはロウガ・オウセン。ロウガの右側には嫡男モウルが座っており、二人の前にて平伏するのは弟であるゴシュウ・オウセン。

 弟は『兄上…』とくぐもった声で、口火を切る。


「此度はナンミ家と和睦して頂きとう御座る……」


 彼が放った言葉が、どれだけ衝撃的であったか。それは言わずとも、相手の顔を見れば分かった。

 モウルは『まさか…』と言わんばかりの表情をしている。あれだけ信じていた叔父が、こんな事を言い出したのだ。開いた口が塞がらない状態だった。


 対して、ゴシュウの兄であるロウガは、落ち着いた雰囲気である。

 オウセン現当主は、静かに弟へ声をかけた。


「ゴシュウ。それはお主が最善と思う策か?」


「如何にも……。実は先程、アイチャ家とナンミ家が和睦を結ばれました。最早、後ろ盾は御座りませぬ。これ以上戦い続けても詮無き事かと……」


「そうか……」


「叔父上! 俺等は未だ戦える!!」


 無論、ゴシュウの提案に真っ先に反対の意見を述べたのは、モウルだった。

 甥は語調を荒げ、今にも槍を持って敵陣に突っ込むような勢いで、ゴシュウに反論した。


「俺等には未だ余力が残っている! 戦を続ければ、何れ味方も出てくる筈です!」


「モウル……」


 その時だ。徐にロウガが、息子に視線を向ける。

 嫡男はキッと振り向くと、驚いた。父ロウガが、既に諦めの色を見せていたのだ。若き次期当主は閉口した。こんな父の顔を見るのは初めてだった。


「最早、これまでじゃ……」


 息子は歯軋りする。まさか父からこんな言葉が出るとは、夢にも見なかったからだ。

 モウルは無論、激怒する。


「父上! 一体如何なされたっ!? 何時もの父上らしくない!!」


「モウルよ。未だ余力がある故に、ナンミに降るのじゃ……。完全に戦力を失ってからでは、敗北になる……」


「俺等は未だ負けてはいない!!」


「モウル、この戦、既に勝敗決しておる! アイチャが和睦を結んだ時から、我等の敗北は決まったも同然じゃ! 戦を続ければ、我等は敵地にて取り残されるわ!」


「っ……!」


「許せ、モウル……。わしの考えが甘かった……」


 哀愁漂う溜息を吐くと、ロウガは弟へ目を向ける。


「どのように致す?」


「はっ。某は敵方に居ります、ミリュア殿を通じ、ユクシャ殿の力を借りて、詫びを致しまする……」


「テンコはコセイ殿を討ったではないか!?」


 モウルが納得の行かない様子で、口を挟んだ。ゴシュウは甥に向き直る。


「モウル。良く聞くのじゃ。コセイ殿を手打ちに致したは、ミリュア殿だけではない。某も加担した」


「まさか…叔父上まで……」


「兄上。こうする他無かった。コセイは俗物で、あの侭では我等の土地が危うかった……」


「ゴシュウ。案ずるに及ばず。お主がやる事に、はずれは少ない……」


 ロウガは弟ゴシュウに絶大な信頼を寄せていた。

 それは、モウルが見ても分かる。父は普段から、この弟にオウセン家の政も任せている。兄弟でいがみ合い、殺し合いも多いこの時代では、珍しい仲である。

 モウルから見ても、叔父は頼りになる存在だ。


「……わしはな、我等オウセンが立ち上がれば、再び昔のギ郡が戻ってくると、思っておった……」


 ロウガはふと、遠い目をしながら語りだした。ゴシュウはじっとそれに耳を傾ける。

 この弟の癖なのか、それともわざとこうしているのか、彼は一度たりとも、兄ロウガを邪険に扱った事は無い。家の事を一番に考えての事だ。


 兄弟とは、頼りになる存在だが、裏を返せば尤も危険な存在でもある。権力を狙う家臣に担ぎ出されるし、兄に不満を募らせた部下達は、弟へ集るものだ。

 それが原因で、この乱世では兄弟間の争いが絶えない。彼等オウセン家の旧主サイソウ家でさえ、それが元で滅亡したのだ。


「じゃが最早、我等の時代は過ぎ去ったと見える……。如何に名族である我等が挙兵したとはいえ、早々に同調し、共闘してくれる者は何処にも居らなんだ。唯一の味方でさえ、我等を見限る始末じゃ……」


「兄上……。兄上は、昔のギ郡を取り戻したかったので御座るか?」


「そうじゃ。昔のように、サイソウ城に守護大名家があり、その下に豪族があり、その下に家臣があり、民がある……。わしは、守護大名家を支える、誉ある存在になりたかった……」


「兄上。お気持ちは痛い程分かりまする。されど―――」


「分かっておる」


 ロウガは弟の言葉を遮った。


「分かっておる。時代が違うのじゃ。今はリフのような成り上がり者が、跋扈する世じゃ……。わしは、時代に取り残された……」


 武門の棟梁として、一介の武士としての矜持が、ナンミ家という今迄耳にした事も無かった大名家に従うのが、我慢なら無かったのが本音であった。

 自分はリフよりも若いが、どうやら古い人間だったようだ、とロウガは気付いた。


 士族としての意識があり、忠義を大事にする家風があるオウセン家。立ち上がれば、必ずや自分達と同じ志を持つ忠勤報国の士が、直ぐに立ち上がり味方してくれる、という算段があった。

 しかし、この治安や道徳が崩壊している世において、人を動かすのは最早、士道ではない。


 士道とは武士が皆、等しく持ち合わせている共通概念であり、ソウ国の洗脳教育とも言うべき賜物である。武士とはかく在るべし、という清廉潔白で高尚な道徳観念を植え付ける為の、便利な教えである。


 が、今やそんなもので人は動かない。それを痛感した。


 今でも瞼を閉じれば、ロウガには直ぐに思い出す事が出来る。ギ郡都サイソウ城に靡く守護大名家の御旗と、それに心服する諸豪族。


 涼しい風に撫でられる稲穂と、清々しい青空を見上げれば、カモメが飛び交い、港では商人が質素に商売に励み、いざ戦が始まれば、そ々の郷村から足軽達が、涙を流し、或いは手柄を立てると家族に別れを告げながら、勇んで集ってくる光景が、つい昨日の事のようである。


 が、一度瞼を開けば其処は全てが変わった世界であり、その面影は何処にも無い。

 主家と仰いでいたサイソウ家は幽閉され、今は見るに耐えない惨めな姿に成り果てている。


 諸豪族はその昔、一所懸命に励んでいたが、今や己が野心の侭に、他の領地を侵し、略奪、姦淫、誘拐と好き勝手を行う。

 ロウガはそんな曲がった事が大嫌いであり、何よりもオウセン家という名族の誇りがそれを許さなかった。


「父上。なれば、アイチャ家に此の侭留まり続ければ宜しいのでは!?」


「モウル。アイチャはわし等を見捨てるじゃろう。此度の挙兵においても、一兵たりとも合力してくれなんだ。此の侭、ナンミと戦を続けておれば、何れチョウエン家に挟まれ、滅亡する……」


「ならば何故、再びナンミ家に降られるか!? 他にも味方は居ります!」


「モウルよ。わし等が余力を残した侭降れば、リフに我等は未だ使い道があると思わせる事が出来る……。チョウエン家への抑えとしての役割を貰える筈……」


 アイチャ家に属した侭では、何れナンミ家の報復を喰らうだろう。

 あの老獪な男が、領内にて反乱勢力を好き勝手にはさせない筈。アイチャ家の不意を突き、和睦等破って攻め込んでくるだろう。

 リフならやる。そう確信している。その前に、再びナンミに降伏する。


 今や力に屈服する時代になった。

 ロウガ・オウセンという人物は、豊かな教養と才能に恵まれた人物ではあるが、些か昔の時代や風潮に(すが)るのだろう、と弟のゴシュウは思った。

 が、不思議な事にこのゴシュウという人物も変わった男で、そんな兄の事を嫌いになれない所がある。


 家の次男として生まれ、将来は家を支えるだけの存在として、何の期待もされずに生きてきたゴシュウ。

 彼自身も、そうであろうと無駄な夢は決して見ずに、只管に家の事を考えて働いた。


 それ故だろうか。兄が時々語る昔の話が嫌いではなかったし、この兄には夢を見続けて貰いたいと思うのだ。


「モウル、愚かな父を許せ……。わしはこの命をもって償う積りじゃ……」


「父上っ!?」


「兄上っ! 何を仰るかっ!?」


「わしに出来る最後の仕事じゃ……。わしの不手際で、大事な家臣を粛清する訳にはいかん……。コセイの首とわしの首なれば、リフも満足する筈じゃ……」


「兄上……。最初からその積りで……」


「落とし前は付けねばならん。その方にばかり嫌な役を押し付けては、家中の関係が険悪になるわい。それに、これはわしにしか出来ぬ仕事じゃ……」


「兄上……」


「モウル、お主は選択を間違うな……。時代に逆ろうては、この父の様になる……」


 ロウガは思う。リフ・ナンミという男は自分よりも遥かに合理的な思考を持っているのだろう。

 彼が行った伝統と制度を無視し、破壊する政策は、今迄考えだにしなかったやり方であり、ロウガはそれに一種の不気味さと、新たな物を見る奇妙さを感じていた。


―――ナンミ家は長くは持つまい。


 常々そう思っていたが今度は(何処まで続くのか…)と、この家の発展を地獄の淵から眺めてやろうという、新たな興味が沸いていた。

 ロウガは立ち上がり弟へ指示を飛ばす。


「ゴシュウ。此度はわし等親子揃って、ロザン城へ向かう。その間ヒジハの城は任すぞ」


「はっ!」


「されど父上。もしそれで許されなかった時は、如何なされます?」


「リフも馬鹿ではない。貴重な戦力をみすみす切るような愚行はせんじゃろう。じゃが…もしそうなった場合は、モウル、お主だけは何としても落ち延びよ……。そして次こそは、オウセン家の意地を見せよ……!」


「御意!」


 ロウガ親子が部屋を出ると、ゴシュウはロザン行きの御供衆を選抜する。

 選りすぐりの精鋭五十。そして、モウルの側に侍る近習を選ぶ。


「シンカとチャドの二人は居るか?」


「お呼びですか?」


「俺等は此処に居ます!」


「二人とも、よく聞け。此度、二人にはモウルの身辺の警護を任せたい。必ずや守り通せ!」


「承知!」「御意」


 残ったゴシュウは、ゴズ城の明け渡しの準備を進め、敬愛する兄と、甥を見送った―――。

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