第六十三幕・「加増」
【――雨漏り屋敷・広間――】
「お初に御目に掛かります。ユクシャ家臣、御供衆筆頭ヤイコク・ブンワに御座います」
家臣の代表ヤイコクが恭しく名乗り、上座に鎮座する主君の正室に平伏した。
その後、残りの者達も順に自己紹介を始める。
「おれはユクシャ家臣、赤鬼のドウキ。ユクシャ組一番隊の頭を勤めている」
「あっしは青鬼のトウマでさぁ。二番隊の頭で若旦那の下僕でさぁ」
「コロポックルのレラです。お初に御目に掛かり光栄です。私はユクシャ組先方の頭を勤めさせて貰っているです」
「あたしは半妖のリッカ。ユクシャ組先方副頭よ」
一通り終えると、今度は上座に居る正室が口を開いた。
「ナンミ家より嫁いで参った、ハクアじゃ。今日は、皆に初めて会えて、嬉しゅう思うぞ」
にっこりと優しい完璧な笑顔で挨拶する。
彼女の笑みに思わずドウキやトウマは口を開け、レラとリッカはぼーっと見蕩れた。
上手くやるものだ、と隣で見ていたアガロは内心思った。猫を被っている事、彼には分かっている。自分と同じで本性隠す二面性がある嫁だ。
「わたくしはハクア様にお仕えする、侍女のキセに御座います」
次に新たな侍女キセが挨拶した。彼女は今日からこの雨漏り屋敷でハクアの身の回りの世話をし、またユクシャ家の事情を探る間者でもある。他家へ嫁ぐ、という事は嫁ぎ先の様子を逐一実家へ知らせねばならない。
成る程、見てみると中々に抜け目の無いような面構えの女だ。
「若旦那! おめでとう御座りやす!!」
「しかしまさか、大将に先を越されちまうなんてな。おれも早く嫁を見つけねえと……」
「ドウキ殿は人望厚く、戦では勇猛と聞き及ぶ。そう焦らずとも、何れ素敵なおなごが現れよう」
「へ、へへ……。そうですかね?」
「鼻の下を伸ばさないの! だらしない」
つい照れてしまい頭の後ろを掻く赤鬼に、半妖の少女は指差して注意した。
「当主様がこんな素敵な方と一緒になるなんて…意外に隅に置けないです?」
「まぁ。これは嬉しい事を言うてくれる。レラ殿も、とても可愛らしいぞ? 戦場で常に先陣を切り、戦っているというのが、嘘と思えてならない」
「そ、そうです? えへへ……」
その上、口も上手い。アガロは内心呆れ返る。
あのリフに本心隠し、今迄相手にしてきたのだから納得も出来るが、逆に腹の中では何を考えているのか読めず、夫は気味が悪い思いがした。
「あんたの嫁にしては上玉じゃない?」
「リッカちゃん! それは御方様に失礼です!」
「ご、ごめんなさい……」
レラに叱られ、途端にしゅんと小さくなるリッカだったが、直ぐにハクアは声を掛けた。
「気にせずとも良い。私も、噂では黒鬼と渾名されるお人と一緒になると聞いた時、心底恐ろしかったが、実際に会うて見れば、中々に良い男振りだという事に気付き、安心したものじゃ。されど、真っ黒なのは噂通りだったがの?」
彼女の話しに皆、笑みを零し、笑い声が広間一杯に響いた。
緊張していたリッカでさえも、今は安心したように笑顔になっている。
「皆、これからも我が殿を守り、ユクシャ家に、そしてナンミ家に尽くしてやってくれ」
「安心して下せぇ! 心配ご無用でさぁ!」
「ヤイコク殿」
「はっ」
ハクアは今度、ヤイコクへ声を掛ける。
忠義者の彼は直ぐに頭を垂れた。
「そなたはこの御供衆の要じゃ。今後とも良しなに……」
「はっ! ご心配には及びませぬ。元より某、ユクシャ家に身命を投げ打って、お仕え致す所存!」
「皆も宜しゅう頼む」
「今日はここまでにする。俺は大殿に呼ばれているゆえ、城へ向かう。後は何時も通り過ごせ」
頃合を見計らい解散の指示を出した。
一同が当主夫妻の退出を待ち、平伏していると、上座からふとアガロが声を掛けた。
「リッカ」
「何よ?」
「今日からハクアの側に付け。護衛をしろ」
「あたしが!? でも―――」
「リッカ殿。殿よりそなたの武勇は天下無双と聴いた。リッカ殿が側に居てくれたら、こんなに頼もしい事は無い……。駄目か?」
「い、いえ! そんな事は……」
「解散」
サッと場を去るアガロ。その後を追い、ハクアもキセを伴いしずしずと場を去る。
リッカは呆気からんとし、考える暇さえなかった。
「お前の豹変振りには頭が下がる」
「私が思った以上に、ユクシャ組はチョロイ者達ばかりですな?」
「余り俺の家臣達を舐めるな」
「まぁ。では、あの笑みの裏では、私の事を疑っていると……?」
「俺の家臣は確りと利害で動く。あの程度の言葉に騙されはしない」
何時もの仏頂面の夫に対して、妻は完璧な作り笑いで、何処か楽しそうにしている。
「されど、アガロ様。人とは感情で動く生き物なのですよ? それは亜人とて違いますまい」
「この世は利害で動く。感情に任せれば、痛い目を見るだけだ」
「自身にまるで経験がお在りの様な口ぶりですな? されど、ハクアは人の心を信じまする。信じればこそ、アガロ様に私の秘密を打ち明けたのです」
「お前。あの話本気か?」
「本気に御座りまする。ハクアは怨みが晴れるまで、死ねませぬ」
恐らくこの先も、しぶとく生きるだろう。そう思えてならない。
アガロはその侭玄関まで行き、用意してあった馬に跨った。
「キョウサク。城へ行く」
「はっ! お気をつけ下さりぇ!!」
ユクシャ当主が馬引きを連れ、去ると場にはハクアと侍女のキセ、使用人のキョウサクが残された。
「ハクア様だりぇ?」
「は、はい……。そなたは?」
「これは失礼しましたりぇ! おりゃあキョウサク。リフ・ナンミ様の下で小人頭を勤めておりましたりゃ! 成る程、流石にお美しいりぇ……」
「そ、そうか。今は殿のお側に?」
「はっ! にゃれど、ハクア様……」
突如キョウサクは、素早く側に寄って来た。余りにも不気味なその仕草に、思わず身震いしそうになる。
キセは咄嗟にハクアを庇う為、前に出て、彼女を後ろへ下がらせる。
この小男は足元に跪くと、顔を上げた。
「おりゃあは故あって、ユクシャ家の内部を探る間者りゃ……。何か困った事がありゃ、何なりとお申し付け下さりぇ……」
言うと、彼は一礼し去って行った。
(ふむ。殿のお側には、癖のある者達がよう居るの……)
【――雨漏り屋敷・広間――】
「どうだった? 大将の嫁さんはよ?」
口火を切ったのは赤鬼だ。彼は腕組しながら、車座になった他の者達に意見を聞いた。
「印象は悪くないでやんす。ただ、どうもあっしは人間の悪い所を見てきている所為か、あの笑みは作られているんじゃないか、と思いやすね」
トウマが意見を述べる。この青鬼は幼い頃から奴隷として働き、虐げられてきている立場にあった。彼は人の醜い部分を嫌と言う程見ている故、何となくそう感じるのだという。
「ですが、悪い人ではなさそうです? それに…私の事を、か、可愛らしいって。えへへ……」
意外にもレラは好意的である。彼女は容姿を褒められたのが余程嬉しかったのか、両手で頬を押さえ、テレテレと笑みを浮かべていた。
「ちょっと、レラちゃん!? そんなんじゃ困るわ!」
「意外にレラはチョロイでやんすね?」
「むぅ~。そんな事ないです!」
「されど、ハクア様は我等が御当主様の御方様なれど、立派なナンミの間者と思って間違いない。皆、油断はしないよう」
ヤイコクが警告をすると、他の者達も彼へ頷いた。
「特にリッカ。貴女はこれから護衛になる。気を付けなさい」
「はい、ヤイコクさん!」
【――ロザン城・大広間――】
「アガロ。ハクアは息災か?」
「はっ。変わりありません」
「うむ」
一日そこ等で心配するなら嫁に出すな、と心の中でぼやいた。
リフは満足そうに髭を撫でている。
「アガロ。ユクシャの兵を率いて、ハンコウ県へ出張れ」
「ハンコウ県へ?」
「そうじゃ。コグベ、キフキの一万石を加増してやるわい。暫くは、兵を留め置き、何か動きがあったら知らせよ」
(そういう事か……)
詰まり不穏分子を減らせ、という事である。
コグベ、キフキ両名の元家臣郎党達は、リフを恐れ未だ領内の何処かに潜伏している筈だ。彼等は最悪の場合、領内で反乱を起しかねない。ナンミ支配に不満を持つ他の豪族や、神社、郷村勢力に抱き抱えられては後々面倒になる。
故に一万石の加増は、リフにしては気前が良いかと思えばそうではない。貰った禄から再び散り散りになった元家臣達を召抱える必要がある。そう考えると、本来自分が貰える禄は少ないだろう。
「それと、オウセン家に注意せよ」
「オウセン家に?」
オウセン家と聞き、脳裏に嫌な相手を一人思い出した。テンコの幼馴染で、オウセン家次期当主モウル・オウセンだ。
オウセン家はギ郡の武門の棟梁で、名族である。ハンコウ県の殆どは彼等の一門が支配していると言っていい。
「何やら近頃不穏な動きがあると聞く。警戒怠るな。ジャベを助けてやれ」
「はっ!」
「それと、ユクシャ県よりお前の姉ルシアを呼べ。ハクアの話し相手にでもさせよ」
「……はっ」
アガロは苦い顔をしながらも承知した。
自分はユクシャ県の人質として来ている。此処を離れ、ギ郡へ入っては意味が無い。そこで代わりを立てなければならない。その人物に姉で次女のルシアが指名された。
「早く戻ってこれると良いな?」
「心配要りません。直ぐに終らせて見せます」
【――雨漏り屋敷・アガロの居室――】
「姉上に使者を送り、兵三百程出して貰う」
「早速、やられましたな……」
「ああ……」
ジメッと湿気の多い一室で、ユクシャ当主と御供衆筆頭の二人は、腕を組み浮かない顔をしていた。
幾らユクシャ県が豊かな土地といえど、度重なる出兵は財政を圧迫させる。おまけに先の戦で、ユクシャ家は損害を出している。リフの命はかなりきつい物であるがかといって、断れば疑られる。
今は警戒を解き、独立の機会とクリャカとの結束を窺う時だ。
しかし、その条件にルシアを送ると先鋒に口約束していたのが裏目に出た。彼女は今回、ナンミ家へ自分の名代として人質になる。
「兎に角だ。金や米の事は今回加増されたコグベ、キフキの領内と商人にでも頼んで賄うとする」
「オウセン家は如何なされます?」
「噂が本当かどうか、確かめねばならん。ヤイコク同行しろ」
「元よりその積り。早速準備致します!」
「今回連れて行く者は、俺が決める。お前は兵を整えろ」
「はっ!」
ヤイコクが一礼し去る。
アガロは居室で考え事に耽る。ふと廊下で声が響いた。
「アガロ様。ハクアに御座りまする」
「―――……入れ」
現れたのは、正室ハクア。侍女のキセも一緒だ。
アガロは油断無く、訝しげな表情で迎えた。
「そう怖い顔をなさらずとも、御方様は殿の味方ですぞ?」
「キセ。良い、気にしておらぬ。信じろという方が難しい。それでも信じてみよう、と言うてくれた。十分ではないか?」
「何しに来た?」
「はい。先程、ヤイコク殿とばったり其処で会いまして、話を窺った所、父の命でハンコウ県へ出張るのだとか」
「お前には関係ない」
「そう冷たくせずとも、宜しいではありませぬか……」
彼女はそっと袖で目元を覆ったが、それが嘘泣きである事は直ぐに見通せた。
「やるからにはもっと本気でやれ」
「まぁまぁ。此度はハクアから一つ提案が御座りまする」
コロ、と表情を再び変え、今度はニコ、と口角を上げ笑みを作る。先程の涙目は何だったのか、毛ほども見えない豹変振りだ。
彼女は何処か自信に溢れた瞳をしていた。対してユクシャ当主は些か不安な気持ちになり、眉をひそめる。
「提案?」
「はい! あのキョウサクという男を、召抱えてみては如何に御座りまする?」
「何だと!?」
「あの者はきっと役に立ってくれまする!」
「出来ん!」
彼は語調を強くし、妻の提案を突っぱねた。
しかし、その反応を予想していたのか、ハクアは動じなかった。
「あの者が父から使わされた間者である事は、既に承知しておりまする」
「なら猶更出来るか!」
「良いでは御座りませぬか?」
「なんだと?」
「あの男を此方からより側に侍る事で、逆にその行動を監視してやるのです」
瞬間、アガロは『ふむ』と思案する。
「……良いだろう。舅殿に報告致す」
その返答にハクアは、満足そうに笑みを浮かべた。
アガロとしても、キョウサクは此方の内情を探る間者ゆえ、余り近くに置きたくないが、これ以上周りを嗅ぎ回られるのも、正直面倒だと思っている。
ならばいっその事、自分の部下にして、側に置いた方が、行動も読みやすいし、何かに利用出来るかもしれない。
「アガロ様。ハクアは常に殿のお味方ですぞ。これからも何か良い考えが浮かんだら、お伝え致しまする」
「何故そこまでする?」
「申し上げたでは御座りませぬか。ハクアは父上を殺して欲しいのです。その為にアガロ様の信用が必要とあらば、何でも致す所存」
「姫様、立派に御座いまするぞ!」
見た所、キセという侍女はハクアに肩入れしているのだろう。我が子の事のように何処か誇らしげでいる。
「それに、誠意を見せ尽くせば、アガロ様も何れは心を開いてくれる…そう思うておりまする」
「余り俺を見くびるな。俺は決して、情に絆されたりはしない」
「アガロ様。人とは情で動く生き物に御座りまするぞ?」
「如何だかな―――……では、留守は任せる」
「はい。留守はお任せ下さりませ……」
【――後日――】
「此度のハンコウ県行きに同行するのは、ヤイコクとレラだ。後は残れ」
「待って下せぇ、若旦那! あっしも付いて行きやすっ!!」
「トウマ。お前は残れ」
「嫌でさぁ!」
アガロの人選に納得がいかず、青鬼のトウマは早速反対した。
「今回は戦ではない。レラを選んだのにも理由がある。ハンコウ県に住む亜人達を手懐けて貰う」
「それなら、レラじゃなくても、いいじゃないですかい!?」
「お前には残ってやって貰いたい事がある。ドウキと共にユクシャ組の再編と、内部の不満解消に当たれ」
「ですが―――」
「くどい! 命には従えッ!!」
有無を言わさず青鬼を黙らせた。場の空気が凍る。
「トウマ。俺は大丈夫だ。安心しろ」
「必ず、戻ってきて下せぇ……。若旦那に何かあったら、あっしは亡き大旦那に顔向けが出来やせん……」
「それとヤイコクの課題は終らせておけ」
それを聞くと、ドウキやトウマが苦笑いをした。
彼等はアガロの命で、ヤイコクから文字の読み書きを習っていたのだ。ここ数日は、兵の事を気にしながら夜は勉学の毎日を送っていた。
「だがよ大将。こんな事が一体何の役に立つんだ?」
「ドウキ。俺の言った国作りの事は聞いたか?」
「おう。人伝にだけどよ……」
「俺の国では、お前達亜人にも、政に関わって貰う。その為には、字の習いが必要なのだ」
「だけどよ……」
猶も渋る赤鬼を見て、彼等の師匠であるヤイコクが口を開いた。
「良いですか、ドウキ? 字の読み書きが出来る様になれば、周囲は一目置きます。貴方の部下達も、それを誇りと思い、尊敬するでしょう」
「そりゃまぁ、な……。人と違って亜人には碌な教養なんざねえからな……」
「そして皆、貴方に憧れ、自分も字の読み書きが出来る様に成りたい、と思うでしょう。その時は貴方が教えるのです」
「おれが?」
赤鬼は目を丸くした。
「そうです。今まで亜人達は、知恵が無いゆえ、虐げられ蔑ろにされていました。されど、教養ある者が居れば、話は別です。貴方が彼等を守る事も出来ます」
「ヤイコクの言う通りだ。ドウキ。部下達が可愛いなら、守ってやらなければならん。その為に、知恵が必要だと言われたら、お前は拒むか?」
「そういう事か…良っしゃ! なら、大将の言い付けを守って、部下の面倒と字の読み書きが出来る様になるか!」
「ドウキさん! 帰ったら、どれだけ文字を覚えたか、勝負するです!」
「おう! 望む所よ!」
ドウキとレラが互いに笑いあった。
トウマもそれがユクシャ家の為と思い直し、真面目に打ち込む覚悟を決め、リッカも自身に巡って来たこの好機を生かそうと、毎日遅くまで机に向かい、字の練習をしている。
人ですら、碌な教養を持っている者は多くない。
識字率も低く、十分な教育環境の整っていない時代だ。
亜人の彼等が勉学出来るのは、非常に特殊であり、また他の何倍よりも恵まれていると言える。
「それと、キョウサク。前へ」
「へっ!?」
「早くしろ」
「は、ははっ!」
廊下で控えていたキョウサクは、一体何事かと思い、急いで目の前に出て平伏した。
「足軽として一貫で召抱える。此度はお前にも同行して貰う」
「―――……は?」
彼はポカンと口を開け呆然としていた。
「如何した? 不服か?」
「い、いいいいえっ!? そんな滅相もありませんりぇっ!?」
「大殿には俺から既に言ってある。キョウサク。今日からユクシャの足軽になれ」
「はは―――っ!!! 有難き幸せですりぇっ!!!」
彼は未だ信じられない顔をしていた。一貫といえば、凡そ千文、石高にして二石に換算される。
足軽達は農業も兼ねている為、給料は高くなく、二百~三百文とされていたから、彼はその三倍以上の額を貰える事になる。足軽の身分ではかなりの高禄といえた。
一貫~五貫は足軽組副頭と同じ禄であり、十貫~二十貫で足軽組頭。五十貫~百貫で足軽大将。二百五十貫で侍大将になる。
キョウサクは晴れて士族の仲間入りを果たし、その第一歩を踏み出したのだ。
しかしその威勢の良い返事の裏で、彼は確りとアガロ行動を疑った。
(にゃる程。おりゃあを召抱えたのには、何か思惑があっての事かりゃ……)
だが、幾らユクシャ当主の裏を勘繰ったとしても、彼は嬉しさから身の内が震える思いだった。
(ここかりゃだ…ここかりゃ、おりゃあの出世は始まるりぇっ!!)