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消えないリリック  作者: 櫻木サヱ
ifまろ
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残業と葛藤

夜のオフィスは、昼間の喧騒とは打って変わって静まり返っていた。

蛍光灯の光が白くデスクを照らし、キーボードを叩く音だけが響く。

IFまろは目の下にくっきりとしたクマを作りながら、残業の山と格闘していた。


――もう、手が動かない…。

書類を見つめる目がぼやけ、肩もガチガチにこわばる。

頭の中には、今日の失敗や上司に怒られた場面が浮かび、胸の奥が重くなる。


そんな時、隣の席の同僚が小さく笑った。

「IFまろ君、さすがに疲れてるね。コーヒー飲む?」

差し出された缶コーヒーに、IFまろはほっと息をつく。

――誰かが気にかけてくれるだけで、少し楽になるんだな。


「ありがとう…」

疲れた声で呟き、少し微笑む。

同僚も優しく微笑み返し、二人だけの小さな時間が流れる。


しかし、上司の目は厳しい。

「IFまろ、提出期限は守れよ」

その一言に、胸の奥の焦燥感が再び膨らむ。

――俺はまだまだ、ここでやっていく自信がない…。


パソコンの画面に映る文字列が、夜の静けさの中で揺れる。

IFまろは深呼吸し、肩を回して気持ちを落ち着ける。

――少しずつでも、慣れていくしかない。


窓の外には仏のような淡い光が揺れている。

夜の街の灯が、疲れ切った心に小さな希望を落としてくれるようだった。

――明日も、この光を頼りに、なんとかやってみよう。


時計が深夜を回る頃、IFまろはようやく椅子に深く座り込み、疲れた体を伸ばした。

社畜生活は過酷だけれど、ほんのわずかの優しさや気遣いが、心を支えてくれるのだと感じた。


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