小さな挑戦
ある日の夕方。
スタジオでは大切なリハーサルが行われていた。
しかし、初兎が急に声を枯らしてしまい、場の空気が少し重くなる。
「どうしよう…今日のパート、埋められないかも…」
不安そうな仲間たちの前で、仏はふわっと立ち上がった。
「じゃあ、ぼくがやってみようかな~」
丸い体を揺らしながら、ふわふわ帽子を整える。
りうらも驚いた表情で仏を見る。
「仏さん、できるの…?」
仏はにっこり笑い、マイクの前に立つ。
少しぎこちないけれど、心のこもった声がスタジオに響いた。
完璧な音程ではない。
でも、そののんびりした歌声に、仲間たちは自然と笑顔になる。
「なんか…癒される」
「不思議と安心するな」
初兎も微笑み、力を取り戻したように小さくうなずく。
「ありがとう、仏。ちょっと元気出たよ」
仏は丸い手を胸に当てて答える。
「うん、ぼくは上手じゃないけど、みんなと一緒なら頑張れるんだ~」
その瞬間、仲間たちは仏の存在の大きさを改めて感じた。
――完璧じゃなくてもいい。
――ほんの少しの勇気で、仲間の心は温かくなれる。
小さな挑戦が、大きな絆へとつながっていく。
ゆるかわ仏は今日も、のんびりと、しかし確かに仲間を支えていた。




