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消えないリリック  作者: 櫻木サヱ
ないこ
20/37

社長業の悩み

オフィスの夜。

電灯の明かりが淡くデスクを照らす中、ないこは資料の山に囲まれていた。

契約書、予算書、今後のプロジェクトの計画――

すべてが彼の判断にかかっている。


「どうしよう…この案件、成功させないと会社の信用に関わる」

ないこの眉間には微かなシワが寄る。

ピンクのスーツは華やかさを演出するけれど、内面は常に張り詰めている。


そこへ部下の一人が静かに声をかける。

「社長、今日の会議の資料、もう少しまとめ直したほうが…」

「ありがとう。でも、今日はもう時間がない。明日の朝までに確認してくれ」

ないこは微笑むが、心の中では不安が渦巻いていた。

――完璧でなければならない。社長として、みんなの期待を裏切るわけにはいかない。


デスクに座ったまま、窓の外を見る。

街の灯が夜空に浮かび、ピンク色のネクタイが微かに光を反射する。

――華やかに見える自分も、心はいつも葛藤している。

孤独だと思う夜もあるけれど、責任を持つからこそ成長できる。


そんな時、初めて社長室に入った部下が、少し緊張した面持ちで言った。

「社長、いつもありがとうございます。ピンクの社長…って、皆も言ってますけど」

ないこは微笑んで答える。

「色なんて関係ないよ。大事なのは、会社と仲間を守ること」


ピンクの華やかさの裏にある、強さと責任感。

ないこは改めて、自分が社長である意味を胸に刻む。

――明日も、仲間と一緒に頑張ろう。


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