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未来の光へ
夜のスタジオ。
鍵盤に触れるりうらの指先は、以前よりも力強く、そして柔らかく動いていた。
旋律は孤独を抱えながらも、仲間との共鳴で温かさを帯びている。
「りうら、すごい…今日の演奏、完璧だよ」
初兎の声に、りうらは自然と笑みを返す。
――才能を持つことの孤独はまだ消えないけれど、孤独だけじゃない。
――仲間と共有できる喜びも、確かに存在する。
窓の外には柔らかな光が差し込み、スタジオを包み込む。
りうらはその光を胸に感じながら、静かに目を閉じた。
――今日も挑戦し、失敗もした。でも、そのすべてが未来に繋がる。
孤高の天才美少年は、孤独と才能、仲間との絆を胸に抱き、次の一歩を踏み出す準備をしていた。
――まだ見ぬ未来へ向けて、希望の光を手に入れたのだ。
夜のスタジオに響く最後の旋律は、切なさと温かさ、そして希望を帯びて静かに消えていった。
孤独と天才性が共存するりうらの物語は、ここでひとつの余韻を残しつつ幕を閉じる。