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信頼と絆
スタジオには、昨日の緊張や誤解の空気はもうなかった。
りうらは少し緊張しながらも、初兎や仲間たちと向き合う。
「今日も一緒にやろう」
初兎の笑顔に、りうらは小さく頷く。
――昨日のことはもう過ぎた。今は、仲間と向き合うときだ。
鍵盤の上で指を動かすと、旋律が自然と空間に広がる。
低音ラップと美しいピアノが重なり、二人の音が呼応する。
りうらは息を整えながらも、心の奥で少しずつ安堵を覚える。
「君の才能は本当にすごいね」
仲間の言葉に、りうらは初めて笑みを浮かべる。
――認められるって、こんなに温かい気持ちになるんだ。
夕方、窓の外に柔らかな光が差し込み、スタジオを静かに包む。
りうらはその光を見つめ、心の中でつぶやいた。
――孤独もまだ残るけど、信頼できる仲間がいれば、前に進める。
共に笑い、支え合い、音を重ねる時間の中で、りうらの心は少しずつ軽くなった。
孤高の天才美少年は、仲間との絆を胸に、次の挑戦に向けて静かに準備を整える。