失敗と誤解
午後のスタジオ。
りうらは新しい曲の仕上げに集中していた。
しかし、集中のあまり小さなミスを連発してしまう。
「りうら、ここ違うよ!」
初兎の声に、りうらは思わず顔をしかめる。
――どうして…こんな簡単なこともできないんだ。
胸の奥に、焦りと自己嫌悪が重くのしかかる。
「…ごめん、もう少し整理する」
りうらは声を落とし、目を伏せる。
だが、初兎の表情は険しく、微妙な距離感が生まれる。
他の仲間も気まずそうに視線を泳がせる。
――俺はやっぱり、孤独なんだ。
才能があるからこそ、失敗を許されないと感じる孤独。
心の中で、自分を責める声が大きくなる。
窓の外の光も、今はただ眩しく、慰めにはならなかった。
りうらは小さく息をつき、譜面をそっと閉じる。
――もう、誰にも見せたくない。
孤高の天才美少年は、再び心を閉ざした。
しかし、ほんのわずかな瞬間、同僚がそっと肩に手を置く。
「大丈夫だよ、りうら。失敗は誰にでもある」
その温もりが、りうらの胸に小さな揺れを作る。
――誰かが、俺を見捨ててはいないのかもしれない。
りうらはまだ完全には心を開かない。
でも、孤独の中にも微かに光が差し込み、次の挑戦への希望を残していた。