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消えないリリック  作者: 櫻木サヱ
りうら
16/37

失敗と誤解

午後のスタジオ。

りうらは新しい曲の仕上げに集中していた。

しかし、集中のあまり小さなミスを連発してしまう。


「りうら、ここ違うよ!」

初兎の声に、りうらは思わず顔をしかめる。

――どうして…こんな簡単なこともできないんだ。

胸の奥に、焦りと自己嫌悪が重くのしかかる。


「…ごめん、もう少し整理する」

りうらは声を落とし、目を伏せる。

だが、初兎の表情は険しく、微妙な距離感が生まれる。


他の仲間も気まずそうに視線を泳がせる。

――俺はやっぱり、孤独なんだ。

才能があるからこそ、失敗を許されないと感じる孤独。

心の中で、自分を責める声が大きくなる。


窓の外の光も、今はただ眩しく、慰めにはならなかった。

りうらは小さく息をつき、譜面をそっと閉じる。

――もう、誰にも見せたくない。

孤高の天才美少年は、再び心を閉ざした。


しかし、ほんのわずかな瞬間、同僚がそっと肩に手を置く。

「大丈夫だよ、りうら。失敗は誰にでもある」

その温もりが、りうらの胸に小さな揺れを作る。

――誰かが、俺を見捨ててはいないのかもしれない。


りうらはまだ完全には心を開かない。

でも、孤独の中にも微かに光が差し込み、次の挑戦への希望を残していた。

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