仲間との出会い
放課後のスタジオ。
りうらは、少し離れた場所で譜面に目を落とし、静かに作曲をしていた。
鍵盤から紡ぎ出される旋律は美しくも孤独で、誰も寄せ付けない雰囲気を漂わせる。
「…君、すごいね」
声に振り向くと、そこには初兎が立っていた。
低音ラップを操る青年で、りうらとは対照的に感情を前面に出すタイプ。
「…ありがとう」
りうらは少し戸惑いながらも、静かに答える。
――普段は誰にも褒められないのに、なぜか心が少し軽くなる。
「一緒に曲を作ってみない?」
初兎の提案に、りうらは迷いながらも頷く。
――天才であることは孤独だと思っていたけれど、協力してくれる人がいるなら…
スタジオに低音ラップと美しい旋律が重なり合う。
初めはぎこちなかった二人も、次第に呼吸を合わせ、曲は自然とひとつになる。
――こんな感覚、久しぶりだ。
孤独だけでは生まれない、誰かとの共鳴。
その夜、りうらは窓の外に仏のような光を見つける。
柔らかな光が、心の奥の緊張を溶かすようだった。
――少しずつでも、誰かに心を開けるかもしれない。
孤高の天才美少年は、初めて自分の才能を共有できる相手と出会い、静かに笑みを浮かべた。
――孤独だけど、希望も少しずつ見えてきた。