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ご招待とオレ

 わぁい、夢だったー!!

 とかいうオチはやっぱり無く、次にオレが目を覚ましたのはセシェン君のノックの音だった。


「お食事の用意が整いましてございます」


 うん、ばりばり敬語だねセシェン君。


「あ、今行きますんで……」


 ここで喧嘩して飯抜きとか嫌だったので、オレは取り敢えずセシェン君を見習って事実をスルーしつつ、寝てる間に顔にプリントされてたシーツのシワをゴシゴシして、それから身なりを整えた。

 とは言っても、唐突に召喚されたオレが着替えとか持ってる訳がない。

 むしろ持ってたら気持ち悪いだろう。

 つまり身支度と言っても別に大したことはしてない。

 制服のシャツの裾を引っ張って一応形を整え、寝ぐせを手櫛で撫でつけただけである。

 うむ、オッケー。


 よし、腹減ったから食いに行こう。

 願わくば蛇の丸焼とか、サソリの姿焼とか、カエルの卵とか出てきませんように。


「お待たせしました」

「良くお休みになれましたか?」


 セシェン君は律儀にもドアの外でピシッと立って待っていてくれていた。

 さすが不憫でも執事。

 この人、実は結構凄いんじゃなかろうか。

 まぁこんだけいびられてるっぽいのに逃げ出してないだけでも十分凄いんだけどさ。


「お陰様で」

「では参りましょう。陛下がお待ちです」

「……。陛下?」

「はい、お待ちでいらっしゃいます」

「あのー、何でオレと陛下が一緒にご飯しなきゃならないんでしょうか」

「陛下がそうお望みですので」


 あの野郎……。脳ミソ沸騰してるんじゃないだろうな。

 そもそも何が楽しくてオレの呼びつけるんだか。変な趣味とかないだろうな。

 てゆうかさぁ、セシェン君も空気読めよ。

 陛下がお望みだから、って協力するからあのワガママ魔王様がつけあがるんだろ。


 多分オレの視線が相当じっとりしてたんだろう。

 セシェン君は申し訳なさそうにオレの方へ頭を下げる。


「陛下が食事をなさるのは珍しい事ですので、何卒ご協力願えませんか」


 いや、そんな子犬みたいな目で見るなよ……残り少ない良心が痛むじゃないか。


「しっかし、どんだけ食わず嫌○王決定戦……」

「は?」

「いやナンデモナイデス」


 さすがにセシェン君は知らないか。

 あの魔王様だけ特殊っていうか変人というか奇人で変態っぽいし。


「まぁ、一度ぐらいなら」


 優しいなぁオレ。

 でも、多分食事中に我慢ゲージが振り切れる気がする。

 ま、体育の成績2で一輪車も竹馬も乗れないオレが無双してもほとんど意味無いだろうけど。


「てゆうか、あのデュランって普段食事しないんですか?」

「なさいませんね」

「トイレも行かないとか」

「はい」


 いや冗談で言ったんだけど。

 あれか、トイレにもいかないしオナラもしないという美形補正ですか。

 それとも魔族はトイレ行かないのかな。

 いや、しかしオレの部屋にはしっかり水洗トイレ(座式)がついてたし……まさか気遣いとかだったらイヤだなぁ。

 というか一つの部屋に風呂とかシステムキッチン(IHクッキングヒーターっぽいもの)が揃っている時点で不自然だよな。

 ま、冷蔵庫無かったから何もできないんだけどさ、あのキッチン。意味ねぇ。


「陛下ぐらいになられますと、何もせずとも生命に問題はございませんので」

「あぁ、魔王補正か」

「補正?」

「いや気にしないでください……」


 なんつーか、セシェン君にそういうのを教えちゃいけない気がする。

 この人「白い子」だから、教える自分が外道になりそうでさ……。


「でも、それなら食べなくて良いじゃないですか」

「なりません」

「いや、オレにそこで強く言われても……」

「失礼致しました。しかし、規則正しく適切な食事を行う事は精神面の安定や体内魔力の循環、肉体の再構築には必要なものでございます」

「あぁ、何となくイメージ的には分かる」

「陛下は我ら魔族にとってはかけがえのないお方であらせられます。その陛下のお世話を預かるわたくしとしましては、陛下には是非きちんと食事を取って頂きたいのです」


 健気だなぁ。

 でも、それって暗に君達の魔王様のダメっぷりを暴露してるってこと気付いてないよね?

 健康管理ぐらい今時小学生でも自分でやるぞ。

 それをお世話係に依存って、ねぇ?


「まぁ、事情は分かったけど……」

「陛下には色々と思う所もあるのは存じ上げておりますが、何卒お願い致します」


 そう言われるとなぁ……。

 まぁ、おなか減ってるから食事自体は大歓迎だし。


 そんな事を考えたり、くだらない事を喋ってる内にオレとセシェン君は見覚えは無いけど何の部屋かは良く分かる扉の前にたどり着いていた。



 ドアまで白って、あんたどんだけだよ魔王様。




どうも、作者です。


11時まで寝てました。

土曜出勤の人が聞いたら呪い殺されそうな話です。


さて、お読みいただいた皆様ありがとうございます。

寝ている間にも目を通して下さった方がいらっしゃるようで有難い事です。

(何故か早朝五時の数が急に増えている辺り、何があったのかちょっときになりますけど)


文章評価とストーリー評価にポイント入れてくださった見知らぬどなたかのお気持ちを無碍にしないよう、頑張りたいと思います。


作者拝

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